第二章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
皆で甘味を食べながら雑談を繰り広げる彼ら。
あ、あの!と赤い顔をした善逸が口を開いたと思えば「琴音さんは好きな人はいないんですか?」と口にする。
キョトンとした彼女は、うーむと考えた後
「どうだろう。好きというか、、、憧れている人はいるよ?その人を支えれる様になりたいとは思ってるかな?」と口にする。
優しく笑う目の前の彼女から〝大切な人を思う優しい匂い〟がして炭治郎は思わず善逸を見る。
彼も同じような音を感じたのだろう、二人は顔を見合わせて頬を赤らめる。
そして『そんなに大切に思うのに、自分の気持ちに気づいていないのだろうか』と琴音に視線を移す二人。
そんな彼女以上に、彼女の心が筒抜けな二人には気づかず
「善逸君も結婚する為に、鬼殺隊に入ったの?」
と琴音は口にした。
〝いや、俺は死ぬ前に結婚したいだけで、結婚する為に鬼殺隊になった訳ではないけど。てか〝も〟って何?誰か婚活の為に戦ってる人いるの?その人大丈夫?〟
と善逸が失礼な事を思っていれば、もぐもぐと菓子を口いっぱいに詰め込んだ伊之助が突然、口を開く。
「おい真っ黒女!けっこん、、、?すれば強くなるのか?」
急に喋り出した彼にびっくりしながら〝真っ黒女って私のこと?〟と苦笑いを浮かべた琴音が口を開く。
「どうかな?私、結婚してないから分からないけど、守りたいものがあるから人は強くなるのだし、、、きっと強くなる為に努力するんじゃない?」
そう返事をした琴音は「今度、天元さんに聞いておくね」と笑った。
〝誰だ、それ?〟と思った伊之助だったが、そんな事よりもカステラが気に入ったようで、喋ることを諦め、食べることに専念する。
突然話出した伊之助との会話は、終わるのも突然だった。そこで話が途切れたことで、彼女は炭治郎に向き直って、徐に口を開いた。
「実は、君の話は師範から聞いていたの。」
そう話し出した琴音は「柱合会議で炎柱の煉獄さんにあったでしょ?」と続けた。
「炎柱?」と首を傾げた炭治郎に「海老天みたいな髪の人だよ」と琴音は笑った。
自分の師範を海老天呼ばわりした彼女に、炭治郎はプッと噴き出した。そして、柱合会議で真っ先に「斬首」と口に出した男を思い出す。
そんな彼を視界に捉えた琴音は静かに口を開いた。
「もし炭治郎君が嫌でなければ、妹さんに会わせてくれないかな?、、、師範からは話は聞いているけど、自分の目で判断したいの。もしも、これから一緒に戦う時には、私も君の妹を守れるように」
駄目かな?と此方を伺う彼女の優しさに、炭治郎は泣きそうになりながら、頷いてみせた。
******
それから、山盛りの甘味を全て食べ終えた彼ら。
それをにこやかに見届けて
「じゃあ最後に、治癒力を高める呼吸を教えます」
と琴音は言い放った。
「え?今の流れは完全に禰󠄀豆子ちゃんに会いに行ったら、もう寝る流れじゃなかった?だって甘いものは疲れた体に染みるよね〜って琴音さん言ってたよね?あれは今日はお疲れ様って意味じゃないの?」と善逸がプチパニックを起こしていれば
「大丈夫だよ、善逸君。もう体を動かす事はしないから」そう言って琴音は笑った。
そして、さぁ目を瞑って!と促す彼女に、三人は慌ててそれに従うのだった。
素直に目を閉じた少年達に、優しく微笑みかけた琴音は、さっそく彼らに指示を出していく。
「出来るだけ大きく深く呼吸をして、自分の鼓動の音、全身に血が巡る感覚に集中するの。」
そう言いながら一人一人の肩に手を置いて
「力が入りすぎだよ」「もっと深く呼吸をとどめて」などと声をかけながら、ゆっくり分かりやすい言葉で彼らに話しかける。
「これからは、必ず就寝前に五分でもいいから、目を閉じてこの呼吸を意識してみて?体の疲労はその日のうちに、なるべく治癒するの。これを極めれば怪我の治りも格段に早く治るから」
そう言って笑う琴音はそれから数分、彼らを見守り「はい、目を開けて」と声をかけた。
そして「今日の稽古は本当にこれでお終い」と笑うのだった。
******
その後、炭治郎に案内されて通された部屋で彼の妹にあった琴音は、目を丸くさせていた。
クウクウと目の前で眠っている少女は〝本当に鬼なのか?〟と思ってしまう程可愛らしい。
そんな少女に近づいて、優しく頭を撫でてやれば、無意識に猫の様に擦り寄ってくる。小さな子供がする様な仕草に琴音の口も自然と上がる。
それを横目に見ながら、炭治郎は口を開いた。
「妹の禰󠄀豆子です。禰󠄀豆子は人を食べない代わりに、睡眠を取ることで体力を回復するようで、、、こうして長く眠ったままのこともあります」
そう説明した彼に、琴音はゆっくり視線を移した。妹を優しく見守る彼の姿に、かつての自分を重ね胸が苦しくなる。
彼とは今日出会ったばかりだが、真面目で仲間思いの信頼できる少年である事は、もう十分に琴音は分かっていた。
きっと優しい彼の事だ、、、
妹を鬼にしてしまった事を悔やんだだろう。
これまでに沢山の辛い思いをしてきたのだろう。
そして全ては『妹の為』。歯を食いしばり厳しい鍛錬に耐え、困難に立ち向かっていくのだろうな、と炭治郎のこれからの険しい道のりを思いため息をつく。
しのぶのように、彼を気にかける者だけではないだろう事。寧ろ、鬼を連れていると知れば、彼を非難する者の方が圧倒的に多いだろう事を考えた琴音は、目の前の少年を見つめて一つ、決意をした。
〝彼には、私の様な思いはさせない。この兄妹は私が守る〟
そんな事を思いながら琴音は彼らを優しく見守るのだった。