其の四 分岐点
「あんなひでぇ目にあわされたのに割に合わねぇ…」
手の中にある一枚の紙切れを見る。
そこには『クルーズ旅行券』と書かれていた。
これが、前の紅桜騒動に巻き込まれたお詫びとして桂小太郎から貰ったものである。
何故旅行券だ、医療費とかもっと他に渡すものがあるだろう。と思って文句をつけようとしたのだがヤツらがその後すぐに行方をくらましたせいで文句をつけることさえ出来なかった。
腹いせに机を蹴る。
転倒しかけたところを新八が受け止めた。
「良いじゃないですかクルーズ旅行」
「そうヨ、私クルーズ旅行行ってみたいネ!」
「なんでそんなすぐに割り切れんの…」
◆◇◆◇
『お荷物はこちらでお預かり致します。当船では…』
「フゥゥゥ!アロハー!」
「銀さん思いっきり楽しんでるじゃないですか!後ここハワイじゃないですからね!」
「ハロー!ハワイ!」
「神楽ちゃんのは色々とおかしいよ!どういう意味!?おはようハワイなの!?こんにちはハワイなの!?」
ツッコミどころがズレている、ツッコミ役という偉大な役割はただのメガネには務まらなかったらしい。
今までそんな経験が無かったというのもあるのだろうが、嫌がっていた割に銀時はクルーズ旅行を楽しんでいる。
見るもの感じるもの全てが新鮮で子供のように …実際子供だが、はしゃいでいた。
クルーズ旅行なんて…と、思っていた自分がバカらしい。
『絶景を楽__』
突然、マニュアルを読んでいるかのような声が切られ、船がシンと静まる。
__ダンッ
そんな音を皮切りにグラグラと船が揺れ出した。
けたたましいサイレンの音、怒号、悲鳴、その全てが響いている。
『正…明……衝突…め船……険な状……す』
アナウンスも途切れ途切れになっている。
体が重い、キンキンと耳が痛い。
何が起こっているのかも分からないまま意識は沈んで行った。
◇◆◇◆
「あははは、おんし大丈夫なが?」
目が覚めると赤い服を纏ったあの銀髪の少年と似たような天然パーマの男がいた。
意識を朦朧とさせながら先程まで起こっていたことを思い起こす。
__確か自分達はクルーズ旅行で船に乗っていて突然サイレンが鳴りだしたと思ったら意識が無くなって…ここは?
「お、やっと目覚めたアルかメガネ」
「神楽ちゃん?ここは一体…それにこの人は…」
「わしは坂本辰馬、ここは無人島、わしもおんしらと同じように流れてきたぜよ」
「は…はぁぁぁぁあ!???」
__こうして僕らは三人、無人島に迷い込んだ。
そこが分岐点だったなんて、この時は誰も考えやしなかったんだ。
手の中にある一枚の紙切れを見る。
そこには『クルーズ旅行券』と書かれていた。
これが、前の紅桜騒動に巻き込まれたお詫びとして桂小太郎から貰ったものである。
何故旅行券だ、医療費とかもっと他に渡すものがあるだろう。と思って文句をつけようとしたのだがヤツらがその後すぐに行方をくらましたせいで文句をつけることさえ出来なかった。
腹いせに机を蹴る。
転倒しかけたところを新八が受け止めた。
「良いじゃないですかクルーズ旅行」
「そうヨ、私クルーズ旅行行ってみたいネ!」
「なんでそんなすぐに割り切れんの…」
◆◇◆◇
『お荷物はこちらでお預かり致します。当船では…』
「フゥゥゥ!アロハー!」
「銀さん思いっきり楽しんでるじゃないですか!後ここハワイじゃないですからね!」
「ハロー!ハワイ!」
「神楽ちゃんのは色々とおかしいよ!どういう意味!?おはようハワイなの!?こんにちはハワイなの!?」
ツッコミどころがズレている、ツッコミ役という偉大な役割はただのメガネには務まらなかったらしい。
今までそんな経験が無かったというのもあるのだろうが、嫌がっていた割に銀時はクルーズ旅行を楽しんでいる。
見るもの感じるもの全てが新鮮で子供のように …実際子供だが、はしゃいでいた。
クルーズ旅行なんて…と、思っていた自分がバカらしい。
『絶景を楽__』
突然、マニュアルを読んでいるかのような声が切られ、船がシンと静まる。
__ダンッ
そんな音を皮切りにグラグラと船が揺れ出した。
けたたましいサイレンの音、怒号、悲鳴、その全てが響いている。
『正…明……衝突…め船……険な状……す』
アナウンスも途切れ途切れになっている。
体が重い、キンキンと耳が痛い。
何が起こっているのかも分からないまま意識は沈んで行った。
◇◆◇◆
「あははは、おんし大丈夫なが?」
目が覚めると赤い服を纏ったあの銀髪の少年と似たような天然パーマの男がいた。
意識を朦朧とさせながら先程まで起こっていたことを思い起こす。
__確か自分達はクルーズ旅行で船に乗っていて突然サイレンが鳴りだしたと思ったら意識が無くなって…ここは?
「お、やっと目覚めたアルかメガネ」
「神楽ちゃん?ここは一体…それにこの人は…」
「わしは坂本辰馬、ここは無人島、わしもおんしらと同じように流れてきたぜよ」
「は…はぁぁぁぁあ!???」
__こうして僕らは三人、無人島に迷い込んだ。
そこが分岐点だったなんて、この時は誰も考えやしなかったんだ。