イタカ夢
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裏切りという愚かな行為をしたものは自滅するのだ、嘘偽りを述べたところで誰かが助かるはずもない。
だが理不尽なこの世の中は、偽りを述べることで生き長らえることが出来るのだろう___
人物紹介
探偵
と、名乗っているが自称脳筋ゴリラのダウナー系らしい。
先日イタカに本を片付けて貰ったので部屋をめいっぱいに使えるようになった。
夜の番人
雪原に住みついていた狩人の一人、"雪ノ死神"等と噂されていた過去がある、己自身の面倒を見るという契約(?)を探偵に押し付け荘園に居座っている。
隠者
過去に偉大な研究を行っていた発明家、現在は第二の人生を謳歌している。猫本体とそれに由来、関連するものには目が無い。ちなみに彼自身が猫っぽいと思えば全て関連するものになるらしい。
白黒無常
白と黒、互いが見えることは無いが共に存在している。普段は傘で眠っているが探偵の気配を察知すると現れる。
探偵とは一番長い付き合いらしい。
※夢小説ですのでモブ表現等あります。
※血腥、不快、流血描写などあるかもしれません、なんでも大丈夫という方向けです。
_________
エウリュディケ荘園__探偵の部屋
今日も今日とて平穏(?)な荘園内、たまに断末魔みたいな声が聞こえるような気がしなくもないが、まあそれはたぶんこの荘園にはありがちなドッキリというか、まあ多分そんな感じなのだろう。にしても前よりもめちゃくちゃ快適になった自室、何故かと言うとイタカさんが本を片付けてくれたのだ。
物理的に。
どういう事かと言うと私がいない間に"邪魔だったから"という理由で全て風ですっ飛ばしたらしい。
探偵「どうしてそんなことしたのですか」
イタカ「あの本以外いらないと思って」
探偵「う゛あ゛あ゙ぁ゙あ゙!!!!!」
まあ実際は吹っ飛ばしたといって図書館に寄付したらしい、ちゃんと見ないやつは見ないやつで置いておいたのでそれらの寄付は良かったのだけれど、資料等のものは興味があるからという理由でイタカさんが全て自室に持って行ってしまったのだ。
なので私の手元にあるのはこの母の形見の一つである本だけである。
(詳細は前回の小説をチェック)
まあそんな訳で自室が広くなったわけで、そうなると色々と捗るようになって自室からあまり出なくなっていた。
そんな時遊びに来てくれたのが白無常__謝必安だった。
必安「やっほ、探偵元気してる?」
何も音沙汰なく彼はいつも来るものだから何も用意してない、別にいらないよ、というのだけれどお茶菓子くらいは出さないと…。
______
白黒無常、私がこの場所に来た際に出会った狩人の1人。謝必安と范無咎、二人の魂がその傘に宿っているという話を聞いた事がある。
けれど白は残虐的な行為を繰り返す事が多くなってから、ゲームに参加することが少なくなったらしい。
____幾ら、幾ら、釦をちぎって掻き集めたところで。
なにも 得られるものは無い。
出会って何時か経ったある日、彼はそう述べていた。
何処か冷めていて、全ての[[rb:罪 > 生]]を見据えているような、そんな雰囲気が彼にはあった。
必安「懐かしいよねぇあの時、覚えてる?」
探偵「えぇもちろん、覚えてるよ。…貴方と過ごした日々を、忘れた事なんてないからね。」
彼がゲームへと出場できるようになった日、私は彼の指揮役として願い出た。
その前に彼がもしゲームに出れるようになったなら、身体が怠けていると思うから解す手伝いをしてほしいという些細なおねだりでもあった。
でも私はそれを決して忘れることは無かった、何なら上部にさっさとゲームに出させろコノヤローという[[rb:脅し > 問い合わせ]]もしたくらいである。
結果は……敗北。
……とても悔しかった、私がもう少しちゃんとした指示をしていたなら、と何度思っただろうか。
けれど彼は笑ってくれたんだ。
必安「探偵の指示は悪いものじゃなかったよ、僕の判断力が鈍ってたんだ、もう少しちゃんとしてたら良かったのにさ。」
それから……私達は時間が出来次第何度もゲームに参加した。
そうして勝利を初めて掴んだ時は本当に嬉しくて。
_そうしていくうちに、彼は段々笑ってくれる事が多くなっていったんだ。
可愛らしくも凛々しく、愛らしい笑顔。
見ているこっちも安心するような笑顔。
私は彼に惹かれていくようになった、そうして時折顔を見せてくれる黒い彼にも
___何かあったら、必安をよろしく頼む。
そう言ってくれた、でも大丈夫、私は。
貴方達を 守りたいから。
黒も白も、私にとっては大切な人達であるから、この荘園にいる間でも見守っていたい、密かにそう心に誓ったんだ。
必安「ねえねえ探偵、今日あれある?あのお菓子、甘くて美味しいやつ」
探偵「どら焼きのこと?買ってはあるよ、そこの棚に入ってる」
彼は根っからの甘党らしくいつもお菓子をねだってくる、何も無いとはいったがこの前そのお菓子だけは買った記憶があって、教えるとすぐに彼はその場所に向かって1口サイズのどら焼きが沢山入った袋を開けておもむろに食べ始めた。
必安「はい、あーん。」
探偵「ん、ぁ。」
ひょい、と私の口の中にそのどら焼きを放り込む、私もそれを受け止め食べる、必安から貰うどら焼きはいつもよりほんのり甘い気がして。
必安「おいしー?」
探偵「ん、おいひ。」
必安「ふふ、良かった♡」
自分が作ったわけでもないのにそんなことを述べる必安、けれど笑ってくれる彼が本当に愛おしくて_____
けれど何故かその一瞬、突き刺さるような[[rb:なにか > ・・・]]を感じた。
……これは、風?
_______ _______
夜になるとサバイバー達は寝静まる、たまに起きている人々もいるが、大抵はハンター達の時間だ、私は何となく中庭へと足を運んでいると、そこには見慣れた姿が。
アン「あら、探偵様ではありませんか。」
ヴィオ「まあ!こんばんは!こんな所で会えるなんて偶然ね!」
ロビー「探偵のお姉さんだ〜!」
これはまた中々に珍しい面子である、何でもヴィオさんがどうしてもアンさんの黒猫に触りたかったらしく、そのお願いを聞いていたらしい、そうして二人で話をしていたらちょうどヴィオさんを探していたロビーさんが合流したんだとか。
ロビー「ほら、みてみて、このお花、すごく綺麗な色をしているでしょ?」
ヴィオ「本当ね!こんなお花、見たことないわ…アンおねえさま、このお花の種類はわかるかしら?」
アン「ざんねんながら私は植物に詳しくはなくて…探偵様は分かりますでしょうか。」
ロビーさんから不思議な花というのを見せてもらった、……これは、
___何となく記憶にあるような花の形だった。
探偵「……恐らくですが、私の知り合い、形として"白黒無常"を名乗っている1人が作ったものかもしれません。」
アン「形として……?」
探偵「はい、おかしな言い方ですみません、けれど本当に、形としては無常である人なんです。」
この荘園は、何故かそういうハンターがいるんだ、詳細は省くが、要は"オリジナルに近い存在"ということ。
白黒無常として成り立つ存在は1人だけである、だけれどこの荘園は不思議なことに、その形をとって、新しい生命として生きている存在が複数確認されている。
説によればそれらは全て、この荘園内の誰かの幻覚等が悪化しているのが原因だと言うが、本当なのかはわからない。
ヴィオ「わたし知っているわ!前にお見かけしたことがあるの、花の白無常さんよね?」
