第二章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
琴音の目の前には、見覚えのある景色が広がっている。
〝あれ?ここは〟
辺りを見渡した琴音は、育ての家の前に自分が立っていることに気がついた。
〝あれ、私何してたんだっけ?〟
キョロキョロと周りを窺っていると、玄関の扉が開き、そこから優斗が顔を出した。
「わぁ、びっくりした!何してんの、姉ちゃん?」
弟の顔を見た途端、ここに来た理由を思い出した琴音は口を開いた。
「びっくりしたじゃないわよ!鴉からの言伝で、優斗が鬼殺隊になるって聞いて、慌てて帰って来たんじゃない!!」
心配して任務明けにも関わらず、自分に会いに来てくれた姉に、眉を下げ困った顔をした優斗。
そんな彼を責め立てるように、言葉を続けようとした琴音に、家の中から声がかかる。
「琴音、帰って来たなら早く入りなさい。」
弟への文句を言おうと口を開いていた彼女も、育ての恩人にそう声をかけられては、逆らうことなど出来るはずもない。
未だに眉を下げ、こちらの表情を伺っている弟に、大きなため息を一つ漏らした後、「はい」と返事をし、渋々家の中へと足を踏み入れるのだった。
******
居間へと通された琴音は、弟の前へと腰を下ろした。育ての老人は向かい合う二人を静かに見つめていた。
彼ら姉弟の間に流れる空気は、何処となく重たく感じられる。口を開く気配のない弟に、琴音は痺れを切らして話し出した。
「優斗、私は反対だから。鬼殺隊に入るなんて許さない!!」
「なんでだよ?俺だってちゃんと戦える!俺も姉ちゃんを守りたいんだよ!」
「優斗に守られなくたって、自分の身くらい自分で守れるから!」
段々と声を荒げていく琴音に、二人を静かに見守っていた老人が、口を挟んだ。
「琴音、優斗は充分強くなった。そろそろ鬼殺隊として認めてやれ」
「ですが、師範!優斗には無理ですよ!弟には、もっと別の道がある筈、、、両親の敵討ちなら私一人でも充分です!!」
琴音は今まで、育てからどんな酷い言葉や態度を投げかけられても、黙って全て受け入れてきた。
だが今回は訳が違う。
弟を鬼殺隊などにしてなるものか、と師範に対しても彼女は声を荒げて反論する。
そして勢いそのまま、優斗に向かって念押しする様にもう一度口を開いた。
「私は優斗が鬼殺隊に入るなんて、絶対に認めないから」
しん、と静寂が部屋を包み込む。
怒りを露わにしている琴音に、眉を下げ困惑している優斗。そんな彼らにため息を一つ落とした老人は
「お前こそ、日頃から無茶をしているだろう」
と睨みを効かせて、口を開いた。
今私の話は関係ないではないか、と眉間に皺をよせた彼女に、老人は言葉を続ける。
「だがそのおかげで、お前は炎柱の継ぐ子になったんだろう?弟の努力も少しは認めてやれ」
琴音は歯を食いしばり、
『それを認めてしまえば弟を戦いへ送り出すことになるではないか』と思ったところで
はた、と何か違和感を感じた。
その違和感の正体がなんなのか。考えても思い当たる節はないのだが、釈然としない、、、
だが今はそんな事を考えている場合ではないのだ。最優先すべきは、、、と琴音が優斗へと視線を移せば、目があった弟から遠慮がちに声がかかった。
「姉ちゃん、炎柱ってどんな人?」
「どんな人って、、、」
突然の問いかけに戸惑いながらも、ふと琴音は思った。
もしかして煉獄さんの強さを知れば、、、
そんな人が私と共に行動をしていると知れば、、、
優斗が私を守るなんて、考えなくて良くなるのではないか。
そう思いたった琴音は改めて、師範の姿を思い浮かべて口を開いた。
「煉獄さんは、、、とても凄い人だよ。」
琴音は、自分の師範を自慢するかのように、少しずつ言葉を紡いでいく。
「私なんて到底敵わない位に強い人。
でもそれだけじゃなくて、、、
人としても私は煉獄さんを尊敬しているの。
人の心に寄り添って気遣える優しさや、真っ直ぐな正義感を持っているところ、後輩思いな熱いところも、いつも見習わなくちゃと思うことばかりで。
でもそれを、なんて事ないようにこなしてしまう。いつも気づいたら、心の闇を照らしてくれる、、、太陽みたいな人なの。」
そんな人だからこそ、私も継ぐ子として彼を少しでも支えたいんだ、そう言って微笑んだ琴音に、
優斗は「そっか」と笑い、嬉しそうに口を開いた。
「じゃあ、俺も安心だ」
そう言って優斗はニカっと笑った、、、