あぁ…なんでこんなことになってしまったんだろう…

「親父ーっ！」

自分より背の高い男の子と女の子に手を引っ張られ、どこかへと連れて行かれる。

「大変だ、親父！」

男の子が扉を蹴破らんばかりの勢いで部屋に飛び込む。

それに引き摺られて、少しつんのめった。

「おう、どうした？」

うるせぇなぁ、と言いながら奥から出てきた赤ら顔の大男を私は知っている。

そうか。ということは、私の両手をしっかり握りしめるこの子たちは…

でも、何故。どうして。

「お前、名前は？言えるか？」

突然、大きな手が頭に乗せられて我に返る。

「あ…えと…」

言い淀む私に、目の前の大男は歯を見せて笑った。

「いい、いい。心配すんな。そうだ、どうせなら新しい名前にすっか。今日からお前は、うちの子だ！」

ーーその日、私の新しい人生が始まった。