ロビー「そうなんだ!ウウウ、僕も会ってみたいなぁ…ヴィオちゃん、今度その場所に連れてってよ」
ヴィオ「そこで会えるか分からないけれど、行ってみましょう!そしてこのお花を返してあげないとね。」
そうして二人仲良く楽しそうに喋っているのをアンさんと見守っていると
アルヴァ「子というものは本当に無邪気で、見ていて微笑ましいものですな。」
アントニオ「チャッチャ……♪透明で、大変心地の良い音色です。」
いつのまにかハンターが勢揃いだ、その中で私がここに居るのはいささか不自然だろう、そっとその場から離れようとした時だった。
アルヴァ「探偵殿、今お時間ありますかな。」
すらりとした背の彼が此方を見下ろしている、私はその月のように綺麗な瞳に誘われるように近寄りながら
探偵「え、あ、はい。大丈夫ですよ」
彼もどうやら賑やかな所は得意ではないらしかった、あとアンさんに多分小言の一つや二つ言われるのであろう、ちょうどアントニオことチャッチャさんもいたので、彼に任せることにしたのだそう。
私はアルヴァさんの部屋へと招かれ、色んな話をして、そのまま抱き枕にされたのだった。
……何を言っているか分からないと思うが、私もよく分からない、抱き枕にされたのだった。(2回目)
___________。
翌日、アルヴァさんの部屋で目覚めた私は昨夜寝てしまったことを謝罪しつつ、部屋を後にした。
ぐっすり眠ってしまったようで、時計を見てみるともう昼過ぎだった、朝ごはんも何も食べていない。
そうしてホールの展示版を確認すると、どうやら今日は[[rb:ゲーム > ・・・]]が行われる日のようだ。
参加者であるサバイバーは皆見慣れないもの達だ。
ゲームと言えども、この荘園にしてみればアミューズメントのひとつのようなもの、多少の怪我を持ってしても帰ってくれば治っているご都合主義だ。
にしても今回のハンターは、一体誰なのだろうか。
探偵「……まあ、ゲーム自体そこまで興味がある訳では無いから、忘れなかったら見に行こう。」
そのゲーム開始時刻、私はアントニオさんの演奏会を聴いていた、完全にゲームの存在自体を忘れ去っていたのだった。
_________
その日の夜、奇妙な事が起こった。
なんでも、昼に参加したサバイバー全員が失踪したのだという。原因は未だ不明で、荘園全体で捜索しているのだという。
まあこの荘園内であれば、バグだとかなんだとかで女体化になってる人もいるし、ちびっ子になっている事もあるから、失踪ぐらいなんて日常茶飯事なのだろう。
それにしても、その当時のハンターの記入名すらも消滅しているだなんて…なんでもそのゲームの管理をしていた人が全くもって記憶に無いと言っていたらしい。
そもそも、ゲームを行ったこと自体曖昧なんだとか…ハンターの仕業であるならば、とんだ悪戯だと思う。
「あの人達は大丈夫なの?」
「失踪した人達だよね、災難だったよなぁ」
「早く見つかるといいけれどね。」
そんな声が聞こえる中、私は部屋に戻りシャワーを浴びようとした。
_____「やあ、探偵ちゃん。」
ふわりと私の髪を揺らす風、振り返ればそこにはイタカさんの姿。
探偵「イタカさん、最近見かけないと思ったら…どこに行ってたんです。」
その問いに素直に彼が返してくれる訳もなくて、ただくつくつと不敵な笑みを見せながら
イタカ「さあね?どこに行こうと僕の勝手だろう。それより君の部屋をこんなにも綺麗にしたんだから、もっと感謝して欲しいぐらいなんだけれど。」
そうしてお気に入りの椅子に座れば、彼はそう述べた。
相変わらず小生意気な態度は変わっていない。
探偵「いらない本は勝手に飛ばして、気になったものは自室に持ち込んだ貴方ですからね…半分は感謝しますが、半分は許しません。」
イタカ「ちぇっ、なんだよそれ。」
そうして不機嫌そうな声をあからさまに出しながら頬杖を付く彼、何となく雰囲気悪くしたので私はその場を後にし、浴室へ向かおうとした、が、彼がいつのまにか目の前に瞬間移動し、私の顔を覗き込むように
イタカ「ね、どこいくのさ。」
探偵「お風呂、入ろうと思って。」
イタカ「ふーん、僕も一緒に入っていい?」
危うく、いいよ、と了承を得るところだった、めちゃくちゃナチュラルに聞いてきたものだから一瞬だけ固まった。
探偵「……え?」
イタカ「僕もお風呂入りたい、多分ここ最近入ってない気がするし」
探偵「な、なら、お先にどうぞ。」
イタカ「一緒に入る。」
探偵「……は???」
何だこの人、たまに思うが常識というのを携えているのか?お風呂を一緒に入るということは、混浴をするという事なんだぞ???……いやまて、私が少し考えすぎなのかもしれない、とりあえずいったん落ち着いてから彼に問いかけてみた。
探偵「あの、一瞬に入るというのは、お互い同時に入るということですよね」
イタカ「そうだけど、なにか問題でもある?」
なるほど、この人はそういうのが全くもって経験のない人なのだと理解した。
そうして私は彼に事細かく、異性と接するにあたってのあれこれを私なりの常識やマナーで教えてあげた、つもりだった。
そうして彼はふーん、と至極つまらなさそうな返事をしながら
イタカ「なるほど、じゃあ探偵は僕に裸見られるの恥ずかしいんだ?」
何も分かっていなかった。
恥ずかしいに決まってんだろ!!!!!!!お前は恥ずかしくないのか?!?!?!!!なんだ、私が経験あまりないからってこいつからかってんのか?!?!!!!これだから面のいい男はよォ……全くもって許さねえ、というかそもそもコイツと変な契約(仮)を付けられてるせいでなんか変に動けないしほんとよく分からんなんなんだこいつハンターだ、新ハンターの夜の番人イタカだイタカっていう男はみんなこういうのばっかなのか??全くもって許されざる(以下略)
と、そんな事を思っていると目の前の彼はこれまた随分と楽しそうな声を出していた。
イタカ「く、くく、ははは。やっぱり探偵って面白いなァほんと、一緒にいて飽きないよ。」
そうして目の前から消え去れば今度は窓辺に、そのまま窓を開ければ風を纏う彼、ローブは揺れ、そこから見える髪を揺らしながら、その場に座る彼はこう述べた。
イタカ「ねえ、探偵の母さんって、どんな人だったの。」
_____ _______
母親、その人は私が生まれた時からずっと大切にしてくれた、私が唯一信頼する存在。
何をするにでも母親と私はいつも一緒だった、母は身体が丈夫な方では無いから、何かにつけて病院を一緒に行った記憶がある。
そうして、母親が事切れる時も、こう言ってくれた。
[[rb:貴女を愛している > ・・・・・・・・]]と。
そうして私は、母が悲しまぬよう、母の分まで人生というものを謳歌しようと、そう心に誓ったのだ。
……けれど、人生というものは酷いもので、そう簡単に事が進むことはなかった、多分私は母親が望むような人には熟れていないのだと思う。
裏切り、人間不信、欲望、失望、信頼関係、交流関係、偽善、
……色んなものが混ざり混ざって、私は人を信頼出来なくなっていた。
人とはどうにも愚かで醜くて、目も当てられない存在なのだと、それは私自身にもあるもので、私は自分だけを信頼し、自分を嫌悪していた。……そんな事を続けているものだから、いつもどこかで、[[rb:満たされない > ・・・・・・]]と感じていた。
刺激が欲しい、と。何かにつけて刺激が足りない、欲が満たされない、と。
唯一の愛する母親に、愛されていることは知っている、けれどその母親は、今ここにはいない。
誰を信じて生きていけば良いのだろう?
誰に愛情を示せば良いのだろう?
