第三章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「君の方が何だか便所に住んでいそうだけど……」
「黙れ、便所虫!お前のような手足の短いちんちくりんの刃、私の首には届かない」
「いや、さっき思いきり届いてたでしょ?そもそも君の方が手足短いし……ああ、もしかして自分に対して言ってる?独り言だった?邪魔してごめんね?」
淡々と挑発の言葉を並べる無一郎に、玉壺も負けじと眉を吊り上げる。
いつの間にやら始まった彼らの罵声の掛け合いに、茜の背中にはヒヤリと冷たいものが伝う。
「なんかその壺の形歪んでない?左右対称に見えないよ、下っ手くそだなあ」
「それは貴様の目玉が腐っているからだろうがァァァァ!!」
そして案の定、無一郎の小馬鹿にする様な物言いに、玉壺は怒りを露わにする。
「血鬼術
「……無一郎君っ、」
作品にしてやろうと声を荒げた玉壺の攻撃に、茜が慌てて声を上げた。
しかし、それを上回る速さで無一郎は刀を振るい、人喰いの魚だけでなく、その体液の猛毒までもを弾き飛ばし……
「
物凄い勢いで、玉壺の首にも斬りかかる。
しかし、相手は上弦……、一筋縄ではいかないようだ。
首を斬ろうとする無一郎よりも早く、体を脱皮させその攻撃を回避する。
その間、コンマ数秒の出来事。
無一郎を加勢したくとも、刀を持たない今の自分では足手纏いだと判断した茜は、その背を眺めながらぐっと拳を握りしめた。
一方無一郎は、そんな茜の思いもつゆ知らず、上弦相手にまたしても淡々と文句を口にする。
「避けて木の上に逃げるのやめてくれないかな」
「……お前には私の真の姿を見せてやる」
「はいはい」
「この姿を見せるのはお前で三人目」
「結構いるね」
「黙れ!!私が本気を出した時、生きていられた者はいない」
「すごいねー」
「口を閉じてろ馬鹿餓鬼が!!」
そして、玉壺は怪しく笑うと真の姿を露わにした。
壺から這い出てきた体は、大蛇のような形をしていた。
体全体は魚のような無数の鱗で覆われていて、尾を木の幹にぐるりと巻きつくように動かした後、玉壺はニヤリと口元を吊り上げた。
そして、玉壺が壺から這い出た瞬間、先程よりも重たくなったその場の空気。
茜が、その禍々しい殺気に思わず息を呑む一方、無一郎はまた違った意味で口を閉ざしていた。
「……」
「この完全なる美しき姿に平伏すがいい」
「…………」
「何とか言ったらどうなんだこの木偶の坊が!!本当に人の神経を逆撫でする餓鬼だな!!」
「いや、だってさっき黙ってろって言われたし。それにそんな吃驚もしなかったし……」
無一郎の言葉を待たずして玉壺が拳を振り抜けば、その手が触れた場所から大量の魚が現れる。
咄嗟に躱し、木の上に逃げた無一郎の隊服の一部も、その拳に触れたようで一部が鮮魚へと姿を変えた。
そしてその攻撃は少し距離を置いていた茜達の元にも迫ってきて、咄嗟に鋼鐵塚と鉄穴森を押し倒すように攻撃を避けた茜は、慌ててその身を起き上がらせた。
「どうだね、私のこの神の手の威力……」
そう言って、如何に自分の攻撃が素晴らしいものなのか再び饒舌に語り始めた玉壺の様子に、
「どんな凄い攻撃も、当たらなかったら意味ないでしょ」
無一郎は不敵に口元を吊り上げた。
******
無一郎の言葉を合図に始まった激しい戦闘ー……
「ねえ君は、君はさ……」
たったの14歳で柱になった彼の凄さを理解している茜でさえも、上弦を寄せつけないその身のこなしに驚きを隠せないでいる。
勿論、そんな事すら知りもしない玉壺に至っては、霧に撒かれたように踊らされる自分の攻撃に、目を見開いて怒りを露わにしていたのだが……
「何で
ぽとりと落とされたその問いかけに玉壺が口を開く間も無く、そのまま首が転がり落ちる。
玉壺も何が起こったのか判断がつかないようで、一瞬静まり返った空間に誰かの息を呑む音がごくりと響く。
圧倒的な実力の差を見せつけた無一郎に、茜だけでなく、鉄穴森も一瞬言葉を失った。
しかし、その静けさも数秒だけ……
状況を理解した玉壺がぎゃーぎゃーと喚き声を上げ始めれば、無一郎は無表情のまま刀を振り上げた。
「弱く!生まれたらただ老いるだけの!つまらぬくだらぬ命を私がこの手!神の手により高尚な作品にしてやったというのに!!この下等な蛆虫共がっ………」
「もういいからさ、早く地獄に行ってくれないかな」
そんな一言と共に、無一郎は今度こそ鬼を細かく切り捨てた。