第一章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あの後、現地に駆けつけた隠しに事後処理をまかし、二人はとりあえず琴音が取った宿へとやって来ていた。
煉獄を宿の外で待たせ、琴音は着なれた真っ黒の隊服へと着替えていく。
最後に姿見で自身の姿を確認し、よしっと気合いを入れ直し、部屋を後にするのだった。
******
「炎柱様、お待たせいたしました」
その声に視線を彼女に移した煉獄は、随分と印象の変わった少女に少しばかり驚いた。
先程までの鮮やかな赤い着物から一変して、頭から足先まで黒一色に身をつつんだ琴音は、随分と重苦しい印象に変貌していた。
そんな彼女に向かって煉獄は口を開いた。
「君は随分と真っ黒な服を着ているのだな!」
「私、援護を得意とする戦いをしていますので、
鬼からなるべく気づかれないように闇に紛れやすい黒を纏っているんです。初めて、任務をご一緒する隊士には偶に驚かれます」
そう言って、クスクス笑いながら話す琴音は、やはりとても可愛いらしい顔をしていた。
年頃の女子なのだから、そこまで鬼殺隊に身を捧げなくても……とは思うのだが、その真面目さに何処か関心してしまう。
己の口角が自然と上がるのを感じながら、では行こうかと声をかけ、煉獄は歩き出すのであった。
******
今日は比較的早く任務を終えることができた為、とりあえず近くの藤の花の家で休息を取ろうという事になった二人は、仲良く並んで歩いていた。
そんな道中、琴音が徐に口を開く。
「炎柱様、これから私の居住はどのようにしたらよろしいですか?」
「うむ!君はこれから俺の継ぐ子になるのだから、煉獄家に住めばいいだろう!今は何処かに家を借りていたりするのか?」
煉獄の問いかけに、琴音は顎に手を当てフムと少し考える仕草をした。
「今は家を借りておりまして、基本的にはそちらを拠点に動いていたのですが……随分と荷物が増えてしまったので一週間程、引っ越しにお時間を頂いても宜しいですか?」
「勿論、それは構わない!!俺も時間がある時には手伝おう!!」
「い、いえ!!炎柱様にそんな事はさせられません」
煉獄の発言にギョッとした琴音は、慌てて口を開いたのだが、そんな琴音を気にすることなく、彼は続けて言い放つ。
「そんな事は気にしなくていい!!師範として当然だろう!!……それから、これから共に鍛錬をして行くのだから、そんな他人行儀な呼び名ではなく、名前で呼んでもらって構わない!!」
「は、はあ……」
なんだか、押しが強い人だな〜と琴音は思わず苦笑いをしながら、彼に向かって頭を下げた。
「ではお言葉に甘えて、煉獄さんと呼ばせていただきます。他の隊士は私の事を琴音と名前で呼ぶものが殆どですので、煉獄さんもぜひそのようにお呼びください」
「うむ!!了解した!!」
******
そんな話をしていれば、あっという間に藤の花の家に到着した二人。
隣り合わせではあるものの、各々に部屋を用意して貰った二人は、本日のところは解散となった。
「では煉獄さん、お休みなさい」
そう言って、自分の部屋へと足を踏み入れた琴音に、思い出したかのように煉獄は声を掛けた。
「そういえば、胡蝶が傷の具合を見せるようにと言っていた!!明日は必ず蝶屋敷へ向かうように!!俺は任務が入っているから、終わり次第君の家に向かうとしよう!!」
「えぇ〜っ、煉獄さん!?それは本当ですか?……な、な、なんで、しのぶに怪我がばれているんですか?」
どうしよう、絶対怒られる。
あんなに口止めしたのに、あの隠しが告げ口したのだろうか、とオロオロしだす彼女に、煉獄は笑顔で言い放つ。
「怪我を隠して任務に向かうのは感心しないな!!これからは俺も琴音の事を、見張るとしよう!!」
「うっ………はい、すみません……」
彼のとどめの一言に、琴音は力無く返事を返した。
「体は資本だからな!!これから一週間は任務も休んでゆっくり怪我を治すといい!お館様には俺から伝えておくとしよう!」
そう言い残し、今度こそ自分にあてがわれた部屋へと煉獄は姿を消した。
はぁ〜〜……
〝これは諦めて、蝶屋敷へ行くしかないな〟
大きなため息をつきながら、死んだ魚のような目をした琴音も、部屋へと入って行くのだった。