第二章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
琴音が蝶屋敷に入院して、もうすぐニ週間になる。そんな琴音は先日から、しのぶに許可をもらい、本格的に体を動かす鍛錬を再開していた。
素振りを行なったり、走り稽古をしたり、実際に打ち合いを行なったり。
一緒に入院していた炭治郎達は、そんな琴音を目の当たりにして、驚きで目を見開いていた。
******
そんな琴音が彼ら三人の元に訪れたのは、任務が明けてから四日目のことだった。
「皆んな、身体は大丈夫?」
病室の扉を開けながら、そう口を開いた琴音に、皆が驚きを隠せなかった。
無限列車の任務では、杏寿郎を差し置き、一番の重傷者だった琴音。
彼女が呼吸困難に陥り、意識不明の状態で蝶屋敷へ運ばれた事。更に運び込まれてからは、高熱に侵され続けていたことをしのぶから聞いていた彼らは、自分の目を疑った。
「あ、あの…… 琴音さんは大丈夫ですか?」
炭治郎が遠慮がちに尋ねれば、琴音は恥ずかしそうに目を逸らした後、困ったように口を開いた。
「この間は、いきなり倒れてしまってごめんね?呼吸で無理矢理、運動性能を上げたから…
恥ずかしい話なんだけど、反動で倒れちゃって。
あの程度で倒れちゃうなんて、私もまだまだ鍛錬が足りないわね」
でも、もう体力も回復したし、肋が折れているだけだから安心してね!と笑った彼女に、三人はギョッとしてしまう。
「ええっ!琴音さん、骨折してるんですか!?安静にしていなくて大丈夫なんですか?」
「炭治郎、大丈夫なわけないだろっ!!骨折だぞ?骨が折れてるんだぞ!?めちゃくちゃ痛いんだぞ!?それを我慢して、こうして俺たちのお見舞いに来てくれてるんだよ!!」
炭治郎が心配そうに口を開いたかと思えば、善逸がすかさず突っ込んだ。大袈裟な位に琴音の怪我を伝えるものだから、慌てて琴音も口を開く。
「善逸君、落ち着いて。骨折…と言っても呼吸を使っているから、そんなに痛みもないの!それに、しのぶからも出歩いていい許可を貰ってるんだから」
「いやいやいやいや!!琴音さん、さすがに冗談ですよね!?呼吸でそんな事できるなんて、信じられないで、ぶぇっ」
「うるせぇぞ紋逸!!それより、おい呼吸使い!!俺にもその骨折を治すやつを教えろ」
琴音が慌てて説明をしたところで、善逸は信じられない、とでも言う様に目を見開いて喚き出してしまった。
どうしたものか…と思って入れば、善逸の頬を殴り飛ばすという荒技で、伊之助が彼を黙らせた。
善逸は頭に怪我を負っているのにも関わらず、全く手加減のない伊之助に、琴音は思わず善逸に同情してしまう。しかし、すかさず炭治郎が
「伊之助、いきなり殴っては駄目じゃないか!」
と口を挟んでいたから…まぁ心配はいらないだろう。
それに彼の荒技に気を取られてはいたが、伊之助からの呼び方が〝真っ黒女〟から〝呼吸使い〟に変わっている。なんだか昇格した気分だな、と琴音は小さく笑った。
目の前で繰り広げられていく、相変わらず仲良しな三人組のやり取りに、琴音の口角も自然と上がっていくのだった。
******
それから暫く彼らと、談笑していた琴音だが、彼らも怪我人だ。余り長いをしても悪いと琴音は徐に立ち上がる。
「また来るね」と笑いかければ、嬉しそうに頷く三人に思わず、頬が緩んでしまう。
「あ、そうそう。炭治郎君!」
部屋の扉に手をかけながら、琴音が思い出したかの様に、口を開いた。
「しは……杏寿郎さんがね、炭治郎君に伝えたい事があるみたいなの。なんでも日の呼吸について思い出した事があるとかなんとか……
怪我が治ったら、杏寿郎さんの病室を訪ねてみて」
そう一言残して、今度こそ部屋を出て行った琴音に、炭治郎と善逸はお互い顔を見合わせた。
彼女から、ふわりと幸せの匂いがした炭治郎は、善逸に確かめる様な視線を送る。
そんな善逸の耳にも、勿論幸せの音が響いた様で。
〝
そう呼んでいた琴音が、とても幸せそうに見えた彼らは、お互いに顔を見合わせた後、嬉しそうに微笑むのだった。
******
あれからまだ一週間……
大事な事だから二度言うが!!
そう!一週間ほどしか経っていないのに、「肋が折れた」と説明していた琴音が、もう鍛錬を再開している。その事実に、三人は驚きを隠せなかった。
今日は「しのぶ相手に打ち合いの稽古をつけてもらう」と話した琴音に、無理言って見学をさせてもらっていた彼らだが……
もはや怪我してます?と疑うほどの打ち合いに、三人も少し引き気味ではある。
そんな彼らの心情など露知らず、琴音はしのぶの攻撃を受け流していく。
琴音としのぶは、お互い負けず劣らずの速さを持ち合わせている剣士のため、その打ち合いは目で追えないほどの速さでなのである。
見守る三人が冷や汗を流す中、
琴音は〝自分の身体が普段の調子に戻りつつある〟事に、ほっと胸を撫で下ろす。
そんな彼女を道場の入り口からじっと見つめていた、鎹鴉が静かに飛び立つ。
その場の