ヒプマイ短編
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ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ
朝からいつも通りの電子音が脳に響く。
嫌だ、まだ起きたくない。 もう少しだけ寝ていたい。 しかし、朝食を食べ損ねるのはごめんだ。 だって名前の手作りだから。 そう考えると、俺は重い体を起こしアラームを止めた。
リビングに入ると名前がいた。彼女はいつも俺より早く起きて朝食を準備してくれる。 正直、なんで俺がみたいなのが名前と結婚できたのか未だに分からない。
俺が来たことに気付くと彼女は嬉しそうに笑った。それがとても愛らしくて、まるで天使のように思えた。
『おはよう、独歩くん』
「うん、おはよう名前」
『ちょっと朝ごはん待ってね、もうすぐ出来るから』
「分かった、何か手伝える?」
『んー、じゃあコップ出して飲み物を入れといてくれる?』
「分かった」
彼女に言われた通り、お揃いで買ったコップを机の上に置く。 そして、自分のにはお茶を、彼女のには牛乳を注いだ。
名前は毎朝必ず牛乳を飲むのだ。 付き合っていた頃、何故かと聞いたことがあった。 その時は、少し恥ずかしそうに身長を伸ばしたいから、と言っていた。
実際彼女の身長は150cm前半で決して高いとは言えない。 けれどもそのくらいで俺は丁度いいと思う。 気にしなくてもいいと何度も言ったが、その度にもう少し大きい方がいいんです、と言われるのだ。
『準備できたから、食べよっか』
俺が色々思い出してるうちに彼女は朝食の準備を終えたらしい。
名前と他愛もない話をして食事するこの時間は俺の至福の時間だ。 時々俺ばかりいい思いをしている気がして、不安になってしまうくらいに。
「そういえば、なんで身長伸ばしたいの?」
先程、思い出した疑問を聞いてみる。 何の気なしの質問立ったが名前は一瞬驚いたように目を丸くさせた。 何か不味かったのだろうか、冷や汗が出そうになる。
「いや、言いたく無かったら別に言わなくたっていいし。 そんな質問した俺が悪いから。 うん、俺が全部悪いから。俺は愛する人を困らせるなんてなんてだめなんだろう。 やっぱり名前は俺と結婚しない方が良かったのかもしれない。 俺はすごい幸せだけど君を困らせてる。全部俺が悪いんだ、全部俺が……」
だいぶ、悪い方向に頭がいってしまう。 でも、本当に彼女は俺と結婚してよかったのか不安になる。
『独歩くんが悪いとかそういうわけじゃなくてっ!』
「えっ、じゃあどういうこと?」
俺が悪くないとはどういうことなのか、よく分からない。 尋ねると彼女は恥らうように目を伏せた。 そしてゆっくり口を開いた。
『あ、あのね、前にどこかで聞いたの。 キ、キスしやすいい身長差って12cmだって。 だからもっと背が高くなりたくて……』
名前はあのときのように恥ずかしそうに言った。 正直身長差なんて考えたこともなかった。 でも、俺のために身長を伸ばしたいという彼女がとても愛らしくて、俺は少し笑ってしまった。
『笑わないでよ!』
「ご、ごめん。 可愛くて、つい」
彼女は、もうっ、とちょっと怒っていたがそれすらも愛しく思えた。 こんな幸せの時間がずっと続けばいいのに。
そういうわけにも行かず、そうこうしている内にそろそろ出ないといけなくなった。
玄関までカバンを持って名前がついてきてくれる。 行きたくもない会社だが、彼女のためにも頑張らないといけない。
靴を履いたとき、俺は一つ良いことを思いついた。 なるべくそれを顔に出さないように名前が差し出してくれたカバンを手に取る。
『じゃぁ、今日もお仕事頑張ってね』
「うん、頑張ってくる」
そう言うとと俺は名前の口に自分の口を重ねる。 唇を離すと彼女は顔を真っ赤にして固まってしまっていた。
「身長差なんて関係ないと思って……」
俺が言い訳じみたことを言うとようやく硬直状態から戻ったらしくしばらく口を金魚のようにパクパクさせている。
やっぱり可愛いなぁ、なんて眺めていると腕を捕まれいきなり体を回転させられた。 いきなり目の前が名前からドアに変わる。
「うわっ、ちょっと名前!」
『お、お仕事遅れるよ。 早く行かないと!』
「まだそんなに焦る時間じゃないって!」
『別に良いの! 今後ろ見たら怒るからね! 早く行って!』
背中をグイグイ押して出勤を促してくる。
仕方ないな。 ここは俺が折れるか。
「はぁ分かったよ、じゃあ行ってくる」
『うん、いってらっしゃい』