誰を、誰を、
守ればよかったのだろうか。
守りたい、そう願い寄り添う人達は沢山いる、けれど誰も彼もが、私の隣で笑うのではなく、
他の誰かと一緒に 楽しげに 笑っているんだ。
________ ________
翌日、いつのまにか眠っていたらしい。
昨日の記憶が曖昧で、シャワーを入ったかすらも覚えていない。なんとなく、窓を見ると開けっ放しになっていた。
私は窓を閉め、出掛ける準備をした、今日は私がゲームに参加する日。といっても指揮を取るようなことぐらいしか出来ないが、さてどちら側になるのだろうか。
____誰にも愛されない。
___そう知っているのに。
___お前はどうしてそこまで
____他人に尽くす?
___簡単だ、それは。
認められたいという、酷い[[rb:承認欲求 > じんせい]]だからだよ。
「やあやあ、はじめまして、今日はよろしくお願いしますね、探偵さん。」
探偵「こちらこそ、よろしくお願いします。」
指揮をするのはサバイバーである男の人だった、名前はヨミさんという。この荘園に迷い込んだ1人で、先日失踪した人に知り合いがいるのだそう。
ヨミ「今回のゲームに参加すれば…もしかしたら彼女の行方も知れるかと思いましてね。探偵さんには指揮という名の同行及び護衛もお願いしたく思いまして。」
探偵「私でよければ、…先日の失踪に関しては私も気になっていたところなので、嬉しい限りです。護衛までは出来るかは保証出来ませんが…最善を尽くしましょう。」
なんでも、ヨミさんとその知り合いの女性はお付き合いをしているのだそう、なのでヨミさんが必死になるのも分からないことは無い。
___他人の幸せを願う事がお前に出来るのか?
___いいや、そんな事は出来ない。
___けれど、フリは出来るよ。
___感情は自然と無になる、手掛かりを探すためには良い傾向だ、余計な事を考えるな。
生きるために、満たすために、例え私の隣に、誰もいなくとも。
鏡に映る"それ"が、[[rb:化け物 > わたし]]であっても。
決して、崩れることの無いこの完璧で欠損された感情と思考があれば、生きていける。
馬鹿だなぁ、お前も、さ。
突如、突き刺さるような風の気配、咄嗟に振り返る。
_____ゲーム、開始。
〜荘園別マップ〜 〜夜ノ雪原花〜
___今回のゲーム内容を説明します____
サバイバー、ハンター共に雪原内を自由に散策してください。
その際、道中に解読機がありますので、サバイバーはその解読をお願いします。
ハンターは、解読途中のサバイバーを妨害することが出来ます、サバイバーは攻撃を受けても椅子に座る事はされませんが、ダウンをすると暫く動けなくなってしまいます。
また、サバイバーの指揮や護衛を行っている人も同等の扱いを受けますので、ご注意ください。
雪原というので、身体が悴んで行くと思います、完全に動けなくなったサバイバーは失格となりますので、出来るだけ多くの解読をお願いします。
それでは、ご検討をお祈り致します。
______ ________
アナウンスが流れ終わり、私達は雪原を捜索する、そう、この場所は先日失踪したサバイバー達がゲームに参加した場所でもある。
手掛かりがきっとどこかにあるはずだ、私はヨミさんと離れぬようにしながら散策を続ける。
道中解読機を見つければ、それを解読し、目標達成である数字にも順調に進んでいった。
ヨミ「ゲーム内容は順調ですが、矢張り全く手掛かりがないですねぇ…」
ガサゴソと雪の中を捜索するヨミさん、私はその言葉に頷きながら
探偵「雪が降っているので、もしかしたら手掛かりもなくなっているのかもしれません…これだけ広いなら遭難も有り得ますが…ここの管理は荘園主が行っているはずなので、そういうのは有り得ないと思うんですよね。」
そうして話をしている時だった、突然ちらちらと降っていた雪が吹雪へと変わる、……この風、覚えがある。
「やあ、こんな所にいたんだ、探したよ。」
探偵「……イタカさん、矢張りこの場所は貴方が担当でしたか。」
いつも何気ない会話をしている彼であっても、今は敵のような存在、思わず力んでしまう。ヨミさんも彼のその姿に体勢を整えていて。
イタカ「担当というか、荘園の奴らが勝手に僕の領地を占拠しただけだよ、僕が住みやすいだろうとか言ってさ、全く迷惑極まりない。」
呆れた様子で首を振る彼、私はそれでもイタカさんから視線を外さなかった、相手は狩人なのだから。
ヨミ「……サバイバーである私がハンターである貴方に質問をするのをお許しください、先日起きたサバイバー失踪の際、担当は貴方だったのですか?」
あぁ、そう言えば……ここが領地というぐらいなら、もう答えを言っているようなものだ。私はヨミさんに一瞬だけ視線を向けながら
イタカ「さあね?先日の事なんて忘れたよ、何かあったの?」
相変わらずの返答をする彼、そんな彼を見てヨミさんは1枚の写真を見せた
ヨミ「……人探しをしておりましてね、彼女を、写真にいる彼女を、ご存知はありませんか。」
そうしてヨミさんが付き合っているという彼女の写真を見たイタカさんは、つまらなさそうな顔から一変、(実際は仮面をつけてるからよく分からないが。)随分と楽しそうな声色へと変貌した。
イタカ「あぁ、そいつ!そいつなら知ってるよ、ほら。」
_____ ______
取り出したのは人形、イメージするのであれば「少女」がサバイバーにくっついている時のようなものだろうか。
その人形は彼女そっくりなものである。
イタカ「ゲームを開始した管理人から、"出会ったサバイバーはみんな殺すまで引き裂いて良い"って言われたから、そいつら全員殺してやったよ、んでこれはその殺した奴らの綿や皮で作ったやつ、中々上手くできたと思うんだよねぇ。」
その言葉は随分と楽しげで明るい発言であったが、一瞬言葉を失った、おかしい、荘園内でそんな事あってはならないはずだ。
探偵「引き裂いて、殺す……?待ってください、荘園内でそれは違反になるのではないのですか、いくらなんでも、やりすぎなのでは……?」
ヨミさんも信じられないと言わんばかりにイタカを睨みつけた、私を脅すような真似をするのであれば、その手はきかない、と。
だが次に、明るい声でイタカさんはこう述べた。
イタカ「知ってる?この荘園内で行われているゲームって、表面ではお祭りみたいな、一種のテーマパーク的な扱いになってるけど、実際は殺し合いなんだよ。さっきの説明聞いてなかったの?」
探偵「えぇ、知っています、ですがそのようなものは既に廃止されているはず…今は皆が楽しむようなアトラクションとして」
反論する私に彼は不機嫌そうな声で述べた。
イタカ「バカだなぁ探偵ちゃんは…だからそれも表面の事だよ、怪我したりしても治るなんてあれはウソウソ、実際は怪我して気絶してる最中にお前たちは特別な"薬"を飲まされてんのさ。そうして全部、"無かったことにされてるんだよ"」
ヨミ「証拠は!……それら全ての証拠を見せてみろ!!」
ヨミさんの声が震えている、イタカさんが突きつける真実にそうであるのかもしれない、と、思ったのだろう。
でもそれも彼の作に違いない、何処かのタイミングで私達を物理的に狙ってくる。
ヨミさんの言葉に、彼は楽しげに笑いながら近寄っていく。
私はそれを阻止しようと護身用の拳銃を取り出し、一発彼に見舞いした……が、瞬時に彼が移動をしてしまったせいで、当たらない。
……その時、私は気がついた、そうだ、彼は。
[[rb:神格 > ・・]]なのだと。
_____
イタカ「証拠?いいよ、見せてやるよ、ほら、これで充分?」
仮面を外し、ヨミさんと視線を合わせるイタカさん、その瞬間、ヨミさんは狂ったように叫び出した。
ヨミ「……っ?!ぅ、うあ、うああああ!!!や、やめ、やめろ、い、いやだ、いや、ああああああ!!!!!」
探偵「ヨミさん!しっかりしてください!」
頭を抱えながら膝を付き、完全に混乱している様子だった、恐らく幻覚か何かを見せつけられているのだろう、落ち着かせようと駆け付けるも、[[rb:神格 > イタカ]]に拒まれる。
探偵「……っ!」
神格であろうと、なんであろうと、今はそう言っていられない、目の前にある命を、守るために。
隠し持っていた護身用武器を取り出し、一発彼に見舞いした。
一瞬ひるんだ彼に勢いよく走って近付き、勢いよく殴る。
そう、私の護身用武器、その名は「紅咲笛」!!!!
笛と書いてあるが、どっかの骨董商みたいな華奢なものでは無い、なんとこれはめちゃくちゃでかい代わりにバフをかけられるのだ!
イメージ的にはモ〇ハンの狩〇笛のようなやつ(というか完全にそれ)
探偵「お゙ら゙ぁ゙あ゙!!!!!」
衝撃波で殴られ体勢を崩した神格を一気にぶっ飛ばす、そうして雪に倒れた彼はまたも楽しげに笑い始める。
イタカ「あはは!いいねぇ、楽しいよ、探偵。すごく、すごくね。」
そうして起き上がる彼の仮面は先程の衝撃で壊れていた、隙間から見える瞳は、獲物を捉えた獣の輝きを放っていた。
イタカ「ねえ、遊ぼうよ、探偵。僕のような神格と、何処までついてこれるのか、ね。」
探偵「申し訳ないが今はそれどころでは無い、私は先程述べていた貴方の言葉が本当なのか知りたい。…だから、今現在ここのゲームの管理をしている人に問い合わせをしに行こうと思う。貴方の言い分が本当であれば、貴方は間違いなく処分される事でしょう、この荘園内のルールを破った違法者として。……そうなれば私もタダではすまないのは承知しているし、責任は充分にある、貴方の契約者として」
イタカ「もういいよ、その言葉、うるさい。」
…………。
私が話をしているのを塞ぐように彼はそう述べた、その言葉に思わずイラッとしてしまって。
探偵「うるさい?私は正直に述べているんです、現実を見ていないのは貴方の方でしょう、自由勝手に行動をして、挙句ルール違反?馬鹿な話を、神格だからといっていい気になるのもいい加減にしろ、クソガキ。」
実際、彼は契約とか言っておいて私の本を吹っ飛ばすし、姿を見せることだってめっきりなかった、それでも私は彼の契約を破ることないよう務めてきたつもりだ。
でも、それでもなお彼は違法を行ったのであれば、私がする事はひとつしかない。
[[rb:彼を処分すること > ・・・・・・・・]]
探偵「貴方には失望しました、イタカ。これでお別れです。」
笛のバフを利用し、精一杯の力で殴り彼を気絶させようとする
イタカ「あぁ、そうだね、バイバイ、探偵。」
目の前が一瞬、見慣れた景色になった。
_____「探偵〜、帰るよ〜。」
おかあさん ?
あーあ、本当はこれ、使いたくなかったのにな。
_________
目が覚めると、見慣れぬ場所だった、薄暗い場所、何処かの部屋なのはなんとなく理解できる。……身体がすごく重たい、よくよく見ると身体のあらゆる部分に枷のようなものが付いていた。
……あぁ、そうか。私はきっとこのまま、死ぬんだろう。
何となくそう思った、神格と戦ったあの後の記憶が一切思い出せないが、恐らくヨミさん辺りが言ってくれたのだと思う。
よく良く考えれば、本当に私という人はお人好しだったのだろう、ハンターである彼彼女達を、愛しいから守りたいなんて。
大切な一日一日で、信頼する人達で。
けれどこのザマだ、私が死ぬ時であっても、誰一人として__
「あぁ、ようやく起きた?おはよ。目覚めはどう?」
ゆっくりと声のする方を見れば、そこに居たのは神格_イタカの姿であった。
探偵「……どうして、ここに。」
イタカ「どうしてって、ここは僕の部屋だし?」
彼の部屋、そういえば一度も入った事はなかった気がする。
ベッドで枷に縛られる私を覗き込むように見つめながら、彼はこう述べ始めた。
イタカ「何が何だかって思ってるだろうから、特別に僕が全てお話してあげる、ありがたく思いなよ?まあ、結論から言っちゃえば、[[rb:ハッピーエンド > ・・・・・・・]]なんだけどさ。」
ハッピーエンド……?枷に繋がれたまま終わるんか私……??
