5、アインス
「その、ちょっと外の空気吸ってくるわ」
病の話を聞いてから銀時がその言葉を発したのはすぐ後のことだった。
"おかしい"とすぐ思った、まずこのタイミングで外の空気を吸うだろうか?
病の話を聞いたから、かも知れないがそんなもので折れる軟弱なやつではない。
皿にはまだ食べかけのスイカが残されている。
あの甘味しか目にない銀時がスイカを置いてまで優先するだろうか?
__そう、思いながらも銀時を引き止める手を伸ばすことは出来なかった。
◆◇◆◇
「まだ帰ってきていないのか」
皿を洗い終えた朧が戻って来てそう呟く。
既に銀時が外に出てから一時間が経過している。まだ、そこには食べかけのスイカが残されていた。
「先生、アイツ本当に空気なんか吸いに行ったのか?」
「うーん、反抗期ですかねぇ」
「ヤツは反抗期過ぎたばかりじゃないですか」
「アイツ探しに行こうぜ、…なんか嫌な予感がすんだよ」
「貴様がやる気になるなんて珍しい」
桂は心底驚いた、という顔で此方を見ている。
自分でも分からない。
顔合わせれば喧嘩三昧なのだから顔だって合わせたくないはずなのに、この前先生にさらけ出していたヤツの本音を聞いてからなんだかただのムカつくヤツだとは思えなくなっていっていた。
だから、今は放っておいてはいけないと思った。酷く、後悔する気がしたから。
松下村塾と札がある門の外に出る。
どこをどう見ても清々しいほどの晴天のはずなのに、何故か外は物々しい雰囲気だった。
__ジャラ
鈴の音。
すぐに音の鳴った方向へ向けばそこにはナニカがいた。
錫杖を持ち、梵字が羅列している包帯を巻いた、人とも言えれば化け物とも言える。
そんな風貌のナニカだ。
高杉の勘が危険信号を発している。
後ろから高杉に着いてくるように三人がこちらに来ているのが見えた。
「来るんじゃねェ!」
恐怖を、弱さを、打ち消すかのように出来る限り大きく叫ぶ。
先生達が困惑の声を上げているのが耳に届いていた。
◆◇◆◇
色素が薄くなり果てには死に至る病。
そんな病がこの時代に出ていたなんて覚えはないし、そもそもアレは天人由来のもの。
天人がそこまで地球に進出していなかった時代に流行る訳が無いのだ。
なら何が原因だというのか。
夢…否、もうこの言い方はやめよう。
__前回で起こったが影響している、としか考えられない。
悪戯が過ぎる。
松陽に想いを打ち明けたばかりだというのに、まるで運命にお前は業から逃げてはならないとでも言われているようだ。
…自分の中にはまだ魘魅がいる?
そんな考えが一番可能性がありそうなのだから本当質が悪い。
はぁ…はぁ…と息を吐く
まただ、また陽だまりから逃げてしまった。
もう二度と逃げないと、そう思っていたというのに。
「ぎ……さま」
聞こえるはずの無い声が途切れ途切れに聞こえる。
自分はだいぶ参っていたらしい。
にしても、こんな時に聞こえるのがこの声なのは自分でも驚きだった。
自分はてっきり……
「銀時様」
ハッと顔を上げる。
いるはずもないのに、そこには確かに緑髪でメイド服のロボット…たまがいた。
病の話を聞いてから銀時がその言葉を発したのはすぐ後のことだった。
"おかしい"とすぐ思った、まずこのタイミングで外の空気を吸うだろうか?
病の話を聞いたから、かも知れないがそんなもので折れる軟弱なやつではない。
皿にはまだ食べかけのスイカが残されている。
あの甘味しか目にない銀時がスイカを置いてまで優先するだろうか?
__そう、思いながらも銀時を引き止める手を伸ばすことは出来なかった。
◆◇◆◇
「まだ帰ってきていないのか」
皿を洗い終えた朧が戻って来てそう呟く。
既に銀時が外に出てから一時間が経過している。まだ、そこには食べかけのスイカが残されていた。
「先生、アイツ本当に空気なんか吸いに行ったのか?」
「うーん、反抗期ですかねぇ」
「ヤツは反抗期過ぎたばかりじゃないですか」
「アイツ探しに行こうぜ、…なんか嫌な予感がすんだよ」
「貴様がやる気になるなんて珍しい」
桂は心底驚いた、という顔で此方を見ている。
自分でも分からない。
顔合わせれば喧嘩三昧なのだから顔だって合わせたくないはずなのに、この前先生にさらけ出していたヤツの本音を聞いてからなんだかただのムカつくヤツだとは思えなくなっていっていた。
だから、今は放っておいてはいけないと思った。酷く、後悔する気がしたから。
松下村塾と札がある門の外に出る。
どこをどう見ても清々しいほどの晴天のはずなのに、何故か外は物々しい雰囲気だった。
__ジャラ
鈴の音。
すぐに音の鳴った方向へ向けばそこにはナニカがいた。
錫杖を持ち、梵字が羅列している包帯を巻いた、人とも言えれば化け物とも言える。
そんな風貌のナニカだ。
高杉の勘が危険信号を発している。
後ろから高杉に着いてくるように三人がこちらに来ているのが見えた。
「来るんじゃねェ!」
恐怖を、弱さを、打ち消すかのように出来る限り大きく叫ぶ。
先生達が困惑の声を上げているのが耳に届いていた。
◆◇◆◇
色素が薄くなり果てには死に至る病。
そんな病がこの時代に出ていたなんて覚えはないし、そもそもアレは天人由来のもの。
天人がそこまで地球に進出していなかった時代に流行る訳が無いのだ。
なら何が原因だというのか。
夢…否、もうこの言い方はやめよう。
__前回で起こったが影響している、としか考えられない。
悪戯が過ぎる。
松陽に想いを打ち明けたばかりだというのに、まるで運命にお前は業から逃げてはならないとでも言われているようだ。
…自分の中にはまだ魘魅がいる?
そんな考えが一番可能性がありそうなのだから本当質が悪い。
はぁ…はぁ…と息を吐く
まただ、また陽だまりから逃げてしまった。
もう二度と逃げないと、そう思っていたというのに。
「ぎ……さま」
聞こえるはずの無い声が途切れ途切れに聞こえる。
自分はだいぶ参っていたらしい。
にしても、こんな時に聞こえるのがこの声なのは自分でも驚きだった。
自分はてっきり……
「銀時様」
ハッと顔を上げる。
いるはずもないのに、そこには確かに緑髪でメイド服のロボット…たまがいた。
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