第三章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それから直ぐに駆けつけた隠し達に寄って、琴音達は蝶屋敷へと運びこまれた。
琴音はというと、天元の腕の中で眠ってしまっていた訳だが、隠しにおぶわれ蝶屋敷へと到着する頃には目を覚まし、今はしのぶによって診察を受けていた。
「全く、毎度の事ながら琴音は無茶をし過ぎです。
……普通の人間なら、失血多量で死んでいる所です。
まぁ、今回はさすがの琴音でも酷い貧血状態ですから、
二、三日はまともに動けないと思いますが」
そう言って、琴音に小言を口にしたしのぶは
「上弦相手にお疲れ様でした」と眉を下げて微笑んだ。
いつもお説教の一つや二つが当たり前の彼女が、労いの言葉を口にするなんて。
そんな少し失礼な事を考えながら、琴音は苦笑いで口を開く。
「私は途中寝てただけだから、あまり役には立てなかったんだけどね。それに禰󠄀豆子ちゃんが毒を消してくれたおかげで、こうして生きていられるようなもんだし……」
「そうですか、禰󠄀豆子さんが……少し禰󠄀豆子さんの血を、調べさせて貰った方が良さそうですね……」
「そうだね、何か今後にいかせる発見があるかもしれないし…、私も手伝うよ!!」
「確かに琴音は博識ですし、医療にも精通していますから、是非ともお願いしたいところではありますが……
今は駄目ですよ?まずは体調を治してから、そう言う発言をして下さい」
そう笑ったしのぶを見た琴音が〝結局は叱られるのか…〟と項垂れていれば、ここには居ないはずの彼の声が響いた。
「そおだぞ、琴音!胡蝶の言うとおりだ!」
「宇髄さん、貴方も絶対安静の筈ですが……」
部屋の入り口には、失った左手に包帯を巻き、左目には眼帯を付けた天元の姿があった。
「胡蝶世話になった。俺は家に帰らしてもらう」
「えっ!!天元さん、何言ってるんですか!?しっかり療養しないと駄目ですよ!」
「あのな〜琴音、俺は元忍びの宇髄天元様だぞ?お前らとは体の作りからして、まず違う!それに嫁達に世話をしてもらうから、心配いらねぇよ」
それには驚いて声を上げた琴音だったが、天元は当たり前の様にしれっと、そう言い放った。
そんな天元の姿に、しのぶは一つ大きなため息を落とし「本当に柱達は言う事を聞かない人ばかりですね」と呆れた様に口を開き
「では腕に塗る化膿止めと、薬を作って来ますので、少し待っていてください」
としのぶは病室から出て行った。
それと入れ替わる様に、琴音の部屋へと足を踏み入れた天元は、ベッドの横にあるイスにどかっと座った。
「琴音。俺は柱を引退する……さすがの俺でもこの有様じゃあ、まともに戦えねぇからな」
「……そおですか、それは寂しくなりますね」
「あ?柱は引退するが鬼殺隊には席を置く。お前が寂しがらない様に、偶には会いに行ってやるよ!
それに、これからは若手に稽古つけてやるのもいいかもな」
そう言って笑った天元は「そう言えば」と口を開いた。
「お前煉獄と恋仲になったらしいじゃねぇか!」
「な、な、な、なんで!?」
「あ?胡蝶が教えてきたんだよ!〝琴音には煉獄さんがいるので、もう嫁に来いなんて口にしては駄目ですよ〟ってな!!」
しのぶー!!と心の中で絶叫している琴音をゲラゲラと笑って見つめていた天元だったが、ひとしきり笑い終わると彼にしては珍しく顔を引き締め、口を開いた。
「冗談はさておき、今回の件でお前には正式に〝柱になるように〟と、お館様から声がかかるだろう。」
「……そうでしょうね。」
「どうするつもりだ。俺はお館様にお前を推薦する気だし、煉獄は勿論、不死川もお前を柱にと言っているらしい」
それに、キョトンと首を傾げた琴音は「実弥さんが?」と口にした。
「なんだ、知らなかったのか?お前あいつとの合同任務で、下弦の壱をぶった斬ってんだろ?不死川は煉獄が柱を辞めた時から、お館様に口添えしてたらしいが」
「……そうだったんですね。
今回、炭治郎くん達後輩隊士が、あんなに頑張ってくれたの見ていたら……
流石にいつまでも逃げていてはいけないと思いました。お館様には、柱をお受けする様にお伝えするつもりです。」
「本当か!琴音!?」
するといきなり第三者の声が聞こえ、二人は扉の方へと視線をやる。そこには驚いた顔のまま、固まっている杏寿郎の姿があった。
息を切らしている彼の姿からして、どうやら怪我をした知らせを聞いて、こんな早朝から飛んできてくれたようだった。