翡翠様リクエスト(可楽夢)

お相手 : 可楽(夢主は鬼設定)

・炭次郎が産まれる前の時間軸
・夢主は気弱な性格をした鬼、争い事が嫌い。
・血鬼術は横笛による幻術(意識した相手に幻術を掛けて同士討ちさせたり戦意損失させたりする)

【お話の詳細】
ある時分裂して青い彼岸花を探していた可楽と偶然縄張りの森の中で出会う夢主。
可楽の瞳に上弦・肆と刻まれている事に気が付いて固まる夢主とそんな夢主を見てにんまり笑う可楽。

青い彼岸花を見ていないかと尋ねる可楽に、赤い彼岸花が咲いている場所なら知っているが、青い彼岸花は知らない言う夢主。
それにもしもの場合があるからとその場所に案内して欲しいと言う可楽。
(その道中に夢主の性格を把握して鬼にしては珍しく欲が無いと言う可楽にただ臆病なだけと返す夢主)

その後彼岸花の咲いている場所に辿り着くも見渡す限り赤い彼岸花ばかりで外れかと肩を落とす可楽。
それに慌てて力になれず申し訳ないと可楽と同じ様に肩を落とす夢主。
それを見て気にするなと笑い青い彼岸花はなかったが今回夢主と会えた事が収穫だと言って近くにあった一輪の彼岸花を手折って夢主の髪に挿す可楽。
それに顔を真っ赤に染めた夢主を見て口元を緩め自分は夢主を気に入った、また会いに来ていいかと言う可楽に小さく頷く夢主。

その後分裂する度に夢主に会いに行く可楽。
夢主の事は可楽から聞いている為、可楽が居なくなった後一度会ってみたいと言う空喜と自分達に面倒をかけないなら好きにすればいいと言う積怒、可楽に気に入られるなんてついてないと言う哀絶。

そんなある日偶然夢主が鬼狩り達と戦闘している所に出会し夢主がどうやって戦うのか気になり見届ける事にする可楽。
最初の内は攻撃を躱したり逃げたりするばかりだったが相手が諦めない事を悟り、血鬼術で横笛を作り出し吹き始める夢主。

すると次の瞬間には目を疑うような阿鼻叫喚の地獄絵図が広がる。
(お互いの姿が夢主に見えて同士討ちを始め辺り一面血の海になる)

その一部始終を見ていた可楽は厄介な血鬼術だと思いながら、亡骸達の側に立っている夢主の前に姿を現す。
突然姿を現した可楽に驚く夢主に対して、いつもの調子で話しかけ、美しい旋律だったと言う可楽にお礼を述べる夢主。
しかし夢主がどこか浮かない表情をしている事に気付き尋ねる可楽。

すると躊躇いがちに争い事が嫌いだと言い、相手が鬼でも人間でも傷付けたくないと言う夢主。
それに可楽は夢主らしいと笑い、そんな夢主の事を自分はとても好ましく思うと言う可楽。

しかし現実はそうもいかない、その優しさは命取りになりかねないと言う。
その言葉に可楽の言う通りだと言い謝罪の言葉を述べ、でもそれでもやはり自分は争いたくない、こんな事を言う私はただの臆病者だと泣きそうな顔をして言う夢主。
それを見て思わず手を伸ばし抱き寄せる可楽。
(守ってやりたいと言うような何とも言えない思いにかられる)

それに驚き固まる夢主に可楽は、夢主は臆病者などではない、ただ優し過ぎるだけだと言う。
だが以前言ったように自分は夢主を気に入っている、だから夢主が自分の前から居なくなってしまうのは嫌だと言い、酷だが割り切るようにと諭す可楽に承諾の言葉と共に頷く夢主。
(柄にも無く一生懸命夢主を説得している内に、自身が夢主に好意を寄せていることに気が付く可楽)

自分の言葉を素直に受け止め受け入れてくれた夢主の事が、とても愛おしく感じきつく抱きしめる可楽と、抱き締められながら何かを考え込むかのような顔をする夢主。

それから暫くして分裂して会いに行くも姿を消してしまう夢主。
突然姿を消してしまった夢主を必死に捜し回る可楽に鬼狩りにやられたのではないかと言う積怒。
それに夢主はそんなに弱い鬼ではなかったと言う可楽。

