第二章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「じゃあ次は」
琴音が口を開くと三人は〝まだやるのか〟と顔を顰めた。
******
組手で、彼らの動きを確認した彼女が、最初に行ったのは、〝全集中常中とはどういうものか〟の説明だった。
先程しのぶに聞いたのに『また?』と思った三人だったが、彼女の説明は全然違うものだった。
「君達と私の差は、この呼吸の使い方にあるの」
そう語り出した琴音の説明は、こうだ。
まず先程の訓練如きで根を上げていては、持久戦に対応できない事を挙げた彼女は、それは呼吸を極めていけば、問題なくなるという。
そして、呼吸の精度次第で技の威力が倍増する事や、それを使って体の治癒を行える事などを説明していく。
そこまでは、先程のしのぶの説明をより詳しく、話していただけだった琴音だが、皆が難しい顔をしているのを見てフム、と考える。
〝やはり理解しない事には、始まらないだろう〟と思う反面、口頭では伝わりにくかったようで、伊之助に至っては「ち、ゆ?ちゆって何だ?美味いのか?」と、思考が脱線しかけているのに気づいた。
琴音は、少し考え込んだ後「着いてきて?」と場所を変える事にした。
******
琴音がやってきたのは、道場を出たすぐの場所。〝こんな場所で何をやるのだろう?〟と炭治郎が思っていれば、彼女は徐に地面に落ちている石を拾った。
「よく見てて?」
そう口にした彼女は、少し先にある桜の木に向かって石を投げた。少し距離はあったが、正確に真っ直ぐ飛んで行った石は木の表面に小さな凹みを作り、コテっと地面に落ちた。
〝今のが呼吸を極めた投げ方なのだろうか〟
炭治郎と善逸が首を傾げる横で、それを見ていた伊之助が「そんな事、俺でも出来るぜ」と口にする。
だが彼女の次に投げた石がビュン、と先程と違う音になったのを聞いて、伊之助は口を閉ざした。
そして次の瞬間には、バキッ、と鈍い音を立てて木にめり込んだ石に、三人は驚いて琴音を見る。パンパン、と手についた土を払いながら振り返った彼女は
「呼吸を使わずに投げたのが最初。次のは使って投げてみたの」
違いがわかった?と可愛らしく首をコテン、と傾げた琴音に、三人はぶんぶんと首を縦に振る。
それにふっ、と笑った彼女は
「じゃあ今のを踏まえて鍛錬を開始します」
と口を開き、今に至るのだ。
******
最初の一時間は、きっと様子見だったのだろう。
再び行われた組手は、一体一。
的確に支持を飛ばしながら、容赦なく琴音は攻撃を放っていく。勿論、力加減はしているものの、彼女の攻撃のみが一方的に入るので、三人はすぐにぼろぼろになった。
ちなみに、竹刀を使わないのに疑問が湧いた善逸が「なんで素手なんですか?」と初めに聞いたのだが、それに琴音はにこりと笑い「上手く体も使えてないのに、武器を振り回すなんて無理じゃない?」と口を開いて、この組手だ。
そんなこんなで、彼女の制止の声がかかるまで、ひたすら攻撃を受け続けた彼らは体中が悲鳴を上げていた。
勿論、攻撃を受けた場所も痛いのだが、鍛錬中に琴音が出す指示、、、
「ここでしゃがむ」「足を払われる前に、重心移動」「今のは左じゃない、右」
などと、普段自分が使わない動きをするように指示が飛び、早速、筋肉が悲鳴を上げているのだ。
そんな彼らに、琴音はにこりと笑い、口を開く。
「じゃあ次は一緒に走り込みをしよう」
結局、皆の体が動かなくなるまで訓練は続き、三人が気づいた頃には夕方になっていた。
それに気づいた琴音は、
「今日の訓練はここまでにしよう。夜、君達の病室に顔を出すね?それまで解散」
と言うや否や、一瞬で姿を消した。
もう何から驚けばいいか分からない三人だったが〝ぼろぼろで痣だらけ。汗でドロドロ〟の自分逹の姿にため息を漏らし、とりあえず風呂へと向かうのであった。
******
その後、痛む体に鞭打って、なんとか風呂に入った三人は、晩ご飯を食べ終え、各々のベッドに突っ伏していた。
そんな彼らの元に「入るよ〜」と琴音の声がかかり、三人はピクッと反応する。
どうやら体は正直なようで、見た目に反して鬼のような稽古をつける彼女に、少し怯えているのである。
そんな彼らに気づいて、罰の悪そうな顔をした琴音は口を開いた。
「君たちに稽古をつけてあげられる時間が、あまりに少ないものだから、きつい稽古を強いる事になっちゃったね」
ごめんね?と呟いた彼女は、徐に片手に持っていた風呂敷を開く。
するとそこには、たくさんの甘いものが入っていて、、、
「お詫びに皆んなで食べない?」と言う琴音のお誘いに三人は目を輝かせるのだった。