探偵「それは一体どういう。」
イタカ「え、だから探偵と一緒に行動してたあいつ、アレ犯罪者なの知ってる?性暴力や性犯罪を繰り返してるし、麻薬にも手を出してるとかなんとか。やばいよねぇ、キミ、よくそんな人の指揮としてなってたよね。」
私は思わず彼の言葉を疑った、さっきからそうだが彼の言うことは信用するに時間がかかる、なんてったって彼があまりにも信用性がないからである。…だがその言葉は確かに頷ける、逃亡者、サバイバーという彼らには何かしらの罪がある人が多いからだ。彼がもし犯罪者としているのであれば、それはそれで間違いないのであろう。
イタカ「あいつ、彼女を探してるって言ってたでしょう、あの子、酷くボロボロでさ、あんな男に犯されるぐらいなら死んだ方がマシだって、僕に縋り付いてきたんだよ。だから僕はお望みのままにしたってワケ。他の人たちもこの荘園が恐ろしいから、自分の罪を償いたいからって、言ってたっけ。」
探偵「その人たちも、まとめて殺した、と。」
イタカ「もちろん、喜んで引き受けたよ。だって僕は神格だし、死を望む者がいるならば導いてあげる。僕の別名覚えてる?"雪ノ死神"だからさ。」
探偵「……私が違法だと言っていた行動は全て合法だと言ってましたが、それは。」
イタカ「あぁそれね、それもこの資料をみれば一目瞭然って感じ、見る?」
そうして持ってきた1つの分厚い本、彼が代わりにページを捲って読み聞かせてくれた、この荘園内に招かれた全ての人々、サバイバーにあたるものは全て、荘園の良い実験マウスだったのだ。
そうして彼らの目的が果たされた時、マウスは記憶を消され荘園の存在自体を抹消され、再び変わりない生活に戻っていくらしい。
イタカ「僕達も幻覚のひとつに過ぎない…けど、こうして形を成している、その理由、わかる?」
私は首を振った、わからない、と。
イタカ「それは君のおかげ、君がこの荘園に来てから、ハンター達の力が強くなってるらしいよ、だから荘園内の奴らも、君にだけは実験薬を飲ませることはしなかった。そうしてある日思いついたんだ、荘園にいる邪魔者、使用済みの奴らを消すための道具にしようじゃないかって。そうしてゲームが行われた、表面はお祭りとして開催されていたけれど、失踪という文字を使って荘園全体で人殺しを行ってたんだよ。」
私は言葉が出なかった、私が居ることによって、沢山の人が命を落としていたこと、知らぬ間に人々が死んで行ったこと。
探偵「どうして、そんなこと。」
イタカ「さあね、荘園主の考える事はよくわかんないけど。まあ、キミの力を認めたんじゃない?なんか凄い力あるらしいし。…だから、僕がそれをすこーしだけ軽くしたつもり。…いや、これに関しては僕と言うより、[[rb:みんな > ・・・]]かな、…悔しいけど。」
そうして呟いた後、声が聞こえた。
バルク「ちびっ子、探偵の具合はどうじゃ?」
探偵「ば、バルクおじいさん……!?」
出てきたのはバルク博士だった、まさかこんな所にいるとは思わず私はぎょ、と目を丸くしてしまう。
バルク「カッカッ!驚いたか探偵、いやあ荘園内の事情を新入りのちびっ子に聞かされてのう…ワシも色々と知っていたつもりではあったが、まさかそうなっているとは思わず、な。」
ルキノ「じっちゃん、だからってチビに探偵ちゃんを任せるのはオレちゃん的にどうかと思ったぜ。」
のそのそと次に顔を出したのはルキノさんだった。
バルク「仕方ないじゃろう?あそこの雪原に詳しいの、ちびっ子しかおらんのだから」
イタカ「あのさあ、ちびっ子とかチビとか言うのやめてくんない??吹き飛ばすよ??」
バルク「カッカッ、お年頃はこれだから、いやあルキノにもそういう時が」
ルキノ「やめてくれじっちゃん、尺が長くなる。」
アルヴァ「博士共々、協力してくださったおかげで、貴女と私めらはここに居ることができます。……なんの事かわからないでしょう、私めからも軽く説明させて頂きましょう。先程の話、要は荘園自体が問題を起こしている、貴女を利用し、新たな脅威をこの世に放とうとしておりました。」
ペルシー「……私も失礼するぞ。その脅威、気付かぬうちに、平穏に過ごしているうちに実行されては困る、と…一旦探偵くんを別の場所に避難させることにしたのだ。そうして荘園内が動いた瞬間、バルク博士とベインくんに頼んで、一度荘園自体を[[rb:停止 > ・・]]させてもらった。」
アルヴァ「私め達の力が弱まり存在が消えてしまうという問題は、今ここに貴女様がいるので無問題です、逆に荘園は今パニックになっているでしょう、貴女様が消えてしまったのですから。」
イタカ「ま、僕の力で記憶全部消してやったから、それもないと思うけどね。んでなんで枷してるかって言ったら、あの状態なら絶対探偵、逃げるよなーと思ってアルヴァ先輩に頼んだってわけ。」
なんだかよく分からないが、いや、理解はしているのだが追いついていってないというのが近いか。
バルク「そういや一緒に居た性犯罪野郎はどこに行ったのじゃ?」
イタカ「一緒にいたっていう理由だけで必安先輩がオモチャにするって連れてったよ。」
アルヴァ「結末、お察し致します。」
ルキノ「まあー、その、なんだ。オレちゃん達も人を殺していい訳じゃねえけど、荘園内にいる人達はあくまで人、だろ。それで人を実験にした挙句いらない奴らはオレちゃん達に押し付けて殺させるってのはどうかってなってさ。」
ペルシー「……罪人には鉄槌を、その罪を認め、救いを求めるものには導きを。…アルヴァ先生の仰る通りだと、私も思いました。」
各々がそうして私に説明し、納得したように頷いているのをみて、私は思わず述べたんだ。
探偵「わたし、は。」
皆「?」
探偵「わたし、は、殺される存在じゃないんですか、だって、何も、何も知らずに。そんな、誰かが死んでいることなんて知らないで、ずっと、荘園で楽しく暮らして、て。」
ずっとずっと、承認欲求を満たすために、刺激が足りないという理由で、色んな人に良い顔をして、その裏で何事もなく人が死んでいってるなんて。
イタカ「だって、それに関しては君には関係ないじゃん。確かに君の不思議な力によって僕らが強くなって…その力であいつらが調子に乗ってっていうのは…うーん、上手く言えないけど、その力って生まれ持ったものだろう?それをどうこう出来たら今更苦労してないって言うかさ。」
探偵「……それは、そう、だけれど。」
イタカ「それともなに、お前も死にたいって気持ちがあるわけ?」
何も言えなかった、死にたいという気持ちは、そんなものは。
探偵「私が今、ここで死んでもきっと、お母さんのところには行けない。でも、私が何も知らないで荘園内の誰かが死んでしまっていたのなら…私の責任です。」
イタカ「わ、まーた始まったよ。君の悪いクセ。本当は関係の無い人達なんて微塵も可哀想とか思ってないくせに。」
アルヴァ「ではこうするのはどうでしょう、イタカとの契約を結んでいるのであれば、その契約を正式のものにする、と。仮初の契約ではお互いが困惑してしまいましょう。」
イタカ「あ、それいいね、さっすがアルヴァ先輩、天才だ。」
探偵「え、せ、正式な契約って、どうやるんですか……?」
その言葉に皆が顔を合わせた、けれど本人のイタカだけは至極楽しそうにこう述べた。
イタカ「簡単だよ、今僕らは付き合ってるんだから、ケッコン?すればいいんだよ。」
…………は?
