2年生(親世代) 完結 (35話)
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27
その事件は、唐突だった。
魔法使いには、時折、感情のままに力を暴走させることがあるらしい。
それは、『賢者の石』でも『アズカバン』でも見た。
だけど、それがどういうことなのか…いまいちわかっていなかった。
そして…もう一つ。
その暴走は、魔力の強さに比例する、ということすら…あたしは想像することすらしていなかった。
もう一つ…人によって、魔力の強さとは違うものなのだ、ということも。
なにがきっかけだったのか、あたしは知らない。
ただ、知っているのは、突然教室の前方からシリウスの怒鳴り声がしたこと。
それに対して、魔法薬学の教師が何かを言ったこと。
それから…教室中に、吹き荒れた、嵐のような時間。
それだけ。
「まったく、たいした魔力じゃわい」
あきれた調子でそうつぶやいたダンブルドアの顔は、険しかった。
シリウスを落ち着かせ、医務室に連れて行ったマダム・ポンフリーと、それに付き添ったジェームズ。
そのジェームズは…全身が血まみれになるほどの傷を負っていた。
ジェームズだけじゃない。
教室にいた誰もが、大なり小なり、傷を負っている。
幸いにも、あたしは軽く済んだのだけど。
避難訓練なんて役に立たないと思っていたけど、人生なにが幸いするかわからない。
びば。避難訓練。
床が揺れた瞬間、反射的に机の下に滑り込み、上から落ちてきたシャンデリアの直撃を受けずに済んだのだ。
おかげで、一番軽傷だったあたしが事情説明のためにココに残ってる。
…ま、他の生徒が一番軽傷でもあたしが残されたとは思いますが。
「さすがはブラック家の長男というべきですかねえ…」
「ふむ…」
ひょい、という杖の一振りでシリウスのしでかしたすべてが元に戻った。
落ちたシャンデリアも、真っ二つに裂けた壁も、粉々になった大きな机も。
もちろん、床に散乱したガラスやなべや・・・ちょっと見たくないぐらいグロテスクな材料の数々も。
「それにしても、強い魔力じゃ。おそらく、ブラック家の誰よりも強い。…長じては大した魔法使いになるだろう」
「そんなに強いの?」
ダンブルドアが驚くほどに?
いつもの茶目っ気は影を潜めて、ダンブルドアの目は鋭い光を放っていた。
「強い」
短いのに、その言葉が、ずしり、とのしかかってきたような気がした。
「同年代にもあれほどの魔力を持つものはそうはいない。…この時代に、ブラック家にそのようなものが生まれるとは…」
この時期…。
まさか。
「…シリウスが、ヴォルデモートの仲間になったときのことを心配しているの?」
マクゴナガル先生は息を呑み、一瞬、虚をつかれたような顔をしたダンブルドアの目が、鋭く光る。
「…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その沈黙は、明確な肯定だった。
あたしは、少なくともそう感じた。
「ないわよ。それだけは」
絶対にね。
「…予見か?」
「予見なんてしなくたってわかる。シリウスは闇の陣営には行かない。…それよりも、警戒するべき人がいるんじゃない?」
ルシウス、ベラトリクス、レストレンジ…それから、セブルス・スネイプ。
この年代には、不思議なほどたくさんの闇の魔法使いがいる。
皆、闇の時代を生き延びて、デスイーターとしてヴォルデモートに組した。
もちろん、彼らだけじゃない。
ああ。あの時…マッドアイ・ムーディーはなんて言ってたっけ。
あの時は、騎士団の数に対して、デスイーターは4倍はいたと言っていた。
騎士団の数は…あの時代より、多かったはずなのに。
ブラック家の血脈でデスイーターにかかわらないのは、シリウスただ一人。
そして…最後に、シリウスは、殺されるのだ。彼らに。
「それならば…それが、本当なら、どんなに良いか…」
む。
信用されてないってこと?
