第四章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
炭治郎に刀鍛冶の里へ行くように勧めて数日後……
琴音の元にやってきた鎹鴉が、突然驚くべき内容を口にした。
「刀鍛冶ノ里、上弦ノ鬼ガ襲撃〜」
「なっ!!被害状況はっ!?」
その報告にギョッとして、琴音が鴉を問い詰めれば「五月蝿イ、落チ着ケ」と頭をツンツン突かれる。
「痛いっ、痛いっ!分かったからっ!!」
「ケッ、ケッ!」
涙目で見つめた琴音を嘲笑うように一鳴きした鎹鴉は、彼女への伝達を口にした。
「恋柱、霞柱、他二名ノ隊士ニヨリ上弦ニ対撃破!」
「上弦をニ対も!?
蜜璃ちゃんと、無一郎君……と他二名ってまさか炭治郎君とかじゃないよね……?まさかね」
あはは、と遠くを見つめる琴音は、数日前に「刀鍛冶の里に行けるようにお館様に頼んでみます」と笑った炭治郎を思い浮かべ、頬を引き攣らせた。そんなに彼女に鎹鴉は改めて口を開いた。
「恋柱、霞柱ガ回復次第、緊急デ柱ハ召集サレル!琴音、オ前モダ!!」
それに「はいはい」と答えた琴音は、静かに目を瞑り息を吐いた。
刀鍛冶の里を狙うとは、
鎹鴉からの報告を受け、そんな事を考えていた琴音だったが、その日を境に鬼の被害がパタッと姿を消すことになる。
鬼による犠牲者が出ていない事は喜ばしい筈なのに…
〝嵐の前の静けさのようだな〟
琴音は嫌な予感に顔を顰めるのであった。
******
刀鍛冶の里襲撃から三日後ーー。
鬼殺隊本部にて、緊急の柱合会議が開かれた。
ぞくぞくと集まってきた柱達は、産屋敷亭の一室に通され、会議が始まるのを待っていた。
お館様が現れるまで、やはり集まった柱達の間に交わされた話題は、今回の刀鍛冶の里での戦いについてだ。
「あーあァ、羨ましいことだぜぇ。何で俺は上弦に遭遇しねぇのかねぇ」
「こればかりはな、遭わない者はとんとない。甘露寺と時透、その後体の方はどうだ?」
今回上弦と戦った二人に、実弥が羨ましそうに口を開けば、伊黒も仕方がないと言ったように相槌をうった。
伊黒に怪我を心配された二人は、「もう大丈夫だ」と口々に応え、それに対して悲鳴嶼が涙を流して話し出す。
「これ以上柱が欠ければ鬼殺隊が危うい……死なずに上弦ニ対を倒した事は尊いことだ」
「今回のお二人ですが、傷の治りが異常に早い。何があったんですか?」
しのぶも彼らの怪我について思うところがあるのだろう、悲鳴嶼に続き口を開いた。
それを聞いていた琴音は、チラリと二人の怪我を目視で確認する。至る所に大きなガーゼや包帯を巻いている割に動きに違和感はなく、すでに完治が近いのだろうと推測する。琴音だって呼吸を使い、普段から傷の治りは異様に早いのだが……しのぶが、何があったのかと口にする程だ。呼吸云々では説明がつかない、驚異的な回復力を見せたのではないだろうか。
琴音が悶々とそんな事を考えていれば、冨岡が静かに言葉を落とす。
「その件も含めて、お館様からお話があるだろう」
すると、そこへ「大変お待たせ致しました」と、あまね様が姿を見せた。
それに姿勢を正した柱達に向かい、本日の柱合会議は、お館様の代理であまね様が努めると頭を下げた。そしてお館様は病状悪化のため、今後皆の前に姿を現すことができなくなったと、謝罪を口にした。
それには、柱達も一斉に頭を下げる。
「承知……お館様が一日でも長く、その命の灯火燃やしてくださることを祈り申し上げる……
あまね様も御心強く持たれますよう……」
皆を代表して口を開いた悲鳴嶼に「柱の皆様には心より感謝申し上げます」と、あまね様はまた頭を下げて礼を口にした。
そんな彼女が話し出した内容は、柱の面々を驚かせる内容だった。
まずは〝
今回柱が集められたのは、先の戦いで無一郎と甘蜜璃に痣が発現した為であるとの事。二人から痣の
戦国の時代、無惨をあと一歩のところまで追い詰めた始まりの呼吸の剣士たちも同じように痣が発現していたららしい。そして〝痣の者が一人現れると共鳴するように周りの者たちにも痣が現れる〟と伝わっている。そう口にしたあまね様は、既に痣を発現させている二人に向かい頭を下げる。
「御教示願います。甘露寺様、時透様」
「は、はい!!あの時はですね、確かに体が凄く軽かったです!!えーっと、えーっと」
あまね様の期待に応えるよう、勢いよく語り出した蜜璃に皆の視線が集中する。
「ぐあああ〜てきました!グッてしてぐあーって。心臓とかがばくんばくんして、耳もキーンてして!メキメキメキィッて!!!」
「「「「「……………………。」」」」」
蜜璃の独特な説明に、皆はポカンとしてしまう。普段、彼女を気にかけてやっている伊黒ですら、頭を抱える始末である。それに頬を赤らめた蜜璃が、慌てて謝罪を口にすれば、それまで黙っていた無一郎が彼女の代わりに当時の状況を語り出した。
「その時の心拍数は二百を超えていたと思います。さらに体は燃えるように熱く、体温の数字は三十九度以上になっていたはずです。そこで死ぬか死なないかが、恐らく痣が出る者と出ない者の別れ道です。」
粗方の状況を伝えた無一郎が最後に口にした言葉に、琴音は眉間に皺を寄せた。
彼が言う条件とやらが正しければ、琴音は有に痣者だ。呼吸を最大限に解放した時なら、その条件を満たしている。しかし、彼らの説明と大幅に異なるのは、それを使う度琴音は
蜜璃は〝体が凄く軽かった〟と言ったが、呼吸を全開放した際の琴音の体は段々と重くなっていったし、しのぶの〝異様に傷の治りが早い〟という疑問も、この痣が答えなのだろう。……呼吸の全開放した際は、普通の呼吸すらままならない。とすると
…… 琴音は無一郎の言うところの痣が
そんな事を考えていれば、皆が口々に痣について話し始めた。やはり痣を出せるようになる事は急務であろう。どうすれば良いのかは分からないが、迷わず自分の責務を全うしようと琴音は決意を新たにする。
だが、そんな柱達にあまね様が伝えた言葉。
琴音はそれに一瞬の迷いを見せた。
「痣が発現した方はどなたも例外なく………」
脳裏に杏寿郎の笑顔がチラつき、彼との幸せな未来を思い浮かべ、拳を強く握りしめた。