________ _____
そんなこんな、色々と荘園内騒動があったが、荘園主達の野望(?)もなくなり、再び穏やかな日々が始まろうとしていた。
いつもと変わらない日々、ハンターやサバイバーが仲良く……という訳では無いが、まあお互いに程よく殺意を持って毎日を過ごしている場所。
ただ、変わったところもある、それは___
イタカが常にくっ付いていること。
以前は契約(仮)だったのだが、今は本契約となったからか常に隣にいるようになった。あの後婚約……とまではいかないが、ちゃんと正式にお付き合いをする事になった。その証として、彼が私の身体に模様を付けたいというので、何処が良いか尋ねたところ
イタカ「うーん、薬指。」
と言われたので薬指につけてもらった、完全に指輪みたいになっているが、まあ良いだろう。
イタカ「探偵、今日はどこに行くのさ。」
探偵「中華街に用事があって…」
イタカ「インチキ野郎につかまるんじゃないの?心配だからダーリンもついてくね。」
探偵「言わなくても付いてくるでしょう、イタカなら。」
イタカ「なあに、付いてきて欲しくないの?」
探偵「……寂しいからついてきて欲しいです。」
イタカ「あはは!かわいー♡でもまだ足りないな、着いてきてください、だぁりんって言えるよな?」
探偵「……っっっっ~……さ、寂しいし、怖いから、つ、ついてきてください、だ、だぁりん……。」
イタカ「く、くはは!良いよ、いいよ?ぴったりくっついてるから、離れないでね、探偵ちゃん?」
恋人繋ぎをしてくれるイタカくんの肌は、初めて会った時よりも暖かくて、優しいような、そんな気がした。
_____END
だが理不尽なこの世の中は、偽りを述べることで生き長らえることが出来るのだろう___
人物紹介
探偵
と、名乗っているが自称脳筋ゴリラのダウナー系らしい。
先日イタカに本を片付けて貰ったので部屋をめいっぱいに使えるようになった。
夜の番人
雪原に住みついていた狩人の一人、"雪ノ死神"等と噂されていた過去がある、己自身の面倒を見るという契約(?)を探偵に押し付け荘園に居座っている。
隠者
過去に偉大な研究を行っていた発明家、現在は第二の人生を謳歌している。猫本体とそれに由来、関連するものには目が無い。ちなみに彼自身が猫っぽいと思えば全て関連するものになるらしい。
白黒無常
白と黒、互いが見えることは無いが共に存在している。普段は傘で眠っているが探偵の気配を察知すると現れる。
探偵とは一番長い付き合いらしい。
※夢小説ですのでモブ表現等あります。
※血腥、不快、流血描写などあるかもしれません、なんでも大丈夫という方向けです。
_________
エウリュディケ荘園__探偵の部屋
今日も今日とて平穏(?)な荘園内、たまに断末魔みたいな声が聞こえるような気がしなくもないが、まあそれはたぶんこの荘園にはありがちなドッキリというか、まあ多分そんな感じなのだろう。にしても前よりもめちゃくちゃ快適になった自室、何故かと言うとイタカさんが本を片付けてくれたのだ。
物理的に。
どういう事かと言うと私がいない間に"邪魔だったから"という理由で全て風ですっ飛ばしたらしい。
探偵「どうしてそんなことしたのですか」
イタカ「あの本以外いらないと思って」
探偵「う゛あ゛あ゙ぁ゙あ゙!!!!!」
まあ実際は吹っ飛ばしたといって図書館に寄付したらしい、ちゃんと見ないやつは見ないやつで置いておいたのでそれらの寄付は良かったのだけれど、資料等のものは興味があるからという理由でイタカさんが全て自室に持って行ってしまったのだ。
なので私の手元にあるのはこの母の形見の一つである本だけである。
(詳細は前回の小説をチェック)
まあそんな訳で自室が広くなったわけで、そうなると色々と捗るようになって自室からあまり出なくなっていた。
そんな時遊びに来てくれたのが白無常__謝必安だった。
必安「やっほ、探偵元気してる?」
何も音沙汰なく彼はいつも来るものだから何も用意してない、別にいらないよ、というのだけれどお茶菓子くらいは出さないと…。
______
白黒無常、私がこの場所に来た際に出会った狩人の1人。謝必安と范無咎、二人の魂がその傘に宿っているという話を聞いた事がある。
けれど白は残虐的な行為を繰り返す事が多くなってから、ゲームに参加することが少なくなったらしい。
____幾ら、幾ら、釦をちぎって掻き集めたところで。
なにも 得られるものは無い。
出会って何時か経ったある日、彼はそう述べていた。
何処か冷めていて、全ての[[rb:罪 > 生]]を見据えているような、そんな雰囲気が彼にはあった。
必安「懐かしいよねぇあの時、覚えてる?」
探偵「えぇもちろん、覚えてるよ。…貴方と過ごした日々を、忘れた事なんてないからね。」
彼がゲームへと出場できるようになった日、私は彼の指揮役として願い出た。
その前に彼がもしゲームに出れるようになったなら、身体が怠けていると思うから解す手伝いをしてほしいという些細なおねだりでもあった。
でも私はそれを決して忘れることは無かった、何なら上部にさっさとゲームに出させろコノヤローという[[rb:脅し > 問い合わせ]]もしたくらいである。
結果は……敗北。
……とても悔しかった、私がもう少しちゃんとした指示をしていたなら、と何度思っただろうか。
けれど彼は笑ってくれたんだ。
必安「探偵の指示は悪いものじゃなかったよ、僕の判断力が鈍ってたんだ、もう少しちゃんとしてたら良かったのにさ。」
それから……私達は時間が出来次第何度もゲームに参加した。
そうして勝利を初めて掴んだ時は本当に嬉しくて。
_そうしていくうちに、彼は段々笑ってくれる事が多くなっていったんだ。
可愛らしくも凛々しく、愛らしい笑顔。
見ているこっちも安心するような笑顔。
私は彼に惹かれていくようになった、そうして時折顔を見せてくれる黒い彼にも
___何かあったら、必安をよろしく頼む。
そう言ってくれた、でも大丈夫、私は。
貴方達を 守りたいから。
黒も白も、私にとっては大切な人達であるから、この荘園にいる間でも見守っていたい、密かにそう心に誓ったんだ。
必安「ねえねえ探偵、今日あれある?あのお菓子、甘くて美味しいやつ」
探偵「どら焼きのこと?買ってはあるよ、そこの棚に入ってる」
彼は根っからの甘党らしくいつもお菓子をねだってくる、何も無いとはいったがこの前そのお菓子だけは買った記憶があって、教えるとすぐに彼はその場所に向かって1口サイズのどら焼きが沢山入った袋を開けておもむろに食べ始めた。
必安「はい、あーん。」
探偵「ん、ぁ。」
ひょい、と私の口の中にそのどら焼きを放り込む、私もそれを受け止め食べる、必安から貰うどら焼きはいつもよりほんのり甘い気がして。
必安「おいしー?」
探偵「ん、おいひ。」
必安「ふふ、良かった♡」
自分が作ったわけでもないのにそんなことを述べる必安、けれど笑ってくれる彼が本当に愛おしくて_____
けれど何故かその一瞬、突き刺さるような[[rb:なにか > ・・・]]を感じた。
……これは、風?
_______ _______
夜になるとサバイバー達は寝静まる、たまに起きている人々もいるが、大抵はハンター達の時間だ、私は何となく中庭へと足を運んでいると、そこには見慣れた姿が。
アン「あら、探偵様ではありませんか。」
ヴィオ「まあ!こんばんは!こんな所で会えるなんて偶然ね!」
ロビー「探偵のお姉さんだ〜!」
これはまた中々に珍しい面子である、何でもヴィオさんがどうしてもアンさんの黒猫に触りたかったらしく、そのお願いを聞いていたらしい、そうして二人で話をしていたらちょうどヴィオさんを探していたロビーさんが合流したんだとか。
ロビー「ほら、みてみて、このお花、すごく綺麗な色をしているでしょ?」
ヴィオ「本当ね!こんなお花、見たことないわ…アンおねえさま、このお花の種類はわかるかしら?」
アン「ざんねんながら私は植物に詳しくはなくて…探偵様は分かりますでしょうか。」
ロビーさんから不思議な花というのを見せてもらった、……これは、
___何となく記憶にあるような花の形だった。
探偵「……恐らくですが、私の知り合い、形として"白黒無常"を名乗っている1人が作ったものかもしれません。」