…腹立つわねえ。
…いえ、それよりも…そんな一言やそこらでは、払いきれないほど…ブラック家の闇は濃いのかも知れないから。
うむ。一度…。
ちゃんとブラック家について調べてみなきゃダメかもしれない。
目で見たものだけで、聞きかじったことだけで、それを判断するのは危険なような気がする。
だから。
これからもシリウスをささえようと思うのなら、調べなければ。
これからの、ために。
未来のために。
悩めるダンブルドアの後ろで、あたしはひそかにガッツポーズを決めてそう決意した。
その事件は、唐突だった。
魔法使いには、時折、感情のままに力を暴走させることがあるらしい。
それは、『賢者の石』でも『アズカバン』でも見た。
だけど、それがどういうことなのか…いまいちわかっていなかった。
そして…もう一つ。
その暴走は、魔力の強さに比例する、ということすら…あたしは想像することすらしていなかった。
もう一つ…人によって、魔力の強さとは違うものなのだ、ということも。
なにがきっかけだったのか、あたしは知らない。
ただ、知っているのは、突然教室の前方からシリウスの怒鳴り声がしたこと。
それに対して、魔法薬学の教師が何かを言ったこと。
それから…教室中に、吹き荒れた、嵐のような時間。
それだけ。
「まったく、たいした魔力じゃわい」
あきれた調子でそうつぶやいたダンブルドアの顔は、険しかった。
シリウスを落ち着かせ、医務室に連れて行ったマダム・ポンフリーと、それに付き添ったジェームズ。
そのジェームズは…全身が血まみれになるほどの傷を負っていた。
ジェームズだけじゃない。
教室にいた誰もが、大なり小なり、傷を負っている。
幸いにも、あたしは軽く済んだのだけど。
避難訓練なんて役に立たないと思っていたけど、人生なにが幸いするかわからない。
びば。避難訓練。
床が揺れた瞬間、反射的に机の下に滑り込み、上から落ちてきたシャンデリアの直撃を受けずに済んだのだ。
おかげで、一番軽傷だったあたしが事情説明のためにココに残ってる。
…ま、他の生徒が一番軽傷でもあたしが残されたとは思いますが。
「さすがはブラック家の長男というべきですかねえ…」
「ふむ…」
ひょい、という杖の一振りでシリウスのしでかしたすべてが元に戻った。
落ちたシャンデリアも、真っ二つに裂けた壁も、粉々になった大きな机も。
もちろん、床に散乱したガラスやなべや・・・ちょっと見たくないぐらいグロテスクな材料の数々も。
「それにしても、強い魔力じゃ。おそらく、ブラック家の誰よりも強い。…長じては大した魔法使いになるだろう」
「そんなに強いの?」
ダンブルドアが驚くほどに?
いつもの茶目っ気は影を潜めて、ダンブルドアの目は鋭い光を放っていた。
「強い」
短いのに、その言葉が、ずしり、とのしかかってきたような気がした。
「同年代にもあれほどの魔力を持つものはそうはいない。…この時代に、ブラック家にそのようなものが生まれるとは…」
この時期…。
まさか。
「…シリウスが、ヴォルデモートの仲間になったときのことを心配しているの?」
マクゴナガル先生は息を呑み、一瞬、虚をつかれたような顔をしたダンブルドアの目が、鋭く光る。
「…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その沈黙は、明確な肯定だった。
あたしは、少なくともそう感じた。
「ないわよ。それだけは」
絶対にね。
「…予見か?」
「予見なんてしなくたってわかる。シリウスは闇の陣営には行かない。…それよりも、警戒するべき人がいるんじゃない?」
ルシウス、ベラトリクス、レストレンジ…それから、セブルス・スネイプ。
この年代には、不思議なほどたくさんの闇の魔法使いがいる。
皆、闇の時代を生き延びて、デスイーターとしてヴォルデモートに組した。
もちろん、彼らだけじゃない。
ああ。あの時…マッドアイ・ムーディーはなんて言ってたっけ。
あの時は、騎士団の数に対して、デスイーターは4倍はいたと言っていた。
騎士団の数は…あの時代より、多かったはずなのに。
ブラック家の血脈でデスイーターにかかわらないのは、シリウスただ一人。
そして…最後に、シリウスは、殺されるのだ。彼らに。
「それならば…それが、本当なら、どんなに良いか…」
む。
信用されてないってこと?
…腹立つわねえ。
…いえ、それよりも…そんな一言やそこらでは、払いきれないほど…ブラック家の闇は濃いのかも知れないから。
うむ。一度…。
ちゃんとブラック家について調べてみなきゃダメかもしれない。
目で見たものだけで、聞きかじったことだけで、それを判断するのは危険なような気がする。
だから。
これからもシリウスをささえようと思うのなら、調べなければ。
これからの、ために。
未来のために。
悩めるダンブルドアの後ろで、あたしはひそかにガッツポーズを決めてそう決意した。