いつになく必死で真剣な可楽に積怒も、真剣にならば生きていると仮定して何故姿を晦ましたと言われるが返す言葉が出て来ない可楽。
その後も夢主を諦めきれず捜し続けるも手掛かりがなく苛立つ可楽。
そして更に数ヶ月たったある日の夜、偶々猗窩座と出会し青い彼岸花についての情報交換をする四鬼と積怒の掌に座っている本体。
するとこの前、この先の森で面白いものを見たと言う猗窩座。
話の内容は鬼同士の縄張り争いで猗窩座はそれを木の上から何気なく見ていて、体格の良い男の鬼が勝ってひ弱な女の鬼が死ぬだろうと思っていたが、何とその女の鬼が相手の鬼を撃退し、縄張り争いに勝利したのだと言う。
それを聞いてその鬼の特徴を聞いた可楽は夢主だと気付きその森に向かう。

暫く森の中を歩き回っていると夢主と出会す可楽。

夢主は可楽を見た瞬間踵を返して逃げ出し、そんな夢主を見て逃してたまるかと追い掛ける可楽。
その後暫くの間追いかけっこが続くが不意に夢主が振り返って横笛を唇に当てようとしたため、そうはさせるかと一気に距離を詰めそのまま勢いよく夢主の両肩を掴み近くの木に押しつける可楽。

その衝撃に夢主が呻き手にしていた横笛が足下に落ちてしまう。
それにハッとして横笛を拾おうとするが、それより先に勢いよく顔の両側に可楽が両手を突いたと同時に足の間に強引に片膝を割り込ませてきたため、動きを封じられ可楽の腕の中に閉じ込められてしまう夢主。

顔の横でした大きな音にびくりと肩を震わせ身を竦める夢主を見下ろしながら、やっと捕まえたと言う可楽。
普段より低い声に恐る恐る可楽の顔を見上げると、いつも笑っている可楽が笑っていない事に気が付く夢主。

そんな夢主に理由を問い質し始める可楽に対して、いつもと違う可楽が怖くて視線を逸らし黙り込んでしまう夢主。
そんな夢主に可楽は目を細めると、片方の手で夢主の顔を掴んで上を向かせる。
それから、自身の顔を近付けて話すまでずっとこのままだと言う可楽。

その言葉に絶対譲らないと言う強い意思を感じ、観念して恐る恐る口を開く夢主。
あの場所から何も言わず姿を消したのは自分が可楽の事を好きになってしまったからだと言う夢主。
可楽と一緒に過ごす時間はとても楽しく心地良かったと言い、もっともっとと求めてずっと一緒に居たいと言う欲が生まれた。
そこで初めて自分がまるで人間のように可楽に好意を抱いていることに気が付いたのだと言う夢主。
こんな下級の鬼である自分が上級の鬼…上弦の肆の座に就く半天狗の分裂体である可楽に想いを寄せる等烏滸がましいにも程があると言い、それに呪いのせいで長く一緒に居ると共喰いに発展してしまう、敵わず返り討ちにあうのは目に見えているが可楽を傷付けるなんて絶対に嫌だったため可楽から離れたのだと言う夢主。

するとそれまで夢主の話を黙って聞いていた可楽は、そっと夢主の顔から手を離し上体を起こすと突然笑い出す。

そんな可楽に呆気にとられる夢主。
そんな夢主に構う事なく笑いながら再び手を伸ばし優しく夢主の頬を撫でる可楽。

そして夢主ににんまり笑うと何だそんな事かと言った後、自分は夢主が自分の事が嫌いになっていなくなったのかと思ったと言われ慌てて否定する夢主。

その必死に否定する姿がとても愛おしく感じ、夢主を抱き締める可楽と固まる夢主。
そして身分や立場など関係ない、鬼だって人間のように好意を持つ。自分も夢主の事が好きだと言う可楽に驚く夢主。

そしてお互いに好いているのだから離れる必要はないだろうと言う可楽に、しかし呪いがと戸惑う夢主。
それに確かに呪いは厄介だなと言った後、長い間共にいると共喰いの衝動にかられるかも知れない、だがその衝動の兆しが現れた間だけお互いに距離を置けば何の問題もないだろうと言う可楽。

好きなのに手放すなど自分には無理だと言い、鬼でも人間でも大切なものは手元に置いておきたいものだと言う。それから、自分の側にいろと言葉を続けた可楽におれて頷く夢主。

その様子を後から追いかけて来た他の分裂体達が陰から見守っておりやれやれと思いながらもほっと胸を撫で下ろすお話。