アン「形として……?」
探偵「はい、おかしな言い方ですみません、けれど本当に、形としては無常である人なんです。」
この荘園は、何故かそういうハンターがいるんだ、詳細は省くが、要は"オリジナルに近い存在"ということ。
白黒無常として成り立つ存在は1人だけである、だけれどこの荘園は不思議なことに、その形をとって、新しい生命として生きている存在が複数確認されている。
説によればそれらは全て、この荘園内の誰かの幻覚等が悪化しているのが原因だと言うが、本当なのかはわからない。
ヴィオ「わたし知っているわ!前にお見かけしたことがあるの、花の白無常さんよね?」
ロビー「そうなんだ!ウウウ、僕も会ってみたいなぁ…ヴィオちゃん、今度その場所に連れてってよ」
ヴィオ「そこで会えるか分からないけれど、行ってみましょう!そしてこのお花を返してあげないとね。」
そうして二人仲良く楽しそうに喋っているのをアンさんと見守っていると
アルヴァ「子というものは本当に無邪気で、見ていて微笑ましいものですな。」
アントニオ「チャッチャ……♪透明で、大変心地の良い音色です。」
いつのまにかハンターが勢揃いだ、その中で私がここに居るのはいささか不自然だろう、そっとその場から離れようとした時だった。
アルヴァ「探偵殿、今お時間ありますかな。」
すらりとした背の彼が此方を見下ろしている、私はその月のように綺麗な瞳に誘われるように近寄りながら
探偵「え、あ、はい。大丈夫ですよ」
彼もどうやら賑やかな所は得意ではないらしかった、あとアンさんに多分小言の一つや二つ言われるのであろう、ちょうどアントニオことチャッチャさんもいたので、彼に任せることにしたのだそう。
私はアルヴァさんの部屋へと招かれ、色んな話をして、そのまま抱き枕にされたのだった。
……何を言っているか分からないと思うが、私もよく分からない、抱き枕にされたのだった。(2回目)
___________。
翌日、アルヴァさんの部屋で目覚めた私は昨夜寝てしまったことを謝罪しつつ、部屋を後にした。
ぐっすり眠ってしまったようで、時計を見てみるともう昼過ぎだった、朝ごはんも何も食べていない。
そうしてホールの展示版を確認すると、どうやら今日は[[rb:ゲーム > ・・・]]が行われる日のようだ。
参加者であるサバイバーは皆見慣れないもの達だ。
ゲームと言えども、この荘園にしてみればアミューズメントのひとつのようなもの、多少の怪我を持ってしても帰ってくれば治っているご都合主義だ。
にしても今回のハンターは、一体誰なのだろうか。
探偵「……まあ、ゲーム自体そこまで興味がある訳では無いから、忘れなかったら見に行こう。」
そのゲーム開始時刻、私はアントニオさんの演奏会を聴いていた、完全にゲームの存在自体を忘れ去っていたのだった。
_________
その日の夜、奇妙な事が起こった。
なんでも、昼に参加したサバイバー全員が失踪したのだという。原因は未だ不明で、荘園全体で捜索しているのだという。
まあこの荘園内であれば、バグだとかなんだとかで女体化になってる人もいるし、ちびっ子になっている事もあるから、失踪ぐらいなんて日常茶飯事なのだろう。
それにしても、その当時のハンターの記入名すらも消滅しているだなんて…なんでもそのゲームの管理をしていた人が全くもって記憶に無いと言っていたらしい。
そもそも、ゲームを行ったこと自体曖昧なんだとか…ハンターの仕業であるならば、とんだ悪戯だと思う。
「あの人達は大丈夫なの?」
「失踪した人達だよね、災難だったよなぁ」
「早く見つかるといいけれどね。」
そんな声が聞こえる中、私は部屋に戻りシャワーを浴びようとした。
_____「やあ、探偵ちゃん。」
ふわりと私の髪を揺らす風、振り返ればそこにはイタカさんの姿。
探偵「イタカさん、最近見かけないと思ったら…どこに行ってたんです。」
その問いに素直に彼が返してくれる訳もなくて、ただくつくつと不敵な笑みを見せながら
イタカ「さあね?どこに行こうと僕の勝手だろう。それより君の部屋をこんなにも綺麗にしたんだから、もっと感謝して欲しいぐらいなんだけれど。」
そうしてお気に入りの椅子に座れば、彼はそう述べた。
相変わらず小生意気な態度は変わっていない。
探偵「いらない本は勝手に飛ばして、気になったものは自室に持ち込んだ貴方ですからね…半分は感謝しますが、半分は許しません。」
イタカ「ちぇっ、なんだよそれ。」
そうして不機嫌そうな声をあからさまに出しながら頬杖を付く彼、何となく雰囲気悪くしたので私はその場を後にし、浴室へ向かおうとした、が、彼がいつのまにか目の前に瞬間移動し、私の顔を覗き込むように
イタカ「ね、どこいくのさ。」
探偵「お風呂、入ろうと思って。」
イタカ「ふーん、僕も一緒に入っていい?」
危うく、いいよ、と了承を得るところだった、めちゃくちゃナチュラルに聞いてきたものだから一瞬だけ固まった。
探偵「……え?」
イタカ「僕もお風呂入りたい、多分ここ最近入ってない気がするし」
探偵「な、なら、お先にどうぞ。」
イタカ「一緒に入る。」
探偵「……は???」
何だこの人、たまに思うが常識というのを携えているのか?お風呂を一緒に入るということは、混浴をするという事なんだぞ???……いやまて、私が少し考えすぎなのかもしれない、とりあえずいったん落ち着いてから彼に問いかけてみた。
探偵「あの、一瞬に入るというのは、お互い同時に入るということですよね」
イタカ「そうだけど、なにか問題でもある?」
なるほど、この人はそういうのが全くもって経験のない人なのだと理解した。
そうして私は彼に事細かく、異性と接するにあたってのあれこれを私なりの常識やマナーで教えてあげた、つもりだった。
そうして彼はふーん、と至極つまらなさそうな返事をしながら
イタカ「なるほど、じゃあ探偵は僕に裸見られるの恥ずかしいんだ?」
何も分かっていなかった。
恥ずかしいに決まってんだろ!!!!!!!お前は恥ずかしくないのか?!?!?!!!なんだ、私が経験あまりないからってこいつからかってんのか?!?!!!!これだから面のいい男はよォ……全くもって許さねえ、というかそもそもコイツと変な契約(仮)を付けられてるせいでなんか変に動けないしほんとよく分からんなんなんだこいつハンターだ、新ハンターの夜の番人イタカだイタカっていう男はみんなこういうのばっかなのか??全くもって許されざる(以下略)
と、そんな事を思っていると目の前の彼はこれまた随分と楽しそうな声を出していた。
イタカ「く、くく、ははは。やっぱり探偵って面白いなァほんと、一緒にいて飽きないよ。」
そうして目の前から消え去れば今度は窓辺に、そのまま窓を開ければ風を纏う彼、ローブは揺れ、そこから見える髪を揺らしながら、その場に座る彼はこう述べた。
イタカ「ねえ、探偵の母さんって、どんな人だったの。」
_____ _______
母親、その人は私が生まれた時からずっと大切にしてくれた、私が唯一信頼する存在。
何をするにでも母親と私はいつも一緒だった、母は身体が丈夫な方では無いから、何かにつけて病院を一緒に行った記憶がある。
そうして、母親が事切れる時も、こう言ってくれた。
[[rb:貴女を愛している > ・・・・・・・・]]と。
そうして私は、母が悲しまぬよう、母の分まで人生というものを謳歌しようと、そう心に誓ったのだ。
……けれど、人生というものは酷いもので、そう簡単に事が進むことはなかった、多分私は母親が望むような人には熟れていないのだと思う。
裏切り、人間不信、欲望、失望、信頼関係、交流関係、偽善、
……色んなものが混ざり混ざって、私は人を信頼出来なくなっていた。
人とはどうにも愚かで醜くて、目も当てられない存在なのだと、それは私自身にもあるもので、私は自分だけを信頼し、自分を嫌悪していた。……そんな事を続けているものだから、いつもどこかで、[[rb:満たされない > ・・・・・・]]と感じていた。
刺激が欲しい、と。何かにつけて刺激が足りない、欲が満たされない、と。
唯一の愛する母親に、愛されていることは知っている、けれどその母親は、今ここにはいない。
誰を信じて生きていけば良いのだろう?
誰に愛情を示せば良いのだろう?
