メンヘラJKと社畜
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「またこんな点数? 勉強出来なさすぎでしょ、留年するんじゃない?」
小馬鹿にして私を見てくる女、彼女は私の実の母親だ。 よくもまぁ、自分の娘に対してそこまで言えるものだ。 むしろ関心する。
「ちょっと聞いてるの?」
『……はい』
「大体あんたは昔から私が何かやってあげないと何も出来ないんだから」
違う。 やる前に全部あなたが取り上げてやってるんだ。 なんて、口が裂けても言えないけれど。
『すみません』
思ってもいない言葉を口にして、この場をおさめようとしてみる。 彼女は相変わらず私を罵倒してくるので意味はなかったようだ。
もういいや、部屋に逃げよう。
『じゃあ、私勉強するから』
「ったく、いい加減自分が勉強してないことに気づいたのね、遅すぎない?」
後ろでまだ愚痴愚痴言ってくるのを無視して部屋に戻る。 そして勢いよくベッドにダイブした。
ふかふかで暖かい。 落ち着く。 枕に顔を埋めて大きく深呼吸をすると、幾分かイライラもおさまった気がした。
ポケットから携帯を取り出し、SMSを開く。 最近、病み垢女子としてネットで活動するのがマイブームなのだ。
自分と同じように精神的に悩んでいる人たちとの交流、現実では到底出来ないことがそこでは可能になる。 こんな楽しいことが他にあるか? いや、ないだろう。
自分のアカウントにアクセスするとメッセージが届いていた。
【ようやく仕事終わった】
最近よく話をしてくれる「社畜D」さんからだった。 私は基本的に出会い厨でなければ、誰とでも話すが、長いこと続いているのは今のところ彼だけだ。
《お疲れ様、今日も残業だったの?》
とりあえず、当たり障りのない文章を送る。なるべくネガティブスイッチを押さないために。
【うん、でも俺が悪いから】
あ、失敗した。彼を暗い気持ちにしたくはないのに。
《どうして?》
彼は私の話をよく聞いてくれるし、的確なアドバイスもくれたりする。 彼の言葉に救われたこともあった。
言わば彼は私のネット界1の恩人なのだ。そんな人を落ち込ませたくないというのは、人として当然の考えだと思う。
【俺がしっかりしていなかったから上司に仕事追加された、俺が全部悪いんだよ】
《でもそれは社畜Dさんの元々の仕事じゃないんでしょ?》
【そうだけど……、俺がもっと色々出来てたらやらなくて良かったはず……だから】
《うーん、私は社畜Dさんのせいじゃないと思うよ》
【ありがとう、メンヘラJKさん】
《どういたしまして、社畜Dさんにはいつもお世話になってるからね》
【俺は何もしてないよ、むしろ俺のせいで君にこんなつまらない話聞かせて迷惑かけてる】
《迷惑じゃないよ、社畜Dさんは私の話も色々聞いてくれるからね。だから私も貴方の話を聞くんだよ》
【こんな中年相手と話してくれるのはメンヘラJKさんくらいだよ】
《中年って笑、まだ29のくせに笑》
【もう中年だよ、そろそろキレる中年の見出しにのりそう】
《ご冗談を笑、じゃあ私お風呂入ってくる》
【うん、こんな俺と話してくれてありがとう】
「社畜D」さんと話していると彼のネガティブさに思わず笑ってしまう。 なんでも自分のせいだと思ってしまうだなんて、よっぽど変わっているんだろう。 まぁ、私も人のことを言えるほどではないけれど。
彼はいつも自分が悪いと言って、他の人は悪くないと言ったりする。
【俺が悪いから君は悪くないと思う】
そんなセリフを何度も聞いた。 その度に優しい人なんだろうなと思う。 彼は無意識に色んな人をそんな言葉で救っているのだろう。
あぁ、でも、でも
『願わくば、彼とあんな風に話すのが私だけならいいのに』
