端的に言えば、私は『転生トリップ』というものをしたらしかった。

ネット小説ではよく見られた現象。コミカライズされたものも多かったっけ。

ただ、私の場合、転生した世界が問題だったのだ。


自分でも、よく叫び出さなかったなと思う。

何故、この人がこんなところ（私の目の前）にいるんだろう。

「俺は今日からお前の父親になる、張飛だ。こっちは、息子の張苞と、その妹の星彩。お前の兄ちゃんと姉ちゃんだな」

私に朗らかに語りかける大男は、私がこよなく愛するゲーム、真・三國無双の張飛その人で、私の手を引いてきたのは張苞と星彩だという。

……本当に、よく堪えたなぁ、私……

「お前の名前は……そうだな、星彩の妹だから、月紫（げつし）でどうだ？」

「月紫……いい名前じゃねぇか！」

張飛、さんの提案に、張苞くんが賛成する。

私はと言えば、まだ混乱が収まっておらず、問題ありません、と合ってるんだかどうだかよくわからない返事をしてしまった。