誰を、誰を、
守ればよかったのだろうか。
守りたい、そう願い寄り添う人達は沢山いる、けれど誰も彼もが、私の隣で笑うのではなく、
他の誰かと一緒に 楽しげに 笑っているんだ。
________ ________
翌日、いつのまにか眠っていたらしい。
昨日の記憶が曖昧で、シャワーを入ったかすらも覚えていない。なんとなく、窓を見ると開けっ放しになっていた。
私は窓を閉め、出掛ける準備をした、今日は私がゲームに参加する日。といっても指揮を取るようなことぐらいしか出来ないが、さてどちら側になるのだろうか。
____誰にも愛されない。
___そう知っているのに。
___お前はどうしてそこまで
____他人に尽くす?
___簡単だ、それは。
認められたいという、酷い[[rb:承認欲求 > じんせい]]だからだよ。
「やあやあ、はじめまして、今日はよろしくお願いしますね、探偵さん。」
探偵「こちらこそ、よろしくお願いします。」
指揮をするのはサバイバーである男の人だった、名前はヨミさんという。この荘園に迷い込んだ1人で、先日失踪した人に知り合いがいるのだそう。
ヨミ「今回のゲームに参加すれば…もしかしたら彼女の行方も知れるかと思いましてね。探偵さんには指揮という名の同行及び護衛もお願いしたく思いまして。」
探偵「私でよければ、…先日の失踪に関しては私も気になっていたところなので、嬉しい限りです。護衛までは出来るかは保証出来ませんが…最善を尽くしましょう。」
なんでも、ヨミさんとその知り合いの女性はお付き合いをしているのだそう、なのでヨミさんが必死になるのも分からないことは無い。
___他人の幸せを願う事がお前に出来るのか?
___いいや、そんな事は出来ない。
___けれど、フリは出来るよ。
___感情は自然と無になる、手掛かりを探すためには良い傾向だ、余計な事を考えるな。
生きるために、満たすために、例え私の隣に、誰もいなくとも。
鏡に映る"それ"が、[[rb:化け物 > わたし]]であっても。
決して、崩れることの無いこの完璧で欠損された感情と思考があれば、生きていける。
馬鹿だなぁ、お前も、さ。
突如、突き刺さるような風の気配、咄嗟に振り返る。
_____ゲーム、開始。
〜荘園別マップ〜 〜夜ノ雪原花〜
___今回のゲーム内容を説明します____
サバイバー、ハンター共に雪原内を自由に散策してください。
その際、道中に解読機がありますので、サバイバーはその解読をお願いします。
ハンターは、解読途中のサバイバーを妨害することが出来ます、サバイバーは攻撃を受けても椅子に座る事はされませんが、ダウンをすると暫く動けなくなってしまいます。
また、サバイバーの指揮や護衛を行っている人も同等の扱いを受けますので、ご注意ください。
雪原というので、身体が悴んで行くと思います、完全に動けなくなったサバイバーは失格となりますので、出来るだけ多くの解読をお願いします。
それでは、ご検討をお祈り致します。
______ ________
アナウンスが流れ終わり、私達は雪原を捜索する、そう、この場所は先日失踪したサバイバー達がゲームに参加した場所でもある。
手掛かりがきっとどこかにあるはずだ、私はヨミさんと離れぬようにしながら散策を続ける。
道中解読機を見つければ、それを解読し、目標達成である数字にも順調に進んでいった。
ヨミ「ゲーム内容は順調ですが、矢張り全く手掛かりがないですねぇ…」
ガサゴソと雪の中を捜索するヨミさん、私はその言葉に頷きながら
探偵「雪が降っているので、もしかしたら手掛かりもなくなっているのかもしれません…これだけ広いなら遭難も有り得ますが…ここの管理は荘園主が行っているはずなので、そういうのは有り得ないと思うんですよね。」
そうして話をしている時だった、突然ちらちらと降っていた雪が吹雪へと変わる、……この風、覚えがある。
「やあ、こんな所にいたんだ、探したよ。」
探偵「……イタカさん、矢張りこの場所は貴方が担当でしたか。」
いつも何気ない会話をしている彼であっても、今は敵のような存在、思わず力んでしまう。ヨミさんも彼のその姿に体勢を整えていて。
イタカ「担当というか、荘園の奴らが勝手に僕の領地を占拠しただけだよ、僕が住みやすいだろうとか言ってさ、全く迷惑極まりない。」
呆れた様子で首を振る彼、私はそれでもイタカさんから視線を外さなかった、相手は狩人なのだから。
ヨミ「……サバイバーである私がハンターである貴方に質問をするのをお許しください、先日起きたサバイバー失踪の際、担当は貴方だったのですか?」
あぁ、そう言えば……ここが領地というぐらいなら、もう答えを言っているようなものだ。私はヨミさんに一瞬だけ視線を向けながら
イタカ「さあね?先日の事なんて忘れたよ、何かあったの?」
相変わらずの返答をする彼、そんな彼を見てヨミさんは1枚の写真を見せた
ヨミ「……人探しをしておりましてね、彼女を、写真にいる彼女を、ご存知はありませんか。」
そうしてヨミさんが付き合っているという彼女の写真を見たイタカさんは、つまらなさそうな顔から一変、(実際は仮面をつけてるからよく分からないが。)随分と楽しそうな声色へと変貌した。
イタカ「あぁ、そいつ!そいつなら知ってるよ、ほら。」
_____ ______
取り出したのは人形、イメージするのであれば「少女」がサバイバーにくっついている時のようなものだろうか。
その人形は彼女そっくりなものである。
イタカ「ゲームを開始した管理人から、"出会ったサバイバーはみんな殺すまで引き裂いて良い"って言われたから、そいつら全員殺してやったよ、んでこれはその殺した奴らの綿や皮で作ったやつ、中々上手くできたと思うんだよねぇ。」
その言葉は随分と楽しげで明るい発言であったが、一瞬言葉を失った、おかしい、荘園内でそんな事あってはならないはずだ。
探偵「引き裂いて、殺す……?待ってください、荘園内でそれは違反になるのではないのですか、いくらなんでも、やりすぎなのでは……?」
ヨミさんも信じられないと言わんばかりにイタカを睨みつけた、私を脅すような真似をするのであれば、その手はきかない、と。
だが次に、明るい声でイタカさんはこう述べた。
イタカ「知ってる?この荘園内で行われているゲームって、表面ではお祭りみたいな、一種のテーマパーク的な扱いになってるけど、実際は殺し合いなんだよ。さっきの説明聞いてなかったの?」
探偵「えぇ、知っています、ですがそのようなものは既に廃止されているはず…今は皆が楽しむようなアトラクションとして」
反論する私に彼は不機嫌そうな声で述べた。
イタカ「バカだなぁ探偵ちゃんは…だからそれも表面の事だよ、怪我したりしても治るなんてあれはウソウソ、実際は怪我して気絶してる最中にお前たちは特別な"薬"を飲まされてんのさ。そうして全部、"無かったことにされてるんだよ"」
ヨミ「証拠は!……それら全ての証拠を見せてみろ!!」
ヨミさんの声が震えている、イタカさんが突きつける真実にそうであるのかもしれない、と、思ったのだろう。
でもそれも彼の作に違いない、何処かのタイミングで私達を物理的に狙ってくる。
ヨミさんの言葉に、彼は楽しげに笑いながら近寄っていく。
私はそれを阻止しようと護身用の拳銃を取り出し、一発彼に見舞いした……が、瞬時に彼が移動をしてしまったせいで、当たらない。
……その時、私は気がついた、そうだ、彼は。
[[rb:神格 > ・・]]なのだと。
_____
イタカ「証拠?いいよ、見せてやるよ、ほら、これで充分?」
仮面を外し、ヨミさんと視線を合わせるイタカさん、その瞬間、ヨミさんは狂ったように叫び出した。
ヨミ「……っ?!ぅ、うあ、うああああ!!!や、やめ、やめろ、い、いやだ、いや、ああああああ!!!!!」
探偵「ヨミさん!しっかりしてください!」
頭を抱えながら膝を付き、完全に混乱している様子だった、恐らく幻覚か何かを見せつけられているのだろう、落ち着かせようと駆け付けるも、[[rb:神格 > イタカ]]に拒まれる。
探偵「……っ!」
神格であろうと、なんであろうと、今はそう言っていられない、目の前にある命を、守るために。
隠し持っていた護身用武器を取り出し、一発彼に見舞いした。
一瞬ひるんだ彼に勢いよく走って近付き、勢いよく殴る。
そう、私の護身用武器、その名は「紅咲笛」!!!!
笛と書いてあるが、どっかの骨董商みたいな華奢なものでは無い、なんとこれはめちゃくちゃでかい代わりにバフをかけられるのだ!
イメージ的にはモ〇ハンの狩〇笛のようなやつ(というか完全にそれ)
探偵「お゙ら゙ぁ゙あ゙!!!!!」
衝撃波で殴られ体勢を崩した神格を一気にぶっ飛ばす、そうして雪に倒れた彼はまたも楽しげに笑い始める。
イタカ「あはは!いいねぇ、楽しいよ、探偵。すごく、すごくね。」
そうして起き上がる彼の仮面は先程の衝撃で壊れていた、隙間から見える瞳は、獲物を捉えた獣の輝きを放っていた。
イタカ「ねえ、遊ぼうよ、探偵。僕のような神格と、何処までついてこれるのか、ね。」
探偵「申し訳ないが今はそれどころでは無い、私は先程述べていた貴方の言葉が本当なのか知りたい。…だから、今現在ここのゲームの管理をしている人に問い合わせをしに行こうと思う。貴方の言い分が本当であれば、貴方は間違いなく処分される事でしょう、この荘園内のルールを破った違法者として。……そうなれば私もタダではすまないのは承知しているし、責任は充分にある、貴方の契約者として」
イタカ「もういいよ、その言葉、うるさい。」
…………。
私が話をしているのを塞ぐように彼はそう述べた、その言葉に思わずイラッとしてしまって。
探偵「うるさい?私は正直に述べているんです、現実を見ていないのは貴方の方でしょう、自由勝手に行動をして、挙句ルール違反?馬鹿な話を、神格だからといっていい気になるのもいい加減にしろ、クソガキ。」
実際、彼は契約とか言っておいて私の本を吹っ飛ばすし、姿を見せることだってめっきりなかった、それでも私は彼の契約を破ることないよう務めてきたつもりだ。
でも、それでもなお彼は違法を行ったのであれば、私がする事はひとつしかない。
[[rb:彼を処分すること > ・・・・・・・・]]
探偵「貴方には失望しました、イタカ。これでお別れです。」
笛のバフを利用し、精一杯の力で殴り彼を気絶させようとする
イタカ「あぁ、そうだね、バイバイ、探偵。」
目の前が一瞬、見慣れた景色になった。
_____「探偵〜、帰るよ〜。」
おかあさん ?
あーあ、本当はこれ、使いたくなかったのにな。
_________
目が覚めると、見慣れぬ場所だった、薄暗い場所、何処かの部屋なのはなんとなく理解できる。……身体がすごく重たい、よくよく見ると身体のあらゆる部分に枷のようなものが付いていた。
……あぁ、そうか。私はきっとこのまま、死ぬんだろう。
何となくそう思った、神格と戦ったあの後の記憶が一切思い出せないが、恐らくヨミさん辺りが言ってくれたのだと思う。
よく良く考えれば、本当に私という人はお人好しだったのだろう、ハンターである彼彼女達を、愛しいから守りたいなんて。
大切な一日一日で、信頼する人達で。
けれどこのザマだ、私が死ぬ時であっても、誰一人として__
「あぁ、ようやく起きた?おはよ。目覚めはどう?」
ゆっくりと声のする方を見れば、そこに居たのは神格_イタカの姿であった。
探偵「……どうして、ここに。」
イタカ「どうしてって、ここは僕の部屋だし?」
彼の部屋、そういえば一度も入った事はなかった気がする。
ベッドで枷に縛られる私を覗き込むように見つめながら、彼はこう述べ始めた。
イタカ「何が何だかって思ってるだろうから、特別に僕が全てお話してあげる、ありがたく思いなよ?まあ、結論から言っちゃえば、[[rb:ハッピーエンド > ・・・・・・・]]なんだけどさ。」
ハッピーエンド……?枷に繋がれたまま終わるんか私……??
