4年生(親世代) 完結 (35話)
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なぜあんなことを言ってしまったのか、わからなかった。
どうして、あんなところに行ったのかも。
わけのわからない行動とは、いらだつものだ。
そんなことを思いながら、ぼんやりと、すごす。
人を殺したのだ。
汚らわしいマグルごときではない。
マグル殺しに反対する血を裏切るものとはいえ、れっきとした魔法族を殺した。
はじめて、アバダケダブラを人に向けた。
奇妙だった。
在学中は嫌だった。
グリフィンドールの厚かましい卒業生たち。
グリフィンドールのように無神経で、無駄に明るくて、うるさい。
あの前向きさが不愉快以外の何者でもなかったが、ハッフルパフに比べれば、何倍もライバルとして認める価値があったあの寮を象徴するかのような二人の教授。
嫌いだった。
性に合わなかったし、かちんと来るような言動もあった。
それになにより、あの帝王に逆らうものたちだ。
殺して何が悪い。
それに、彼らを殺したからこそ、ルシウスはデス・イーターとなったのだ。
殺した瞬間の達成感。
あれはなにものにも変えがたい喜びだった。
そう。力があるのだ。
人の命を奪い、それを踏み越えるだけの力があるのだ。
それを使うことが何が悪い。
「物騒な目をしている」
「ベラトリクス」
「でも、良い目だ」
黒のローブに身を包み、ベラトリクスがその美しい顔に笑みを浮かべていた。
「あの娘に会いに行ったそうね」
「ええ」
「どうだった?こちらの仲間になりそうか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それは」
「よい。わかっている。あの娘、私たちと相容れそうで相容れない」
「はい」
「すべてを見通したかのような目…。あのダンブルドアと同じ。気に食わない」
「…けれど、あなたは在学中も…卒業してからも随分気に入っていたようにお見受けしましたが」
「あの娘の力はほしい。だから、連絡を取った」
確かに、あの力は魅力だ。
未来を見通す、予知の力。
それがあれば、偉大なるロードの望む世はこの手に転がり落ちる。
「お前のこのたびの行動、目をつむろう。私の義弟となることに免じて」
「…ありがたく」
デス・イーターの中でも最もロードに近い存在として誰もが認めるベラトリクスに許されたのなら、問題はないだろう。
自分でもわからないあの不可解な行動がとがめられなくて何よりだ。
「今後の行動には気をつけなさい。いつでも、誰かの目が光っている。心のそこから、その行動のすべてでロードに忠誠をささげなさい」
「もちろん」
そう答えることに迷いもよどみもない。
ベラトリクスのように全てを預けるような愚かなまねはしないが、己の利害と一致する限り、そして、彼が強大な力を誇る限り、ルシウスはロードのために働くのだから。
「…ルシウス、あの子には… サクラ・キリュウ には近づいてはいけない」
はい、と答えようとした声が、なぜか喉に詰まった。
おかしい、忠誠の言葉も、偽りも、するりとつむぎだせるというのに。
ふと、泣き崩れるあの娘の姿が、よみがえった。
ひざを抱えて、泣いていた、 サクラ。
「惑わされるよ。あの、言葉に」
気をつけなさい、というベラトリクスこそが、それに惑わされているのではないのか。
あの、全てを許して受け入れてくれそうな、そんな言葉の数々。
何をしても許してくれるのだという、そんな錯覚すら抱かせる笑顔。
やさしい目。
この思惑も、行動も、真意まで全てをわかっていて、それでもなお微笑んでみつめているのではないかとすら思わせる、その目を、あのふたりも、持っていた。
この手で殺した、あの二人も。
彼女が大切にしていた二人。
それを殺しておいて、許してくれも、嫌わないでくれもあったものじゃない。
だけど、彼女に嫌われるのでは、と思ったとき、体の中が冷えたような気がした。
無意識に嫌わないと思っていた。
彼女が私を嫌うことなどないと。
何をしても、いつものように、仕方ないわねと笑ってくれるのではないかと。
「ほっと、しました……」
「ルシウス…」
「あなたも、でしょう?ベラトリクス。あなたをデス・イーターと知っても、そうではない貴女に、なんの屈託もなく接してくれるから、あの娘が好きなのでしょう?」
「何をしても、そこにいて、受け入れてくれる人がいる。そう信じたかった…それは、弱さでしょうか」
「………そう。弱さだ。そんなものは、必要ない。誇り高い私たちには」
だけど、今までそんなものは、与えられなかった。
期待にこたえられなければ、望む道を進まなければ、許されなかった私たち。
それを当然と思っていた。私たちだからその期待に答えられるのだと誇らしく、進んだ。
誰かがそこで待っていてくれる。
いつか立ち止まりたくなったときに、受け止めてくれる。
そんな存在があるなんて、思いもしなかった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・必要、ありません。私たちには」
