第四章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「上弦を倒した今、鬼舞辻がどう動くか分からないが、今まで通りとはいかないだろう……各自、今まで以上に気を引き締めて、警備にあたるように」
そう口にしたお館様の言葉を最後に、今回の柱合会議は終了した。
琴音と他の柱達の顔合わせをした後、各地の被害情報を簡単に共有した柱達は、あまね様に終始支えられるようにして、皆を見守っていたお館様を気遣い、早々に部屋を後にする。
「お館様、お身体を大切にして下さい」
「ああ、ありがとう」
皆が口々に彼へと言葉をかけていく中、お館様はそれに嬉しそうに笑い返していた。
******
部屋を後にした彼らに続き、琴音も歩みを進めれば、本部の庭に皆が集まり話し込んでいるのが見えた。
他人に興味がないのだろう。琴音が庭へと行き着いた時には、冨岡と時透の姿は既に無かった。会議も終わった事だし、立ち話が終われば、各々の屋敷へと帰路に着くのだろう。
そんな中、キョロキョロと辺りを見ました琴音は、ある人物の元へと駆け寄った。
それは親友のしのぶでも、甘味仲間の蜜璃でもない。背中に物騒な〝
「実弥さーーーんっ!!」
駆け寄った勢いそのまま、どん、と彼の背中に抱きついた琴音は、それは嬉しそうに口を開いた。
「実弥さん、久しぶりですっ!」
「飛びつくんじゃねェ、危ないだろォが!」
そう言って琴音に振り返った実弥が「元気そうじゃねェか」と彼女の頭を撫でたところで、その場に居合わせた柱達は、全員固まった。
だがそんな彼らにお構いなしで、二人は会話を続けていく。
「天元さんに聞きました。実弥さんもお館様に私の事を柱にって推薦してくれたんですよね?」
「あァ?宇髄?……まぁ、そんな大層な事はしてねェよ。ただ俺は実力があるのなら柱にするべきだと、お館様に伝えただけだァ」
「えへへ、実力だなんて。実弥さんに言われると照れますね!」
「はぁ……お前変わんねェな」
怠そうに返事をしたものの、実弥の表情はいつもの彼とは打って変わって柔らかい。そんな彼に話しかける琴音は、さながら大好きな主人が帰ってきた時の犬のようで。
その場にいた者達は、琴音が尻尾をブンブンと振っている様に見えたほどだ。
「伊黒さん!ほらね、私が前に言っていた事、当たっていたでしょう?不死川さんと琴音ちゃんは思い合っているのよ!そうだわ、そうに違いない!!やだ、キュンキュンしちゃうっ」
「甘露寺、落ち着くんだ……そうと決まった訳ではないだろう」
ある一角では、あらぬ妄想を膨らませる蜜璃を伊黒が懸命に宥めているし、
悲鳴嶼に至ってはそんな彼らを前に「不死川、良かったな」などと口にし、何故か涙を滲ませて手を合わせていた。
そんな中、琴音の親友は、顎に手を置き険しい表情を浮かべていた。
〝琴音には、煉獄さんという恋人がいる筈ではないだろうか?〟
まさか琴音が浮気をする様な人間ではないと信じているから……この場合たぶらかしているのは
そんな事を考えながら、彼らの会話に耳を傾ける。
「最近忙しくて、甘味をご一緒できてなかったですよね。この後お暇なら一緒に行きませんか?」
「お前は本当に甘いものばかりだなァ」
「実弥さんに言われたくないですよ!おはぎ馬鹿な癖にっ!!」
「そんなんじゃねェわ!!……まぁいい、会議もすぐ終わった事だし、久しぶりに冨田屋にでも行ってみるかァ」
「わぁ、冨田屋いいですね!!今日はこし餡にしようかな〜」
そのまま帰路に着こうと歩き出した二人の会話を遮って、しのぶが彼らに話しかけた。
「ちょっと待って下さい」
「あれ?しのぶ、どうしたの?肩の傷ならさっき診てもらったでしょう?」
そう言って首を傾げた琴音を無視して、しのぶは実弥に向かって口を開いた。
「失礼ですが、不死川さんと琴音は、どんな関係なんですか?」
「あァ?関係だと?そんなもん此奴は……」
その場の者達が、その先の言葉を息を呑んで見守れば
「「妹みたいなもんダァ(お兄ちゃんだよ)」」
二人は声を合わせて言い放った。
〝え?兄妹?〟
まさかの返事にその場の者は思考が停止したのだが、いち早く回復したしのぶが今度は琴音に向かって口を開く。
「そうですか…、不死川さんは琴音にとって、兄のような存在なんですね?それを聞いて安心しました」
「安心?なんで?」
しのぶの問いかけにキョトンとした琴音だが
「なんでって…… 琴音は煉獄さんと婚約したのでしょう?他の
にこりと爆弾を落とした彼女により、琴音は真っ赤になり慌てだす。
「な、な、な、なんで知ってるの!?まだ三日しか経ってないのに!!」
「隠の間で持ちきりの話題ですよ〜?なんでもゲスメガネが煉獄さんに殺されかけた、と言いふらして回っているようですし」
その一言に琴音は全てを理解した。
ゲスメガネ……が誰の事か何となく察した彼女は、前田が言いふらして回っている事を想像してため息を吐いた。そしてそんな彼のおかげで、隠の間で噂が広まり、隠が頻繁に行き交う蝶屋敷にまで行き着いた。そんな所だろうと。
「なんだお前、煉獄と結婚するのかァ?」
「……はい、でもすぐにではないですよ?柱になったばかりで、まだ大変な時期ですから」
「そんな気にしなくてもいいんじゃねェか?」
「いえ、そんな訳にはいきません!私を柱にと言って下さった方々に面目が立ちませんから」
「ふーん、そう言うもんかァ?なら今日は俺が祝いに奢ってやるよォ」
そう言って笑った実弥に「いつも奢ってくれるじゃないですか」と琴音は笑って返していた。
それを眺めていたしのぶは、二人の距離感は可笑しいが、どうやら思っていた仲ではないと言う事に気が付いた。彼女が真っ赤に顔を染めるのは、やはり杏寿郎の事ばかりのようだし……安心してしのぶは琴音に口を開く。
「まぁ何はともあれ、おめでとうございます」
「琴音ちゃん、おめでとう!煉獄さんとなんて素敵だわ〜!」
「あ、ありがとう〜。しのぶ、蜜璃ちゃん」
そう言って恥ずかしそうにお礼を述べた琴音は、その後実弥と共に帰って行った。
その背中を見送ったしのぶは、ふと心に思うのだった。
彼らの関係はやましい物ではないだろう。だがあの独占欲の強い