第三章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おい、琴音!いきなり連れて来た事は悪かった!この俺が謝ってるんだから、いい加減機嫌を治せ!」
「天元さんには分からないんです…虎屋の餡巻きなんて滅多に食べられない代物なのに」
はぁ、はぁ、と肩で息をする炭治郎達が、やっとの事で彼らに追いつけば、珍しく機嫌の悪い琴音と、面倒臭そうにそれを宥める天元の姿が目に入る。
〝そりゃぁ、いきなり肩に担がれて……
有無を言わさず任務に駆り出されれば、さすがの琴音さんだって怒るはずだわ〟
善逸は呆れた目をして、その元凶でもある宇髄天元へと視線を移した。
「だぁーっ!!おい琴音、いい加減機嫌を治せっ!」
「天元さんには分からないんですよ……あの和菓子は特別なのに……」
下を向いて蹲り、ぶつぶつと恨み言を口にする琴音に、さすがの天元も思わず大きなため息を漏らす。
そんなに落ち込むほど大層な代物だったのか…?
そう考えた天元だったが
〝甘味馬鹿の気持ちなんか分かるわけねぇわ〟
と早々に、その考えを打ち切った。
そして至極面倒くさそうに
「女っていうのは、本当に甘いものが好きだな」
と口にした天元は、ふと自分の嫁達の会話を思い出し、そう言えば…と口を開く。
「須磨達が話していたが、最近
ピクッ、と動きを止めた琴音を視界に捉え、天元は言葉を続けていく。
「なんでもチョコレートの上にアイスクリームや生クリーム…だったか?まあ、そんな甘そうなやつの上にバナナを乗せた食べ物らしい」
「チョコレートに、アイスクリーム…
生クリームにバナナ!?なんですか、それは!?」
「まあ超高級品だな」
超高級品……そう呟く琴音に、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた天元は、悪そうな顔で琴音にこう提案した。
「今回の任務、琴音が協力してくれるっつーなら、この宇髄天元様がパフェをご馳走してやるぜ!」
「本当ですか!?是非協力しますとも!」
わーい!!と喜ぶ琴音に、ことの成り行きを見守っていた善逸は思った。
〝琴音さん、本当にそれでいいの?〟と。
******
その後、天元から『俺は祭りの神だ!』という説明を受けた一行は、今回の任務の準備をする為、近くの藤の花の家へと訪れていた。
天元は藤の家に着くなり、随分と偉そうに家主の男性に指示を出していく。
「こいつは着飾るな!いいか、出来るだけ地味にしろ!」
琴音を指差しながら、何度も
琴音は何度も天元と合同で任務をこなして来たし、今回のように潜入調査をした事だってある。
そんな時、彼は決まって『派手に変装しろ』と言っていた。まあでも、それはそうだろうと琴音は思う。
潜入とは……つまり簡単に言えば、囮役だ。
そんな役割を買って出る訳だから、鬼に見つかりやすいよう変装するのは当たり前な訳で。
琴音には『地味に』という彼の真意が分からずにいた。
……というか、甘い物につられて頭から抜け落ちていたが、琴音は今回の任務について全く聞かされていないのだ。
さすがに、どんな任務か聞かずに了承してしまったのはまずかったか、と苦笑いを浮かべた琴音は、天元へと口を開いた。
「ところで、今回の任務はどんな任務なんですか?」
「……まぁ、行けば分かるだろ」
「え?教えて貰えないんですか?因みに潜入場所は「おい、親父!すまないが此奴を先に準備してやってくれ!」
琴音の言葉を遮るように、家主へと言葉を投げかけた天元は、早く行けとばかりに琴音の背中を押しやった。
それには琴音も、頭に疑問を浮かべながらも従ったのだが、数分後天元から聞かされた内容に頭を抱える事となる。
「お前達が潜入するのは、吉原遊郭。
男と女の見栄と欲、愛憎渦巻く夜の街。
派手だろ!?」
き、聞いてないよ〜〜〜。
ニヤリと笑った天元に、琴音は思わず叫ぶのだった。