4年生(親世代) 完結 (35話)
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3
「すまない。今は、君の相手をしている余裕がない」
訪ねていった彼は、いっそそっけなかった。
「アルファードさん、あたしは・・・」
冷たい目。
冷たい表情。
初めて出会ったときのシリウスのような。
いえ、それ以上に、冷ややかで、近寄りがたい顔。
「すまないが・・・帰ってくれ。今は、一人がいい」
「だけど」
「愚かなことはしない。それぐらいの分別はある」
心配、だった。
あの二人を失ってしまった、残された人。
「あの、」
バタンと目の前で閉じられた扉に、声をさえぎられて。
きっちりととざされたドアの前で立ちすくむことしか出来なくて。
不安だった。
突然、居なくなってしまった二人。
棺の中を見ても、どこか夢を見ているみたいで。
イーシャ先生の遺体が見れなかったというのも、あるかもしれない。
ウィリアムの遺体は綺麗だったのに、イーシャ先生の遺体は・・・あたしには見れなかった。
ただ、いつも彼が授業のときに身につけていた、優しいブルーグレイのローブがあって。
その下に、見えた袋。
その中は、断固として見せてはもらえなかった。
だから、余計に実感がない。
あの人たちが、居ないのだという実感が。
ホグワーツに帰ったら、いつものように笑っていそうで。
いつもの調子でそこに居そうで。
居るはず、ないのに。
だから、アルファードさんだけは、居てほしかった。
居なくなったり、しないで。
そこに、いるよね?
アルファードさんは、いるよね?
こんこん、とただただ、ドアを叩き続ける。
答えが、ほしい。
そこにいる、という答えがほしい。
「サクラ?」
振り向いたそこに、シリウスがいた。
「お前、なにやってんだ?」
くったくのない笑顔で、えらく上等な服にきっちり身を包んでいるのに、態度だけは乱雑で。
普段は解いてしまいがちなネクタイすらきれいに締めているその姿は、久しぶりに見た。
「なんだよ、葬式帰りみたいな格好で・・・叔父上と知り合いだったのか?」
「シリウス」
「ん?」
ぽろっと、最初の一滴が頬を滑り降りたのが、きっかけだった。
「わ、な、なくなっ!なんだよ、いきなり!」
慌てたように駆け寄ってきたシリウスが、あたしの顔を覆っていた手をとって、覗き込むのがわかる。
「どうしたんだよ、いったい・・・」
あの人たちは、もういない。
いなくなったら、なんていう恐怖じゃない。
理不尽に奪われた怒りでも、悲しみなんていう言葉で表せるようなものでもない。
ただただ、身体中が冷え切って、どこか、全てが切り離された遠い世界のようなぼんやりとした感覚の中で、壊れたように涙だけがあふれていた。
あの人たちはもういないんだ。
あの二人は、もういない。
二度と、帰ってこない。
しゃべらない。
うごかない。
わらわない。
もう、側にいてくれない。
あんな風に、話を聞いてくれたり、いろいろなことを教えてくれることもない。
ぎゅっと胸が締め付けられるような、そんな感触。
大声をあげたかった。
なのに、声が喉に詰まって出てこなかった。
想いがどこかで固まってしまったように、声も喉の奥で、固まってしまったみたいだ。
冷たい塊のような感覚が、喉の奥に居座って、声が出ない。
だから、ほとばしる声のかわりに、涙をこぼすしかなかった。
「泣くなって・・・」
困ったようにそういいながら背中を撫でてくれるシリウスの手がうれしかった。
その中で、ああ、言わなきゃ、と思った。
「シ、リウス・・・」
「ん?」
「ころされた、の・・・」
「誰が?」
またか、というような響きがその声にある。
それほど、日常的に・・・人が次々と死んでいく。
「ぽ、ポッター先生と、イーシャ先生が・・・っ」
あの二人が死んだのよ、シリウス。
あの、二人が。
「なんだと…?」
痛いぐらいの力でつかまれて。
「ウィリアム・ポッターが、死んだ?」
「死んだ、わ」
知らなかったのか。
新聞にも、載ったのに。
「何で知らないのよ…っ」
あの人たちの死を、どうしてあなたが知らないのよ!
「ブラック家、でしょ…!」
闇の情報が最も入りやすい場所じゃないの!?
ぐっと、シリウスの顔が苦痛にゆがむ。
「なんで知らないのよ・・・っ」
デス・イーターが、やったことなのに!
