第一章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ふふっ。三人とも全集中の呼吸がうまく続けられるようになってきたね?……関心、関心!!」
そう言って口角を上げた茜に、三人は嬉しそうに顔を上げた。
「当たり前だろー!!俺は山の王だからな!!」
「おまっ、伊之助!!茜さんのおかげだからな、コレは!!茜さん、ありがとうございます〜。あはは、お礼ついでに茜さん、結婚してくだ、ぶふぁっ」
「伊之助も善逸も。任務明けに訓練をつけてくれた茜さんに失礼だろう!!」
「この、炭治郎ォォオー!!だからって殴ることはないだろう!?……痛いんだが?普通に痛いんだが!?」
ギャーギャーと騒ぎ立てる三人を前に、茜は「相変わらず仲がいいなー」なんて呟いて、腕を組みながら、うんうんと頷いていた。
******
茜が炭治郎に稽古をつけてやる様になってから一ヶ月余りーー…。
つい先日から稽古に加わった善逸と伊之助も、炭治郎の助言や、しのぶ、茜といった既に全集中常中を会得している者からの指導のおかげで、着実に
その証拠に、泥だらけでへとへとになりながらも、
「よっと、と、と……あちゃ〜……」
「ぬはははっ!!見たか〜、伊之助様の実力を〜!!」
漸く茜を円の外まで追いやることに成功した彼らの成長は、本当に素晴らしいものだった。
元々、三人共に身体能力は高いようだし、彼らは成長期真っ只中の少年たちだ。
まだまだ全集中の呼吸を常中出来る様になっただけではあるものの……
この呼吸を使い熟せるかどうかは、彼らの今後に大きな変化をもたらすだろう。
更に力をつける為の第一歩を確実に踏み出した三人に、茜は自然と頬を緩めた。
「それで炭治郎君、しのぶちゃんの診察はどうだったの?」
「はい。さっき丁度診てもらって、もう顎の方も大丈夫との事でした。あとは任務が入るのを待つのみです」
「そう、良かったね。じゃあ、もしこれから同じ任務につくことがあったら宜しくね?」
そう言ってふわりと笑みを溢した茜に、炭治郎も力強く頷いた。
そんな彼らを隣で見ていた……いや、正確には
茜からも、炭治郎からも、互いを思いやる優しい音色が響いていて、その音を聴いている善逸にとっても、とても心地いいものだった。
炭治郎の言葉をにこにこと嬉しそうに聞いてる茜の姿は、まるで本当の姉弟のように見えてしまうほどである。
……しかし、炭治郎に比べれば稽古をつけてもらった数こそ少ないが、蝶屋敷で自分だって毎日顔を合わせていたはずだと気づいた善逸も、すかさず二人の間に割って入る。
「炭治郎抜け駆けなんて狡いぞっ!!茜さん、俺とも宜しくして下さいねェェ〜?」
「ふふっ、勿論、善逸君も宜しくね?頼りにしてるよ?」
「頼りっ!?いやいやいやいや……俺すっごく弱いので!!すぐやられちゃうかもしれないので!!茜さん、俺の事守っぶふぉ、「おいコラ!ヘラヘラ女!!次こそは俺が勝つからな!!首を洗って待ってろよ!!………それから、訓練の礼に此れをやるよ!」
そこへ負けじと善逸を吹き飛ばしながら伊之助も乱入してきて、つやつやのドングリを茜の前に差し出した。
それには茜も一瞬キョトンと伊之助を見つめるが、ドングリをその手で受け取ると、それはもう楽しそうにケラケラと笑い始めた。
「ふふっ、もう、っ本当に可愛い!!ありがとう伊之助君!!」
「ハッ!そんなに気に入ったんなら、また探してきてやるよ!!俺は親分だからな!!子分の頼みだからな!!」
そう言って、ふんッと鼻を鳴らした伊之助に、善逸は「頼んでねぇよ!」とすかさず突っ込みを入れていた。
そんなやり取りを嬉しそうに眺めていた茜は、三人に優しく笑いかける。
「皆んなとの訓練は、私にも良い刺激になったよ!三人とも、ありがとう!!皆んな随分強くなったから、私も抜かされないように、毎日鍛錬頑張るね!!」
そこへ突然彼女の鎹鴉が勢いよく飛んできて、新しい任務を口にする。
「茜任務ダ、任務ダ!!炎柱ト合流セヨ!!」
「へ?……煉獄さん、と?」
「カァ!!ソコノ隊士三人モ、合同任務!!合同ダ〜!!」
そう言って飛び回る鴉の言葉に、四人は互いに顔を見合わせた。
「あはは……もう一緒の任務か〜。思ったより早かったけど……、皆んなと一緒だと思うと頼もしいよ」
苦笑いを浮かべた茜が、三人に向かって口を開けば、彼らもほっとしたように柔らかい笑みを浮かべた。
「……椿、それで任務の内容は?」
「鬼ニヨル被害拡大!!無限列車ニ乗車セヨ!!詳シクハ現地ノ炎柱ニ聞ケ!!」
「列車……遠方なのかな?うーん……」
そう呟いたこの時の茜は、まだ分かっていなかった。
この任務が彼女に……
いや彼女達にとってどんなに過酷で、想像を絶する残酷なものになろうとは、全く想像すらしていなかった。