ポロッとでた醜い私の本性は部屋の空気の中にすぐに溶けて消えた。
小馬鹿にして私を見てくる女、彼女は私の実の母親だ。 よくもまぁ、自分の娘に対してそこまで言えるものだ。 むしろ関心する。
「ちょっと聞いてるの?」
『……はい』
「大体あんたは昔から私が何かやってあげないと何も出来ないんだから」
違う。 やる前に全部あなたが取り上げてやってるんだ。 なんて、口が裂けても言えないけれど。
『すみません』
思ってもいない言葉を口にして、この場をおさめようとしてみる。 彼女は相変わらず私を罵倒してくるので意味はなかったようだ。
もういいや、部屋に逃げよう。
『じゃあ、私勉強するから』
「ったく、いい加減自分が勉強してないことに気づいたのね、遅すぎない?」
後ろでまだ愚痴愚痴言ってくるのを無視して部屋に戻る。 そして勢いよくベッドにダイブした。
ふかふかで暖かい。 落ち着く。 枕に顔を埋めて大きく深呼吸をすると、幾分かイライラもおさまった気がした。
ポケットから携帯を取り出し、SMSを開く。 最近、病み垢女子としてネットで活動するのがマイブームなのだ。
自分と同じように精神的に悩んでいる人たちとの交流、現実では到底出来ないことがそこでは可能になる。 こんな楽しいことが他にあるか? いや、ないだろう。
自分のアカウントにアクセスするとメッセージが届いていた。
【ようやく仕事終わった】
最近よく話をしてくれる「社畜D」さんからだった。 私は基本的に出会い厨でなければ、誰とでも話すが、長いこと続いているのは今のところ彼だけだ。
《お疲れ様、今日も残業だったの?》
とりあえず、当たり障りのない文章を送る。なるべくネガティブスイッチを押さないために。
【うん、でも俺が悪いから】
あ、失敗した。彼を暗い気持ちにしたくはないのに。
《どうして?》
彼は私の話をよく聞いてくれるし、的確なアドバイスもくれたりする。 彼の言葉に救われたこともあった。
言わば彼は私のネット界1の恩人なのだ。そんな人を落ち込ませたくないというのは、人として当然の考えだと思う。
【俺がしっかりしていなかったから上司に仕事追加された、俺が全部悪いんだよ】
《でもそれは社畜Dさんの元々の仕事じゃないんでしょ?》
【そうだけど……、俺がもっと色々出来てたらやらなくて良かったはず……だから】
《うーん、私は社畜Dさんのせいじゃないと思うよ》
【ありがとう、メンヘラJKさん】
《どういたしまして、社畜Dさんにはいつもお世話になってるからね》
【俺は何もしてないよ、むしろ俺のせいで君にこんなつまらない話聞かせて迷惑かけてる】
《迷惑じゃないよ、社畜Dさんは私の話も色々聞いてくれるからね。だから私も貴方の話を聞くんだよ》
【こんな中年相手と話してくれるのはメンヘラJKさんくらいだよ】
《中年って笑、まだ29のくせに笑》
【もう中年だよ、そろそろキレる中年の見出しにのりそう】
《ご冗談を笑、じゃあ私お風呂入ってくる》
【うん、こんな俺と話してくれてありがとう】
「社畜D」さんと話していると彼のネガティブさに思わず笑ってしまう。 なんでも自分のせいだと思ってしまうだなんて、よっぽど変わっているんだろう。 まぁ、私も人のことを言えるほどではないけれど。
彼はいつも自分が悪いと言って、他の人は悪くないと言ったりする。
【俺が悪いから君は悪くないと思う】
そんなセリフを何度も聞いた。 その度に優しい人なんだろうなと思う。 彼は無意識に色んな人をそんな言葉で救っているのだろう。
あぁ、でも、でも
『願わくば、彼とあんな風に話すのが私だけならいいのに』
ポロッとでた醜い私の本性は部屋の空気の中にすぐに溶けて消えた。
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