第三章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
煌びやかな着物を纏った琴音は、ある部屋の前で歩みを止めた。
京極屋の日の当たらない北側の部屋……
ここは蕨姫花魁の部屋である。
あれから琴音を監視するかの様に、何かに見張られている気配を感じた琴音は、派手な動きが出来るわけもなく部屋で静かに計画を練っていた。
〝どうやら、私に狙いを定めたようだ〟
監視されている状態であるに関わらず、上手く囮役に徹しているこの状況に、琴音は小さく笑みを浮かべた。
しかし日が沈み、夜が訪れた所で、その気配が離れていくのが分かった琴音は、慌てて部屋へと押しかけたのだ。
「蕨姫花魁、琴音です。入ってもよろしいですか?」
中に気配がないことは知りつつ、念の為部屋の入り口で声をかけた琴音は、素早く部屋の中へと侵入した。
〝……何処へ行ったの?〟
誰もいない部屋を見回し、気配を探る為目を閉じた琴音は、素早く短刀を抜き出した。
カンッ!
刀が交わる音が響き、顔を上げた琴音は彼の顔を確認して、自身の刀を鞘へと戻す。
「よぉ!生きてたか、琴音 っ!」
「おかげさまで……天元さんも鬼を探して此処へ?」
「あぁ。だが人を狩りに出かけている様だな…
雛鶴の居場所も掴んだ、切見世だ」
それに琴音は頷いて、天元に向かって口を開いた。
「私は鬼の気配を辿ります。昼間、鬼と接触しましたので気配は覚えていますから、ご安心を!
天元さんは雛鶴さんの元へと向かって下さい!!」
そういうや否や、琴音は着物をさくさくと脱いでいく。あっという間に帯やら、打掛やらを脱ぎ去った琴音は、中着一枚となっていた。
今の今まで監視をされていた為、勿論隊服に着替える時間などなかったし、重たい打掛を脱いだことで、隊服でなくとも充分動きやすく感じる。
最後に足元を動きやすい様に、左右に広げた琴音は、その光景を呆然と見つめていた天元に口を開いた。
「任務が終わったら、パフェですからね」
そう口にした琴音は、彼の返事も待たずに、もの凄い勢いで部屋の窓から飛び出して行った。
その姿を見送った彼は、ぷっと吹き出した後、
「はいはい」と気怠げに独り言を落とし、一瞬で部屋から姿を消すのだった。
******
その頃炭治郎は、花魁から鬼の姿へと変貌した
「アンタたち、何人で来たの?四人?」
「言わない」
「正直に言ったら、命だけは助けてやってもいいのよ?」
そう言って怪しく笑う堕姫に、炭治郎は冷や汗をながしていた。既に、一撃を受け止めただけで刀は刃こぼれを起こしているし、堕姫の動きについて行くだけで必死な状態だった。
だが、炭治郎は自身に言い聞かせる。
〝俺はやれるはずだ…いや、やる!!〟
そうやって己を奮い立たせた炭治郎は、畳み掛けるように
体温が上がり、心拍数も上昇する。次第に肩で息をするようになるが、この技ならば対等に戦える!
炭治郎がそう確信した時だった。
四方から飛んできた帯が、堕姫の身体に入っていく。いや、分裂していた一部が戻って来ていると行ったところか……
これこそが琴音を監視していた視線の正体なのだ。
「やっぱり〝柱〟ね。柱が来てたのね……良かった、あの方に喜んで戴けるわ……」
そう言って狂ったように笑い出した堕姫に、炭治郎は顔を歪めた。姿が変わり、禍々しい匂いを纏った鬼に、喉の奥が痺れて痛む。
明らかに変わった鬼の気配に炭治郎が、固唾を呑んで見つめていれば
「おい、何をしてるんだお前たち!?」
男性が大声を出して騒ぎ立てた。
慌てて炭治郎が男性を守る様に前に出れば、ふわりと優しい匂いを纏う彼女の背中が現れた。
「炭治郎君、遅くなってごめんね?」
ズシャ……と音を立てながら、周りの建物が崩れて行く。キャーと、そこら中で上がる悲鳴に琴音は、炭治郎へと口を開く。
「私は
無差別な攻撃への怒りから、琴音の話が聞こえていない炭治郎はフラフラと鬼へと歩き出す。
そんな状況で、炭治郎に加勢するべきか、それとも一般人の非難と怪我人の処置が先か……
琴音は一瞬頭を悩ませたが、視界の端に捉えた〝まだ助かりそうな命〟に、琴音は唇を噛み締め、炭治郎に背を向け走り出すのだった。
「何あの娘、鬼殺隊だったの?さっきの身のこなしといい、もしかしてあの娘も〝柱〟かしら?」
そう言ってニヤリと笑った堕姫は、嬉しそうにいい放ったのだった。
「お前を殺したら、琴音は私がたべてあげる。安心しなさい?ふふふ…」