第一章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
部屋で持ってきた荷物を片付けていれば、バタバタと足音が聞こえてくる。
その音が部屋の前で止まったと同時に
「琴音!部屋に入ってもいいだろうか!」
と師範の声が聞こえて「はい」と返事をした。
千寿郎君が言った通り、私が着くのと殆ど同じ時刻に、任務から帰った師範は何処か焦った表情をしており、
もしかして先程のお父上様との話を聞いてしまったのかな?と思った。
案の定、彼が口を開けば
「琴音には、父上の事を先に言っておくべきだった」すまない、、、と師範は頭を下げた。
確かに彼の父の態度は褒められたものではない。
言葉も些か乱暴なものだったし、初対面の相手に対する態度としては最悪だったとは思うが、、、
師範が謝ることなど一つもないのだ。
それにあの表情、、、
きっとあの尖った言葉の裏には、優しい本心があるのだろう、、、と思っているからこそ
無礼極まりないあの髭面オヤジに、そこまで悪い印象は受けてはいないのだ。
、、、、まぁ、絶対に認めさせてやる!と思うくらいには腹は立っているが。
それはさておき、いつでもハキハキと言葉を発する姿しか見たことがない師範が〝しゅん〟と眉を下げている姿に
なんだか此方が居た堪れなくなってしまい、慌てて口を開く。
「何を聞いたか分かりませんが、私は師範のお父上様に挨拶をしたまでですし、それに喝を入れて頂いただけですよ?」
それでも師範は「だが、しかし、、、」と眉を下げたまま、腕を組んで「むう〜」と唸っている。
、、、こんな事、年上の男性に失礼ではあるが、少し可愛らしいとすら思ってしまう。
それに気づかれないよう小さく笑い
「あぁ、でも私も折角喝を入れて貰いましたので
お父上様を〝ギャフン〟と言わせたくなってしまいました。」
強くなる為に鍛錬に付き合って下さいね、師範?
、、、と明るく努めて声をかけても返事は返してくれるものの、まだ、なんだか納得していない表情の師範。
どうしたものか、と考えを巡らせれば、ふと思い出した事があったので尋ねてみる。
「ところで師範、先日千寿郎君にお会いした時に
予想はしていたのですが、、、お父上様と皆さん瓜二つですね。
煉獄家の遺伝子はどうなっているのでしょう?いや、食べ物とかの影響でしょうか?」
と、わざと違う話題を振ってみれば、一瞬キョトンとした後、盛大に笑い出した師範にほっと一息つく。
私は赤の他人だからこそ冷静に考えれるだけで、
もしも私の父が他人に暴言を吐いたと知れば私も落ち着いていられないだろう、、、
もしかしたら、彼自身も父にあのような態度を常日頃から取られているのだろうか?
だとしたら、自分を責めたりしていないだろうか、、、と少し心配になってしまうが。
チラリと盗み見た師範は、もういつも通りの笑顔に戻っていて
「きっとご先祖様が、海老天を食べすぎたからだろう!」と大きな声で答えるものだから、それがなんだか可笑しくて今度は私が盛大に笑うのだった。
******
ひとしきり笑った私は改めて、師範に鍛錬をつけて欲しい旨を伝えた。他で言うところの機能回復訓練だ。
ただ、師範は任務明けで疲れているだろうから明日から、師範の暇な時に鍛錬をお願いしたいことを伝えれば
「途中の藤の花の家で、仮眠を取ってきたから大丈夫だ!」と笑われた。
私の傷も完治した事を報告すれば、昼飯後に鍛錬をつけてくれる事になり私は内心とても嬉しかった。
師範には明日から、と最初は言ったが一週間近くも鬼殺の任務に着いていないのだから体が鈍ってしまっていないか、確認がしたかったのだ。
それに柱からの稽古、、、
私は実弥さんにしかつけてもらったことがないから、他の柱に稽古をつけてもらえる事が単純に嬉しかった。
そういえば実弥さんには何回か稽古をつけて貰ったな〜と記憶を巡らすも、その稽古はどれも地獄のようなものだったのを思い出し、苦笑いを浮かべてしまう。
実弥さんの稽古はもう、最初から最後までひたすら打ち込み。
吹っ飛ばされようが、、、木刀が折れようが、、、実弥さんの気が済むまで続けられるのだ。
終わった頃には、全身痣だらけだし、一度座ったら最後ら足腰が言うことを聞かない、
立てないのだ。本当にしんど過ぎて笑えたものだ。
「吐かずに気絶もしねェ奴は、なかなかいない」と褒められた時は
「でしょうね!」と喜ぶ前に突っ込んでしまったぐらいだ。
でも、そんな稽古だからこそ
学ぶものがある、力がつくのである。
ちなみに、天元さんにも稽古をお願いしたら快く引き受けてくれた、、、
のだが、あれは駄目だ。
奥様達がぐいぐいと間に入ってきて
いつの間にやら、皆で食卓を囲んでいた。私は無意識に団子とお茶を両手に持って何故か談笑していた。何故、、、
あれは稽古ではなく甘味を食べに行っただけ。
まぁ、それはそれで嬉しかったし、奥様達とは今では甘味処をご一緒する程に仲良くなったのだが。
それはさておき、同じ炎の呼吸の使い手として、
代々炎柱を継承する煉獄家のご長男、現炎柱様から稽古をつけてもらえるなんて、、、今から楽しみで仕方ない。
そうと決まれば、「早く昼飯を食べに行きましょう。千寿郎君が作ってくれたみたいですよ」と声をかけ、上機嫌で千寿郎君のもとへと向かうのであった