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神社と握り飯

[桂さん、こんなところまでなんの用で?]

「なに、ただお供えでもしようかとな」

今、自分達はわざわざ萩まで来ている。
エリザベスはなにかと鋭い奴だ。理由が神社のお供えだけでは疑問に思われるだろう。
だが本当にお供えくらいしか用が無いのだ、萩と言えば松下村塾の跡地があるが、彼処に行けば思い出が蘇ってきて一生閉じ込められそうなものだから行けない。
嗚呼、暫く行っていなかったおばあと両親の墓参りは行くべきだろうか。

[お供えのチョイス間違ってますよ]

「別に良いだろう、ここに祀られている神だってたまにはおにぎりをだな…」

[どうしようもねぇこのバカ]

桂は神なんて曖昧なものは信じたことがない。
そんな存在がいたとしても伝え聞かされているほど大した者でも無いのだろう。
人知を超える力を持つというのならこの世界の問題は何もかも丸く治まってどうしようもなく世界に嘆く者も現れることは無いだろう、結局は神も人間の範疇にある存在であるということだ。
──そもそもここに来たのだって彼奴がここに来るという情報を聞いたからなのだから。

桂は持っていた風呂敷を広げ包まれていた握り飯が見えるようにする。
一応神社なのでパンパンと手を合わせておく、先程神を信じていないなどといったが、もし祟られたらと思うとこういうことはした方がいいかもしれないとは思っている。

「打倒幕府!打倒将軍!」
[打倒幕府!打倒将軍!]

「よしもうここには用は無い、帰るぞエリザベス」
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