第一章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
鎹鴉によって伝令が伝えられてから暫くすると、茜の元に数名の隠が現れた。
「槙野さん、申し訳ありませんが鬼殺隊本部までご同行お願いできますか?」
そう問いかけた一人の隠に、茜は素直に頷いた。それから自身の日輪刀を差し出して、眉を下げシュンと肩を落とした茜は「お手数おかけします……」と小さく呟いた。
普段の明るい彼女とはかけ離れたその姿に、隠の男はなんだか申し訳ない気持ちになりながら、その身柄を拘束するのだった。
******
それから茜は、鬼殺隊本部こと産屋敷邸に連行された。
本部に着き庭に通された茜は、見知った顔ぶれの前に顔を青褪めた。気絶している炭治郎は無造作に地面に転がされ、茜はその隣に俯きながら体を縮こまらせて正座する。
そんな茜を見下ろした宇髄は呆れた様に口を開いた。
「なんだ、なんだ?鬼を連れた隊士と、それを庇った隊士がいると聞いて来てみりゃぁ、……槙野、お前何やってんだ?」
「ああ、なんと哀れな……不死川が見たら何というか……」
「……す、すみませんっ、」
それに続くように悲鳴嶼が涙を流し始めれば、茜は罰が悪そうに呟いた。
そのまま恐る恐る視線を上げた彼女に、腕組みをした煉獄が声高らかに言い放った。
「昨日の今日で、この様な事態になるとはな!!槙野を紐で縛り付けておくべきだったか!!?」
「ひぇ……」
煉獄の一言に茜が情けない声を漏らせば、冗談だ!!と真顔で言われた。だが、全く持って笑っていないその目を見れば、それが冗談とも思えなくて、茜は困ったように眉を下げた。
「まあまあ、皆さん。茜さんにも言い分があるでしょうし、まずはそれを聞いてから判断するべきではないですか?」
それまで口を閉ざして傍観していたしのぶが、茜に説明をするように視線を送る。
「……弁明は………ありませんっ、」
しかし、更に体を小さくした茜が、消え入りそうな声でそう呟いた為、しのぶはあらあら…と苦笑いを浮かべた。
「茜さんから説明がないとすると、やはりこの隊士から聞き取りを行うしかありませんね」
そのしのぶの一言で、隠が炭治郎を必死に起こし始める。
最終的に怒鳴るように叫んだところで、漸く炭治郎が目を覚ますと、彼は柱や周りを見回しながら、とても困惑した顔をしていた。
そんな彼に、しのぶが優しい声色で声を掛ける。
「ここは鬼殺隊の本部です。あなたは今から裁判を受けるのですよ、竈門炭治郎君。勿論茜さんもですよ?」
それにもまだ困惑した表情を浮かべる炭治郎に対し、茜は顔を青褪めながら俯いた。
そんな彼らを視界に捉え、再びしのぶが口を開こうとすれば、彼女の言葉を遮るように柱達は口を開く。
「裁判の必要などないだろう!鬼を庇うなど明らかな隊律違反!我らのみで対処可能!鬼もろとも斬首する!!」
「ならば俺が、派手に頸を斬ってやろう。誰よりも派手な血飛沫を見せてやるぜ?もう、派手、派手だ!」
「あぁ……なんというみすぼらしい子供だ。可哀想に……生まれて来た事が、可哀想だ……」
口々に意見を言い始めた柱達だが、炭治郎はそれを気にする様子もなく、キョロキョロと辺りを伺っていた。
「そんなことより、冨岡はどうする?拘束もしてない様に、俺は頭痛がしてくるんだが……胡蝶めの話によると、隊律違反は冨岡も同じだろう?どう処分する?どう責任を取らせる?どんな目に遭わせてやろうか?」
「………」
更に離れた場所で佇む冨岡に、木の上から伊黒も声をかけ、続々と集結し始めた柱の面々に、茜は怯えた様に拳を握る。
そんな彼女の心情には気づく事もなく、裁判はどんどん進んでいく。
「まぁ、いいじゃないですか。大人しくついて来てくれましたし、処罰は後で決めましょう?それよりも私は、坊やの方から話を聞きたいですよ」
しのぶが炭治郎にといかければ、彼は弾かれたように顔を上げた。
柱の大半は炭治郎と禰豆子を殺そうと考えているため、彼は必死に説得する。
禰豆子は人を喰わない、今まで人を喰べた事は一度もないのだと……
しかし、そんな彼の言葉を信じるものは居らず、皆口々に炭治郎に厳しい言葉を投げかけていく。
「あのぉ……でも、疑問があるんですけど……
お館様がこのことを把握してないとは思えないです。勝手に処分しちゃっていいんでしょうか?
いらっしゃるまで、とりあえず待った方が……」
そんな中、蜜璃が思った事を口にすれば、柱達は皆一様に考え込んだ。
その瞬間、炭治郎はここぞとばかりに声を張り上げ、必死に彼らに訴える。
「妹は俺と一緒に戦えます!鬼殺隊として人を守る為に戦えるんです!!だから……」
「オイオイ、何だか面白い事になってるなァ。鬼を連れてたバカ隊員はそいつかィ?一体全体、どういうつもりだァ?」
そこへ彼女が、今一番会いたくないであろう男の声がかかる。
「あァ?……なんでここにお前がいるんだァ」
そして、すぐに炭治郎の隣で拘束されている茜の存在に気づいた実弥は、盛大に顔を歪ませた。
「不死川さん、勝手な事をしないでください……それから、彼を庇い立てした隊士が茜さんですので、彼女にも裁判をかけさせて頂きます。」
「茜……テメェ、………」
実弥に名前を呼ばれた事で、可哀想なくらい肩をびくつかせた茜は、恐る恐る彼へと視線を移し、消え入りそうな声で呟いた。
「……申し訳……ございませんっ、」