自分に言い聞かせるようにつぶやいて、ルシウスはそっと、右手に握った仮面をつけた。
どうして、あんなところに行ったのかも。
わけのわからない行動とは、いらだつものだ。
そんなことを思いながら、ぼんやりと、すごす。
人を殺したのだ。
汚らわしいマグルごときではない。
マグル殺しに反対する血を裏切るものとはいえ、れっきとした魔法族を殺した。
はじめて、アバダケダブラを人に向けた。
奇妙だった。
在学中は嫌だった。
グリフィンドールの厚かましい卒業生たち。
グリフィンドールのように無神経で、無駄に明るくて、うるさい。
あの前向きさが不愉快以外の何者でもなかったが、ハッフルパフに比べれば、何倍もライバルとして認める価値があったあの寮を象徴するかのような二人の教授。
嫌いだった。
性に合わなかったし、かちんと来るような言動もあった。
それになにより、あの帝王に逆らうものたちだ。
殺して何が悪い。
それに、彼らを殺したからこそ、ルシウスはデス・イーターとなったのだ。
殺した瞬間の達成感。
あれはなにものにも変えがたい喜びだった。
そう。力があるのだ。
人の命を奪い、それを踏み越えるだけの力があるのだ。
それを使うことが何が悪い。
「物騒な目をしている」
「ベラトリクス」
「でも、良い目だ」
黒のローブに身を包み、ベラトリクスがその美しい顔に笑みを浮かべていた。
「あの娘に会いに行ったそうね」
「ええ」
「どうだった?こちらの仲間になりそうか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それは」
「よい。わかっている。あの娘、私たちと相容れそうで相容れない」
「はい」
「すべてを見通したかのような目…。あのダンブルドアと同じ。気に食わない」
「…けれど、あなたは在学中も…卒業してからも随分気に入っていたようにお見受けしましたが」
「あの娘の力はほしい。だから、連絡を取った」
確かに、あの力は魅力だ。
未来を見通す、予知の力。
それがあれば、偉大なるロードの望む世はこの手に転がり落ちる。
「お前のこのたびの行動、目をつむろう。私の義弟となることに免じて」
「…ありがたく」
デス・イーターの中でも最もロードに近い存在として誰もが認めるベラトリクスに許されたのなら、問題はないだろう。
自分でもわからないあの不可解な行動がとがめられなくて何よりだ。
「今後の行動には気をつけなさい。いつでも、誰かの目が光っている。心のそこから、その行動のすべてでロードに忠誠をささげなさい」
「もちろん」
そう答えることに迷いもよどみもない。
ベラトリクスのように全てを預けるような愚かなまねはしないが、己の利害と一致する限り、そして、彼が強大な力を誇る限り、ルシウスはロードのために働くのだから。
「…ルシウス、あの子には… サクラ・キリュウ には近づいてはいけない」
はい、と答えようとした声が、なぜか喉に詰まった。
おかしい、忠誠の言葉も、偽りも、するりとつむぎだせるというのに。
ふと、泣き崩れるあの娘の姿が、よみがえった。
ひざを抱えて、泣いていた、 サクラ。
「惑わされるよ。あの、言葉に」
気をつけなさい、というベラトリクスこそが、それに惑わされているのではないのか。
あの、全てを許して受け入れてくれそうな、そんな言葉の数々。
何をしても許してくれるのだという、そんな錯覚すら抱かせる笑顔。
やさしい目。
この思惑も、行動も、真意まで全てをわかっていて、それでもなお微笑んでみつめているのではないかとすら思わせる、その目を、あのふたりも、持っていた。
この手で殺した、あの二人も。
彼女が大切にしていた二人。
それを殺しておいて、許してくれも、嫌わないでくれもあったものじゃない。
だけど、彼女に嫌われるのでは、と思ったとき、体の中が冷えたような気がした。
無意識に嫌わないと思っていた。
彼女が私を嫌うことなどないと。
何をしても、いつものように、仕方ないわねと笑ってくれるのではないかと。
「ほっと、しました……」
「ルシウス…」
「あなたも、でしょう?ベラトリクス。あなたをデス・イーターと知っても、そうではない貴女に、なんの屈託もなく接してくれるから、あの娘が好きなのでしょう?」
「何をしても、そこにいて、受け入れてくれる人がいる。そう信じたかった…それは、弱さでしょうか」
「………そう。弱さだ。そんなものは、必要ない。誇り高い私たちには」
だけど、今までそんなものは、与えられなかった。
期待にこたえられなければ、望む道を進まなければ、許されなかった私たち。
それを当然と思っていた。私たちだからその期待に答えられるのだと誇らしく、進んだ。
誰かがそこで待っていてくれる。
いつか立ち止まりたくなったときに、受け止めてくれる。
そんな存在があるなんて、思いもしなかった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・必要、ありません。私たちには」
自分に言い聞かせるようにつぶやいて、ルシウスはそっと、右手に握った仮面をつけた。