第四章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
蜜璃との柱稽古も無事に終わり、琴音は煉獄家へと向かって歩みを進めていた。
「あれって……」
暫く行けば遠くに〝殺〟を背負う白い羽織が目に入り、琴音は彼に向かって駆け出した。
「実弥さーーーんっ」
「あ?琴音じゃねえかァ……お前も帰りか?」
「はい!実弥さんは……少しご機嫌斜めですか?」
「そんなんじゃねえが……今日の稽古の相手が冨岡だっただけだァ」
ああ〜成る程、と頷いた琴音は、少し無愛想な同僚を思い出し苦笑いを浮かべた。
琴音自体は冨岡に対し、特段苦手意識も抱いていない。それどころか、今回の柱同士の稽古で見せつけられた洗練された技の数々に、尊敬すら覚えていた。
だが顔を合わせれば、いがみ合いを始める彼らを知っている琴音はそれだけで、理解してしまう。
「それは……お疲れ様、でした?」
そう言って曖昧に笑った琴音に、実弥がけっと吐き捨てた時だった。
彼らの近く、草むらでカサカサと何かが蠢く気配がした。二人はほぼ同時に反応を見せたが、実弥の方が近くだった為、彼の腕がそれを捉えた。
「なんだァァ、これはァ」
「これって……」
実弥の手が捉えたもの。それはぐちゃ、と潰れた目玉のような形をしていて、そこには確かに刻まれた〝
思わず顔を顰めた二人が、まさか……と互いに顔を見合わせた瞬間だったーー。
『緊急招集ーッ!緊急招集ーッ!』
突然現れた彼らの鎹鴉が、大声を出し騒ぎ立てる。
『産屋敷邸襲撃ッ……産屋敷亭襲撃ィ!!』
その声を聞くや否や、物凄い勢いで二人は林の中を駆け抜ける。
お館様は護衛をいつもつけていない。それを柱達も皆、危惧していたというのに……
パタリとなくなった鬼の被害がいつ迄も続くとは思ってはいなかったが、こんな形で奇襲を受けるとは。琴音は拳を強く握り、全速力でお館様の元を目指す。
〝お館様……お願い、間に合って!!〟
呼吸を使い全速力で本部を目指す彼らが、屋敷の屋根を視界に捉えた時……
ドォーーンッ
「っ、……!!」
それは無常にも琴音達の目の前で、激しく爆発し炎上した。最悪な状況に、思わず息を呑んで立ち止まってしまったが……震えそうになる足に力を入れ、再び彼らは駆け抜けた。
******
「
「岩の呼吸 参ノ型
琴音達が駆けつけた先では、もう既に悲鳴嶼と奇襲を仕掛けた鬼だろう者が戦闘を始めていた。
体中から
「鬼舞辻無惨だ! 奴は頚を斬っても死なない!!」
と悲鳴嶼から驚きの言葉が飛んできた。
「テメェかァアア!お館様にィィ、何しやがったァアーーーッ!!!」
一瞬脳裏によぎった予想に、嫌な汗が背中を伝うが、実弥の怒号に琴音も気合いを入れ直す。
「炎の呼吸 壱ノ型 不知火」
琴音が技を放つのと同時に、他の柱も続々と集結し、彼らもまた攻撃を仕掛ける。
だがーーー。
突如足元に扉が現れ、行き場を失った足からその空間に落ちていく。
「これで私を追い詰めたつもりか?貴様らがこれから行くのは地獄だ!!!目障りな鬼狩り共、今宵皆殺しにしてやろう」
そう吐き捨てた鬼舞辻の言葉を最後に、柱達を始めとする隊士の体は異空間へと消えていった。
******
落とされた先には、上下左右滅茶苦茶に作り出された城を思わせる様な広大な空間が広がっていた。
〝皆散り散りに逸れたか……〟
上手く手摺りに捕まり落下を逃れた琴音が、現状を把握しようと意識を集中させれば、うじゃうじゃと湧いて出るかの様な鬼の気配に思わず顔を盛大に歪めた。
「炎の呼吸 伍ノ型 炎虎」
琴音は其れらを片しながら、考えを巡らせる。今いるのは、敵が創り出した異空間……何がいるか分からない今、力を分散させるのは利口ではない。やはり仲間と合流するのが先決か……?
次から次へと仕掛けてくる鬼達を、軽い身のこなしで仕留めていきながら、琴音は物凄い速さで城の中を移動し続ける。
そんな彼女に一羽の鎹鴉が近づいてきた。それに口角を上げた琴音は、近くにいる仲間の場所を問おうと口を開きかけたのだが、彼女が声を発する前に鴉が伝達を口にする。
『カァァァーッ、死亡!!胡蝶シノブ死亡!!上弦ノ弍ト格闘ノ末死亡ーーーッ!!』
それにピタッ、と動きを止めた琴音は、しのぶの言葉を思い出す。
今にも泣き出しそうな顔で〝ありがとう〟と口にした親友の姿が脳裏に浮かび、琴音はぐっと拳を握りしめる。
〝私がしのぶの分の命を、背負うよ〟
その約束を果たすべく、鴉に向かって琴音は静かに口を開いた。
「上弦の弍は今どこにいるの?」