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其の三 紅桜

「そうですか…似蔵のことは残念でしたね」

「あいつがあのまま人の尊厳失うよりかァいい末路だっただろうよ」

闇に包まれる中一つ、蝋燭から発せられる炎がゆらゆらと揺れている。
三人は真剣な面持ちで対面していた。
このような類の話はまず雰囲気作りからだ。
で、なければいつものようなのほほんとした会話になるからである…という理由を今考えた。

「…ところで他人が巻き込まれたと聞いているのですが詳しく教えてくれます?」

「払い屋の仕事をしていると思われる子供三人が巻き込まれ一人重症を負いました、他二人は軽傷です」

「ほうほう子供を三人も巻き込んでしまったのですね」

コツン、と可愛らしい音をたてればガシャァァンとその頭にたんこぶを作る。

松陽はため息をつきいつもより深く埋まった二人を置いて外に出る。
流石に頭が痛い。
土下座をしてでも謝りに行かなければならないのだがお仕置きをする前に何処の子か聞くのを忘れていた、そこに考えが回らないほど自分は動揺していたのかもしれない。
道徳心的にも立場的にも流石に子供を巻き込むのはマズい。
いつも可愛らしいやらかししかしないものだから油断してしまっていた。

__ドンッ

「あぁすみません」

「……」

ぶつかった銀髪の子供はうんともすんとも言わず松陽を見ながらスッと赤い眼を細めて去っていった。
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