探偵「それは一体どういう。」
イタカ「え、だから探偵と一緒に行動してたあいつ、アレ犯罪者なの知ってる?性暴力や性犯罪を繰り返してるし、麻薬にも手を出してるとかなんとか。やばいよねぇ、キミ、よくそんな人の指揮としてなってたよね。」
私は思わず彼の言葉を疑った、さっきからそうだが彼の言うことは信用するに時間がかかる、なんてったって彼があまりにも信用性がないからである。…だがその言葉は確かに頷ける、逃亡者、サバイバーという彼らには何かしらの罪がある人が多いからだ。彼がもし犯罪者としているのであれば、それはそれで間違いないのであろう。
イタカ「あいつ、彼女を探してるって言ってたでしょう、あの子、酷くボロボロでさ、あんな男に犯されるぐらいなら死んだ方がマシだって、僕に縋り付いてきたんだよ。だから僕はお望みのままにしたってワケ。他の人たちもこの荘園が恐ろしいから、自分の罪を償いたいからって、言ってたっけ。」
探偵「その人たちも、まとめて殺した、と。」
イタカ「もちろん、喜んで引き受けたよ。だって僕は神格だし、死を望む者がいるならば導いてあげる。僕の別名覚えてる?"雪ノ死神"だからさ。」
探偵「……私が違法だと言っていた行動は全て合法だと言ってましたが、それは。」
イタカ「あぁそれね、それもこの資料をみれば一目瞭然って感じ、見る?」
そうして持ってきた1つの分厚い本、彼が代わりにページを捲って読み聞かせてくれた、この荘園内に招かれた全ての人々、サバイバーにあたるものは全て、荘園の良い実験マウスだったのだ。
そうして彼らの目的が果たされた時、マウスは記憶を消され荘園の存在自体を抹消され、再び変わりない生活に戻っていくらしい。
イタカ「僕達も幻覚のひとつに過ぎない…けど、こうして形を成している、その理由、わかる?」
私は首を振った、わからない、と。
イタカ「それは君のおかげ、君がこの荘園に来てから、ハンター達の力が強くなってるらしいよ、だから荘園内の奴らも、君にだけは実験薬を飲ませることはしなかった。そうしてある日思いついたんだ、荘園にいる邪魔者、使用済みの奴らを消すための道具にしようじゃないかって。そうしてゲームが行われた、表面はお祭りとして開催されていたけれど、失踪という文字を使って荘園全体で人殺しを行ってたんだよ。」
私は言葉が出なかった、私が居ることによって、沢山の人が命を落としていたこと、知らぬ間に人々が死んで行ったこと。
探偵「どうして、そんなこと。」
イタカ「さあね、荘園主の考える事はよくわかんないけど。まあ、キミの力を認めたんじゃない?なんか凄い力あるらしいし。…だから、僕がそれをすこーしだけ軽くしたつもり。…いや、これに関しては僕と言うより、[[rb:みんな > ・・・]]かな、…悔しいけど。」
そうして呟いた後、声が聞こえた。
バルク「ちびっ子、探偵の具合はどうじゃ?」
探偵「ば、バルクおじいさん……!?」
出てきたのはバルク博士だった、まさかこんな所にいるとは思わず私はぎょ、と目を丸くしてしまう。
バルク「カッカッ!驚いたか探偵、いやあ荘園内の事情を新入りのちびっ子に聞かされてのう…ワシも色々と知っていたつもりではあったが、まさかそうなっているとは思わず、な。」
ルキノ「じっちゃん、だからってチビに探偵ちゃんを任せるのはオレちゃん的にどうかと思ったぜ。」
のそのそと次に顔を出したのはルキノさんだった。
バルク「仕方ないじゃろう?あそこの雪原に詳しいの、ちびっ子しかおらんのだから」
イタカ「あのさあ、ちびっ子とかチビとか言うのやめてくんない??吹き飛ばすよ??」
バルク「カッカッ、お年頃はこれだから、いやあルキノにもそういう時が」
ルキノ「やめてくれじっちゃん、尺が長くなる。」
アルヴァ「博士共々、協力してくださったおかげで、貴女と私めらはここに居ることができます。……なんの事かわからないでしょう、私めからも軽く説明させて頂きましょう。先程の話、要は荘園自体が問題を起こしている、貴女を利用し、新たな脅威をこの世に放とうとしておりました。」
ペルシー「……私も失礼するぞ。その脅威、気付かぬうちに、平穏に過ごしているうちに実行されては困る、と…一旦探偵くんを別の場所に避難させることにしたのだ。そうして荘園内が動いた瞬間、バルク博士とベインくんに頼んで、一度荘園自体を[[rb:停止 > ・・]]させてもらった。」
アルヴァ「私め達の力が弱まり存在が消えてしまうという問題は、今ここに貴女様がいるので無問題です、逆に荘園は今パニックになっているでしょう、貴女様が消えてしまったのですから。」
イタカ「ま、僕の力で記憶全部消してやったから、それもないと思うけどね。んでなんで枷してるかって言ったら、あの状態なら絶対探偵、逃げるよなーと思ってアルヴァ先輩に頼んだってわけ。」
なんだかよく分からないが、いや、理解はしているのだが追いついていってないというのが近いか。
バルク「そういや一緒に居た性犯罪野郎はどこに行ったのじゃ?」
イタカ「一緒にいたっていう理由だけで必安先輩がオモチャにするって連れてったよ。」
アルヴァ「結末、お察し致します。」
ルキノ「まあー、その、なんだ。オレちゃん達も人を殺していい訳じゃねえけど、荘園内にいる人達はあくまで人、だろ。それで人を実験にした挙句いらない奴らはオレちゃん達に押し付けて殺させるってのはどうかってなってさ。」
ペルシー「……罪人には鉄槌を、その罪を認め、救いを求めるものには導きを。…アルヴァ先生の仰る通りだと、私も思いました。」
各々がそうして私に説明し、納得したように頷いているのをみて、私は思わず述べたんだ。
探偵「わたし、は。」
皆「?」
探偵「わたし、は、殺される存在じゃないんですか、だって、何も、何も知らずに。そんな、誰かが死んでいることなんて知らないで、ずっと、荘園で楽しく暮らして、て。」
ずっとずっと、承認欲求を満たすために、刺激が足りないという理由で、色んな人に良い顔をして、その裏で何事もなく人が死んでいってるなんて。
イタカ「だって、それに関しては君には関係ないじゃん。確かに君の不思議な力によって僕らが強くなって…その力であいつらが調子に乗ってっていうのは…うーん、上手く言えないけど、その力って生まれ持ったものだろう?それをどうこう出来たら今更苦労してないって言うかさ。」
探偵「……それは、そう、だけれど。」
イタカ「それともなに、お前も死にたいって気持ちがあるわけ?」
何も言えなかった、死にたいという気持ちは、そんなものは。
探偵「私が今、ここで死んでもきっと、お母さんのところには行けない。でも、私が何も知らないで荘園内の誰かが死んでしまっていたのなら…私の責任です。」
イタカ「わ、まーた始まったよ。君の悪いクセ。本当は関係の無い人達なんて微塵も可哀想とか思ってないくせに。」
アルヴァ「ではこうするのはどうでしょう、イタカとの契約を結んでいるのであれば、その契約を正式のものにする、と。仮初の契約ではお互いが困惑してしまいましょう。」
イタカ「あ、それいいね、さっすがアルヴァ先輩、天才だ。」
探偵「え、せ、正式な契約って、どうやるんですか……?」
その言葉に皆が顔を合わせた、けれど本人のイタカだけは至極楽しそうにこう述べた。
イタカ「簡単だよ、今僕らは付き合ってるんだから、ケッコン?すればいいんだよ。」
…………は?
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そんなこんな、色々と荘園内騒動があったが、荘園主達の野望(?)もなくなり、再び穏やかな日々が始まろうとしていた。
いつもと変わらない日々、ハンターやサバイバーが仲良く……という訳では無いが、まあお互いに程よく殺意を持って毎日を過ごしている場所。
ただ、変わったところもある、それは___
イタカが常にくっ付いていること。
以前は契約(仮)だったのだが、今は本契約となったからか常に隣にいるようになった。あの後婚約……とまではいかないが、ちゃんと正式にお付き合いをする事になった。その証として、彼が私の身体に模様を付けたいというので、何処が良いか尋ねたところ
イタカ「うーん、薬指。」
と言われたので薬指につけてもらった、完全に指輪みたいになっているが、まあ良いだろう。
イタカ「探偵、今日はどこに行くのさ。」
探偵「中華街に用事があって…」
イタカ「インチキ野郎につかまるんじゃないの?心配だからダーリンもついてくね。」
探偵「言わなくても付いてくるでしょう、イタカなら。」
イタカ「なあに、付いてきて欲しくないの?」
探偵「……寂しいからついてきて欲しいです。」
イタカ「あはは!かわいー♡でもまだ足りないな、着いてきてください、だぁりんって言えるよな?」
探偵「……っっっっ~……さ、寂しいし、怖いから、つ、ついてきてください、だ、だぁりん……。」
イタカ「く、くはは!良いよ、いいよ?ぴったりくっついてるから、離れないでね、探偵ちゃん?」
恋人繋ぎをしてくれるイタカくんの肌は、初めて会った時よりも暖かくて、優しいような、そんな気がした。
_____END
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