ドアが閉まる直前にちらりと見えた名前の顔は夕日のように赤かった。
朝からいつも通りの電子音が脳に響く。
嫌だ、まだ起きたくない。 もう少しだけ寝ていたい。 しかし、朝食を食べ損ねるのはごめんだ。 だって名前の手作りだから。 そう考えると、俺は重い体を起こしアラームを止めた。
リビングに入ると名前がいた。彼女はいつも俺より早く起きて朝食を準備してくれる。 正直、なんで俺がみたいなのが名前と結婚できたのか未だに分からない。
俺が来たことに気付くと彼女は嬉しそうに笑った。それがとても愛らしくて、まるで天使のように思えた。
『おはよう、独歩くん』
「うん、おはよう名前」
『ちょっと朝ごはん待ってね、もうすぐ出来るから』
「分かった、何か手伝える?」
『んー、じゃあコップ出して飲み物を入れといてくれる?』
「分かった」
彼女に言われた通り、お揃いで買ったコップを机の上に置く。 そして、自分のにはお茶を、彼女のには牛乳を注いだ。
名前は毎朝必ず牛乳を飲むのだ。 付き合っていた頃、何故かと聞いたことがあった。 その時は、少し恥ずかしそうに身長を伸ばしたいから、と言っていた。
実際彼女の身長は150cm前半で決して高いとは言えない。 けれどもそのくらいで俺は丁度いいと思う。 気にしなくてもいいと何度も言ったが、その度にもう少し大きい方がいいんです、と言われるのだ。
『準備できたから、食べよっか』
俺が色々思い出してるうちに彼女は朝食の準備を終えたらしい。
名前と他愛もない話をして食事するこの時間は俺の至福の時間だ。 時々俺ばかりいい思いをしている気がして、不安になってしまうくらいに。
「そういえば、なんで身長伸ばしたいの?」
先程、思い出した疑問を聞いてみる。 何の気なしの質問立ったが名前は一瞬驚いたように目を丸くさせた。 何か不味かったのだろうか、冷や汗が出そうになる。
「いや、言いたく無かったら別に言わなくたっていいし。 そんな質問した俺が悪いから。 うん、俺が全部悪いから。俺は愛する人を困らせるなんてなんてだめなんだろう。 やっぱり名前は俺と結婚しない方が良かったのかもしれない。 俺はすごい幸せだけど君を困らせてる。全部俺が悪いんだ、全部俺が……」
だいぶ、悪い方向に頭がいってしまう。 でも、本当に彼女は俺と結婚してよかったのか不安になる。
『独歩くんが悪いとかそういうわけじゃなくてっ!』
「えっ、じゃあどういうこと?」
俺が悪くないとはどういうことなのか、よく分からない。 尋ねると彼女は恥らうように目を伏せた。 そしてゆっくり口を開いた。
『あ、あのね、前にどこかで聞いたの。 キ、キスしやすいい身長差って12cmだって。 だからもっと背が高くなりたくて……』
名前はあのときのように恥ずかしそうに言った。 正直身長差なんて考えたこともなかった。 でも、俺のために身長を伸ばしたいという彼女がとても愛らしくて、俺は少し笑ってしまった。
『笑わないでよ!』
「ご、ごめん。 可愛くて、つい」
彼女は、もうっ、とちょっと怒っていたがそれすらも愛しく思えた。 こんな幸せの時間がずっと続けばいいのに。
そういうわけにも行かず、そうこうしている内にそろそろ出ないといけなくなった。
玄関までカバンを持って名前がついてきてくれる。 行きたくもない会社だが、彼女のためにも頑張らないといけない。
靴を履いたとき、俺は一つ良いことを思いついた。 なるべくそれを顔に出さないように名前が差し出してくれたカバンを手に取る。
『じゃぁ、今日もお仕事頑張ってね』
「うん、頑張ってくる」
そう言うとと俺は名前の口に自分の口を重ねる。 唇を離すと彼女は顔を真っ赤にして固まってしまっていた。
「身長差なんて関係ないと思って……」
俺が言い訳じみたことを言うとようやく硬直状態から戻ったらしくしばらく口を金魚のようにパクパクさせている。
やっぱり可愛いなぁ、なんて眺めていると腕を捕まれいきなり体を回転させられた。 いきなり目の前が名前からドアに変わる。
「うわっ、ちょっと名前!」
『お、お仕事遅れるよ。 早く行かないと!』
「まだそんなに焦る時間じゃないって!」
『別に良いの! 今後ろ見たら怒るからね! 早く行って!』
背中をグイグイ押して出勤を促してくる。
仕方ないな。 ここは俺が折れるか。
「はぁ分かったよ、じゃあ行ってくる」
『うん、いってらっしゃい』
ドアが閉まる直前にちらりと見えた名前の顔は夕日のように赤かった。
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