第一章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
蜜璃と二人、甘味処までやってきた琴音は、目の前に並んだ沢山の甘味に頬を赤染め、鼻息を荒くする。
常人のレベルを遥かに超えた量の皿が目の前に所狭しと並んでいる。団子や、餡蜜、おはぎに、桜餅、、、
彼女は目の前に広がる光景に大興奮していた。
******
甘露寺蜜璃は大食らいである。
彼女がそれだけの量を食べていながら普通の体型である理由は、他の人より筋肉密度が高いという異常体質によるもの。
彼女の筋肉は常人の8倍の密度があり怪力を発揮できるという体質で、それを補う為に人より多くの量を食べなければならないのだ。
だが、それを目にした者は驚いたり、軽蔑したり、、、。いつも人の目を気にしてしまっていた彼女なのだが目の前の琴音は、そのどれとも違う反応を見せていた。
「すごい、すごい!こんなに沢山の種類を頼める日が来るなんて〜」と目をキラキラ輝かせている。
蜜璃はそれに少し驚きつつ
「私、人より沢山たべるの。こんなに食べてしまって、、、あの、、、変だよね?」と蜜璃は困ったように笑う。
一瞬、蜜璃を見上げキョトンとした琴音だが
、視線をまた甘味に移し口を開く。
「変?それどころか羨ましいよ!こんなに山のように甘いものが食べれるなんて〜」
もはや興奮した彼女は敬語を使う事も忘れて、更に捲し立てる。
「蜜璃ちゃんは全然変じゃないよ!とっても明るい素敵な女性だよ!それに、その髪色、、、
桜餅みたいでとっても美味しそう〜!可愛い色だよね、蜜璃ちゃんにぴったり!」
美味しそう、、、?と訳の分からない感想を述べる琴音を、今度は蜜璃が驚いて見つめ返す。
ありのままの自分をこうも簡単に肯定してくれる目の前の彼女にじわじわと胸が暖かくなる。
甘味に夢中で、こちらの表情には気づいていない琴音に優しく微笑み
「さぁ、せっかくのご馳走だもの。遠慮なくいただきましょう」と早速団子に手を伸ばすのだった。
******
もくもくと甘味を食べながら、二人は話に花を咲かせていた。
「えぇ〜っ!琴音ちゃんは不死川さんとは恋仲じゃないの?」
「はははっ、違いますよ〜!実弥さんとは任務帰りに、あの店へ立ち寄っただけですから」
「あれ、そうだったの!?私てっきり琴音ちゃんは不死川さんに恋してると思ってたわ!じゃあ、宇髄さんとか?」
「へ?天元さん?」
蜜璃が口を開けば、琴音ちゃんは好いた人がいる?とか。
私あの時の不死川さんの優しいお顔にキュンキュンしちゃた、とか。
年頃の女の子が好きであろう色恋の話ばかりだった。さすがは恋柱様!なのである。
かく言う琴音はそういう類には無頓着。
さっきの質問だって、なんで天元さんがでてくるの?と不思議そうな顔をしている。
そんな彼女に「この間の柱合会議でね、、、」と蜜璃は興奮気味に語り出した。
「宇髄さんが煉獄さんに、琴音ちゃんの話をし出してね。任務が被るようなら様子を見てやって欲しいって!彼、煉獄さんにお願いしてたのよ。
宇髄さんたら、琴音ちゃんの事とっても気にかけているのね。私キュンキュンしちゃうわ〜」
それを聞いて琴音は一人納得。
先日の任務が天元さんの企みだった事を確信した。後でお礼をしておこう、と思った所で
「で、どうなの?」と蜜璃に迫られる。
琴音の思考は自然と違う方向へ脱線していたようで、苦笑いしながら
「天元さんは任務が被る事が多いから、気にかけてくれるだけですよ。」と返しておく。
その返答に「えー?そうなの?」と少し不満気な蜜璃は
「じゃ、じゃあ!煉獄さんにはもう会った?」と口を開く。
あぁ、それなら、、、と琴音から伝えられたのは、予想の遥か上を行く内容だった。
「煉獄さんの継ぐ子にしていただけることになりました」
それには〝きゃー!煉獄さんたら、あんなに琴音ちゃんに会いたがっていたのだもの!
こんなに可愛い琴音ちゃんを見たから、継ぐ子にしたくなってしまったのねー!分かるわ、さすが煉獄さんっ!〟と蜜璃の頭は妄想で大混乱、、、
だが、彼の名誉のために言っておこう。
あの燃えるような熱き男は、決してそんな理由で継ぐ子にしたわけではないのだ。
それから少し冷静さを取り戻した蜜璃は
自分もかつては煉獄さんの継ぐ子だった事。炎の呼吸が自分には合わず、それから派生した恋の呼吸を生み出して今に至る事などを琴音に話していた。
「では、蜜璃さんは私の姉弟子に当たるのですね。」と話す琴音に頬を緩ませ
「そうみたいね。同じ門生同士、私もっと琴音ちゃんと仲良くなりたくなっちゃったわ。
もしよかったらさっきみたいに敬語もなしでお喋りしたいな」と可愛くお願いしてみる。
すると琴音は、先程甘味を前に失礼な態度をとっていた事を思い出し、恥ずかしそうに目線を逸らす。
が、目の前でにこにこと笑う彼女につられ
「蜜璃ちゃん、これからよろしくね」と笑顔になるのだった。
******
その後も二人で話をしながら(主に蜜璃が)甘味を食べていく。
そんな中「ところで、今日は煉獄さんは?」と蜜璃が聞いてきた。
継ぐ子なんだから四六時中とは言わないが、一緒に動く事が増えるだろう、、、と思って今は任務かな?と聞いた蜜璃に
実はまだ引っ越しが完了していない旨を困ったように話した琴音。「でも本の貰い手も決まり、それを持っていく方法もなんとかなりそうだから〜」と彼女が言えば
ごくん!と食べていた団子を勢いよく飲み込んだ蜜璃が
「琴音ちゃん!それなら私に任せて!」と声をあげて立ち上がる。
よく見ればあんなにあった甘味は全て綺麗に食べ終えられ、皿は高く積み上げられていた。
そうと決まれば、さぁ行くわよ!と歩き出そうとする蜜璃に
「ちょっと待って」と慌てて背中を追いかけ
「私の家、そっちじゃないよー」と声をかける。
えへへ。と恥ずかしそうに頬を染めた彼女がこちらに戻ってくるのを確認し、店主に三色団子を包んでもらうようお願いする。
用意してもらった団子を受け取り、店主にお礼をして今度こそ家に向かって歩き出す。
隣を歩く蜜璃はどうやら運ぶのを今から手伝ってくれるようで、やる気満々といったように腕まくりをしている。
それを視界に捉えた琴音はこのあまりの急展開具合は、〝師範そっくりだな〜〟と密かに笑みを漏らすのだった。