其の三 紅桜
「すみませーん、先日予約した坂田銀時つー者なんですけどォ」
先日、勘違いをした神楽の父に傘で殴りかかられ刀を木っ端微塵にされたため、新しく刀を打ってもらわければと銀時達は鍛冶屋を訪れていた…のだがどうにも刀を打つ音で声が遮られたのか職人達は返事を返してはくれない。
「すみませーん、先日予約した坂田銀時つー者なんですけどォ」
「あんだってェ!?」
「先日!予約した!坂田銀時つーんですけど!」
「新聞ならいらねーって言ってんだろ!」
「銀ちゃん無駄ネ、ソイツ耳くそ詰まってるアル」
_ガンッと銀時にハンマーが投げつけられる。
「なんで俺!?」
◇◆◇◆
「御三方、大変すまぬことをした!」
先の出来事により顔が痛む。
普通の言葉は聞こえないくせして悪口だけは聞こえる、大変不都合な耳をしているもだと思う。というより本当は聞こえていたのでは無いかと少し疑ってしまう。
村田鉄矢というらしいその男の声は耳に響く、一つ聞けば何回もエコーされそうなほど大きいのだ。
「いえいえ、それで今回ここをお伺いしたのは刀を打ってほしくて…」
「断らせていただく!」
「え、予約したときは何も言われなかったんですが」
──聞けば『紅桜』という刀が盗まれた。
その刀は鍛冶屋を始めてから唯の最高傑作なのだと、それが盗難に遭った時の傷心を理由に刀を打つのは暫く休みを取っているのだと。そして、『紅桜』が戻ってくればまた刀が打てるかもしれないと。
話を聞いた銀時達は一旦鍛冶屋を出ることにした。
「どうするんですか、この町ここくらいしか鍛冶屋ありませんよ」
「んなの探すしかねーアルヨ」
そう、そもそも払い屋以外に刀を使おうとする人間がいないので今どき売れない商売なのだ。だから付近には鍛冶屋はここしかない。
「『紅桜』なんて大層な名前でも案外質屋に売り飛ばされてるかもしんねーぜ」
「半分くらいありそうなのツッコミづらいんでやめてください」
新八のツッコミ魂は冷えきっていた。というのはさておき盗まれた、というだけでは分かることも分からない。もっと詳細な話を…
__ゴンッ
「いってぇな!なんかかてーもんで背中殴られた気がすんだけど」
「銀さん銀さん後ろ!」
「あんなヤツ初めて見たヨ」
後ろを振り返ってみれば[今紅桜といったか]とプラカードを掲げた白いアヒル、のような化け物にどこを見ているかも分からない目で見つめられていた。
◆◇◆◇
「はぁ、つまりテメーの飼い主が行方不明で同時に流行っていた辻斬りとその男が持っている刀『紅桜』の情報を探してると」
[要約するとそうだ]
最初は慣れなかったが話を聞いているうちにどこから出してきているのかも分からないプラカードに慣れてきてしまっている自分がいた。此奴は一体何なのだろう、まさか幽霊の類とかそういう…思い浮かんだことを否定する。どうせ子供騙しの着ぐるみか何かだ。
エリザベスと名乗る着ぐるみは懐から物を取り出す。それはびしゃりと乾いた血がついていた。
[桂さんの所持品だ 橋に落ちていた]
「あー!これなら定春に匂いを嗅いでもらえればいいアル!」
「なら手分けして動きますか?」
「俺は一人でやるから新八はそこの着ぐるみと組め」
「着ぐるみなんですかこれ…」
結局銀時、神楽&定春、新八&エリザベスの三手に別れることにした。
一人でやるとは言ったものの当てがない。
自分はこの町に来て日が浅いため知り合いが少ないのだ。手当たり次第当たるしかないだろう。
「待ってくれ、そこの人」
声をかけられ後ろを振り返れば鍛冶屋にいた青髪の女がいた。
先日、勘違いをした神楽の父に傘で殴りかかられ刀を木っ端微塵にされたため、新しく刀を打ってもらわければと銀時達は鍛冶屋を訪れていた…のだがどうにも刀を打つ音で声が遮られたのか職人達は返事を返してはくれない。
「すみませーん、先日予約した坂田銀時つー者なんですけどォ」
「あんだってェ!?」
「先日!予約した!坂田銀時つーんですけど!」
「新聞ならいらねーって言ってんだろ!」
「銀ちゃん無駄ネ、ソイツ耳くそ詰まってるアル」
_ガンッと銀時にハンマーが投げつけられる。
「なんで俺!?」
◇◆◇◆
「御三方、大変すまぬことをした!」
先の出来事により顔が痛む。
普通の言葉は聞こえないくせして悪口だけは聞こえる、大変不都合な耳をしているもだと思う。というより本当は聞こえていたのでは無いかと少し疑ってしまう。
村田鉄矢というらしいその男の声は耳に響く、一つ聞けば何回もエコーされそうなほど大きいのだ。
「いえいえ、それで今回ここをお伺いしたのは刀を打ってほしくて…」
「断らせていただく!」
「え、予約したときは何も言われなかったんですが」
──聞けば『紅桜』という刀が盗まれた。
その刀は鍛冶屋を始めてから唯の最高傑作なのだと、それが盗難に遭った時の傷心を理由に刀を打つのは暫く休みを取っているのだと。そして、『紅桜』が戻ってくればまた刀が打てるかもしれないと。
話を聞いた銀時達は一旦鍛冶屋を出ることにした。
「どうするんですか、この町ここくらいしか鍛冶屋ありませんよ」
「んなの探すしかねーアルヨ」
そう、そもそも払い屋以外に刀を使おうとする人間がいないので今どき売れない商売なのだ。だから付近には鍛冶屋はここしかない。
「『紅桜』なんて大層な名前でも案外質屋に売り飛ばされてるかもしんねーぜ」
「半分くらいありそうなのツッコミづらいんでやめてください」
新八のツッコミ魂は冷えきっていた。というのはさておき盗まれた、というだけでは分かることも分からない。もっと詳細な話を…
__ゴンッ
「いってぇな!なんかかてーもんで背中殴られた気がすんだけど」
「銀さん銀さん後ろ!」
「あんなヤツ初めて見たヨ」
後ろを振り返ってみれば[今紅桜といったか]とプラカードを掲げた白いアヒル、のような化け物にどこを見ているかも分からない目で見つめられていた。
◆◇◆◇
「はぁ、つまりテメーの飼い主が行方不明で同時に流行っていた辻斬りとその男が持っている刀『紅桜』の情報を探してると」
[要約するとそうだ]
最初は慣れなかったが話を聞いているうちにどこから出してきているのかも分からないプラカードに慣れてきてしまっている自分がいた。此奴は一体何なのだろう、まさか幽霊の類とかそういう…思い浮かんだことを否定する。どうせ子供騙しの着ぐるみか何かだ。
エリザベスと名乗る着ぐるみは懐から物を取り出す。それはびしゃりと乾いた血がついていた。
[桂さんの所持品だ 橋に落ちていた]
「あー!これなら定春に匂いを嗅いでもらえればいいアル!」
「なら手分けして動きますか?」
「俺は一人でやるから新八はそこの着ぐるみと組め」
「着ぐるみなんですかこれ…」
結局銀時、神楽&定春、新八&エリザベスの三手に別れることにした。
一人でやるとは言ったものの当てがない。
自分はこの町に来て日が浅いため知り合いが少ないのだ。手当たり次第当たるしかないだろう。
「待ってくれ、そこの人」
声をかけられ後ろを振り返れば鍛冶屋にいた青髪の女がいた。