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神社と握り飯

「晋助、ここに何の用でござるか」

「ちと寄り道だ、すぐに戻る」

高杉達鬼兵隊は攘夷活動で九州の方まで訪れていたが京へと帰る道でふと故郷を見たい気持ちに駆られた。といっても跡地に行くのは躊躇われるのでよく居た神社で感傷に浸ることにした。
流石に反対されるかと思ったがそんな予想は的を外れ鬼兵隊の者たちはすんなりと了承した。本当良い部下を持ったものだと思う。

小さい頃のことは今でも鮮明に覚えている。
昔は今万斉の居る所に糞餓鬼共がいて今の自分のようにヅラが歩いてきていた。
刀が突き刺さっていた道も今では綺麗になっている、あの時は気にすることも無く入り浸っていたがここは誰かが管理しているのだろうか。少なくとも高杉はそのような人を見たことは無い。

本殿の方を見やれば変わらない形を…
そう思うよりも目につく物があった。

「こりゃァ…」

広げられた風呂敷に握り飯が二つ、供え物にしては中々にチョイスがおかしい。
こんなことをするのは一人しか思い当たらない、硬くはなっていないことから供えられてからそう時間が経ってはいないようだ。
どこから聞きつけてきたか知らないが恐らくこれは高杉に向けたものなのだろう。
呆れつつも握り飯を口に入れる。

「生ぬりィなァ」

少し懐かしい気持ちになった。
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