「…俺は・・・・・・・・・・・・・・・・」
にらみつけようとあげた視線とぶつかったのは、仮面を貼り付けたような無表情と傷ついたような色の、灰色の瞳。
「あ・・・・・・・・・・・・・・」
しまった。
「悪い」
ぽつり、と告げられた言葉に、謝罪の言葉が、のどの奥に消えていく。
「シリウス!」
ばしゃっと水たまりの中に放り出されて、あげた声にシリウスが一瞬振り向いた。
困ったような、まずい、というような、そんな顔をして。
それでも、振り返ることなく走り出した。
「ジェームズ…っ」
そんな声を残して。
「すまない。今は、君の相手をしている余裕がない」
訪ねていった彼は、いっそそっけなかった。
「アルファードさん、あたしは・・・」
冷たい目。
冷たい表情。
初めて出会ったときのシリウスのような。
いえ、それ以上に、冷ややかで、近寄りがたい顔。
「すまないが・・・帰ってくれ。今は、一人がいい」
「だけど」
「愚かなことはしない。それぐらいの分別はある」
心配、だった。
あの二人を失ってしまった、残された人。
「あの、」
バタンと目の前で閉じられた扉に、声をさえぎられて。
きっちりととざされたドアの前で立ちすくむことしか出来なくて。
不安だった。
突然、居なくなってしまった二人。
棺の中を見ても、どこか夢を見ているみたいで。
イーシャ先生の遺体が見れなかったというのも、あるかもしれない。
ウィリアムの遺体は綺麗だったのに、イーシャ先生の遺体は・・・あたしには見れなかった。
ただ、いつも彼が授業のときに身につけていた、優しいブルーグレイのローブがあって。
その下に、見えた袋。
その中は、断固として見せてはもらえなかった。
だから、余計に実感がない。
あの人たちが、居ないのだという実感が。
ホグワーツに帰ったら、いつものように笑っていそうで。
いつもの調子でそこに居そうで。
居るはず、ないのに。
だから、アルファードさんだけは、居てほしかった。
居なくなったり、しないで。
そこに、いるよね?
アルファードさんは、いるよね?
こんこん、とただただ、ドアを叩き続ける。
答えが、ほしい。
そこにいる、という答えがほしい。
「サクラ?」
振り向いたそこに、シリウスがいた。
「お前、なにやってんだ?」
くったくのない笑顔で、えらく上等な服にきっちり身を包んでいるのに、態度だけは乱雑で。
普段は解いてしまいがちなネクタイすらきれいに締めているその姿は、久しぶりに見た。
「なんだよ、葬式帰りみたいな格好で・・・叔父上と知り合いだったのか?」
「シリウス」
「ん?」
ぽろっと、最初の一滴が頬を滑り降りたのが、きっかけだった。
「わ、な、なくなっ!なんだよ、いきなり!」
慌てたように駆け寄ってきたシリウスが、あたしの顔を覆っていた手をとって、覗き込むのがわかる。
「どうしたんだよ、いったい・・・」
あの人たちは、もういない。
いなくなったら、なんていう恐怖じゃない。
理不尽に奪われた怒りでも、悲しみなんていう言葉で表せるようなものでもない。
ただただ、身体中が冷え切って、どこか、全てが切り離された遠い世界のようなぼんやりとした感覚の中で、壊れたように涙だけがあふれていた。
あの人たちはもういないんだ。
あの二人は、もういない。
二度と、帰ってこない。
しゃべらない。
うごかない。
わらわない。
もう、側にいてくれない。
あんな風に、話を聞いてくれたり、いろいろなことを教えてくれることもない。
ぎゅっと胸が締め付けられるような、そんな感触。
大声をあげたかった。
なのに、声が喉に詰まって出てこなかった。
想いがどこかで固まってしまったように、声も喉の奥で、固まってしまったみたいだ。
冷たい塊のような感覚が、喉の奥に居座って、声が出ない。
だから、ほとばしる声のかわりに、涙をこぼすしかなかった。
「泣くなって・・・」
困ったようにそういいながら背中を撫でてくれるシリウスの手がうれしかった。
その中で、ああ、言わなきゃ、と思った。
「シ、リウス・・・」
「ん?」
「ころされた、の・・・」
「誰が?」
またか、というような響きがその声にある。
それほど、日常的に・・・人が次々と死んでいく。
「ぽ、ポッター先生と、イーシャ先生が・・・っ」
あの二人が死んだのよ、シリウス。
あの、二人が。
「なんだと…?」
痛いぐらいの力でつかまれて。
「ウィリアム・ポッターが、死んだ?」
「死んだ、わ」
知らなかったのか。
新聞にも、載ったのに。
「何で知らないのよ…っ」
あの人たちの死を、どうしてあなたが知らないのよ!
「ブラック家、でしょ…!」
闇の情報が最も入りやすい場所じゃないの!?
ぐっと、シリウスの顔が苦痛にゆがむ。
「なんで知らないのよ・・・っ」
デス・イーターが、やったことなのに!
「…俺は・・・・・・・・・・・・・・・・」
にらみつけようとあげた視線とぶつかったのは、仮面を貼り付けたような無表情と傷ついたような色の、灰色の瞳。
「あ・・・・・・・・・・・・・・」
しまった。
「悪い」
ぽつり、と告げられた言葉に、謝罪の言葉が、のどの奥に消えていく。
「シリウス!」
ばしゃっと水たまりの中に放り出されて、あげた声にシリウスが一瞬振り向いた。
困ったような、まずい、というような、そんな顔をして。
それでも、振り返ることなく走り出した。
「ジェームズ…っ」
そんな声を残して。