錬金術師はラーメン屋シリーズ
「おれ、気づいちゃったんだけどさ……」
兄は妹が作ったラーメン——そこら辺の雑草入りの最後の一口を食べ終わった時、真剣な面持ちで口を開いた。
「ん? どしたのお兄ちゃん」
「おれたちで、この村にラーメン屋出せるんじゃないか……?」
「えっそれ……! 実は私も思ってた……!」
兄の思いつきに、妹も目を輝かせる。二人でお店? なんだか楽しそう! 兄妹の頭の中に、一気に妄想が駆け巡った。
「よぉし! そうと決まれば、明日の朝さっそくシンイにプレゼンだ! メニューに店名……うーん考えることが山積みだぁ」
「むふふ……! 今日は徹夜だね!」
幼馴染のシンイが聞いたら、きっと驚くに違いない。想像するだけでニヤけが止まらなくなってしまう。
こうして始まった二人のラーメン屋のプレゼン資料作りは、空が白んでニワトリが高らかに鳴くまで続いた。
◇◇◇
「ダ、メ、です!」
幼馴染は、慣れないながらも最大限眉を吊り上げて言った。この兄妹に叱る時は、ちょっと厳しいくらいが丁度いい——というか、そうでないと全く響かないというのは、昔からの経験で学んだ。
兄はこの村の長を務めるほど人望が厚く、誰からも慕われる人物だ。それなのに、溺愛している妹が絡むと途端に——言葉を選ばずに言えば——極めてポンコツになる。
妹の方は、時渡りの呪いに翻弄された壮絶な半生を送ってきたにも関わらず、最近になって以前の呑気さを取り戻しつつある——これは本来であれば喜ばしいことだ。
けれど、ポンコツの兄と呑気な妹が合わさったらどうだろう。結果はこのようになる。
「何でだよぉ! きっと行列になるぞ!」
「雑草ラーメンおいしいのにぃ!」
ただでさえラーメン屋を開業したいという突拍子の無いことが飛び出したかと思えば、今度は雑草ラーメンなどという聞き捨てならない単語まで出てきて、幼馴染は音を上げそうになった。
「雑草、ラーメン……? な、何なんですかそれは……」
どうやらこの一言は余計だったらしい。妹は目を輝かせて、兄に耳打ちした。
「ねぇねぇお兄ちゃん、私いいこと思いついちゃった。シンイさんにも、食べてもらったらいいんじゃない?」
「お、そうだな! シンイ、ちょっとおれたちの家に来いよ!」
「え、えぇ?」
「シンイさんも絶対気に入るから! ね?」
そう言って、兄妹は幼馴染の両手を片方ずつ取って歩き出した。
「雑草だからおれも最初は抵抗があったんだけどさ、これがうまいんだよ!」
「そうそう! 騙されたと思って、一回食べてみてほしい!」
「あーもう、分かりましたから! あまり引っ張らないでください!」
幼馴染は、やれやれとため息をつきながら歩みを早めた。そして、ぐいぐいと両手を引っ張る兄妹を交互に見て、人知れず微笑む。
運命の悪戯によって引き裂かれたこの三人が、こうしてまたくだらない話ができる喜びを密かに噛み締めながら——今からどうやって二人を説得すべきかを、考えていた。
兄は妹が作ったラーメン——そこら辺の雑草入りの最後の一口を食べ終わった時、真剣な面持ちで口を開いた。
「ん? どしたのお兄ちゃん」
「おれたちで、この村にラーメン屋出せるんじゃないか……?」
「えっそれ……! 実は私も思ってた……!」
兄の思いつきに、妹も目を輝かせる。二人でお店? なんだか楽しそう! 兄妹の頭の中に、一気に妄想が駆け巡った。
「よぉし! そうと決まれば、明日の朝さっそくシンイにプレゼンだ! メニューに店名……うーん考えることが山積みだぁ」
「むふふ……! 今日は徹夜だね!」
幼馴染のシンイが聞いたら、きっと驚くに違いない。想像するだけでニヤけが止まらなくなってしまう。
こうして始まった二人のラーメン屋のプレゼン資料作りは、空が白んでニワトリが高らかに鳴くまで続いた。
◇◇◇
「ダ、メ、です!」
幼馴染は、慣れないながらも最大限眉を吊り上げて言った。この兄妹に叱る時は、ちょっと厳しいくらいが丁度いい——というか、そうでないと全く響かないというのは、昔からの経験で学んだ。
兄はこの村の長を務めるほど人望が厚く、誰からも慕われる人物だ。それなのに、溺愛している妹が絡むと途端に——言葉を選ばずに言えば——極めてポンコツになる。
妹の方は、時渡りの呪いに翻弄された壮絶な半生を送ってきたにも関わらず、最近になって以前の呑気さを取り戻しつつある——これは本来であれば喜ばしいことだ。
けれど、ポンコツの兄と呑気な妹が合わさったらどうだろう。結果はこのようになる。
「何でだよぉ! きっと行列になるぞ!」
「雑草ラーメンおいしいのにぃ!」
ただでさえラーメン屋を開業したいという突拍子の無いことが飛び出したかと思えば、今度は雑草ラーメンなどという聞き捨てならない単語まで出てきて、幼馴染は音を上げそうになった。
「雑草、ラーメン……? な、何なんですかそれは……」
どうやらこの一言は余計だったらしい。妹は目を輝かせて、兄に耳打ちした。
「ねぇねぇお兄ちゃん、私いいこと思いついちゃった。シンイさんにも、食べてもらったらいいんじゃない?」
「お、そうだな! シンイ、ちょっとおれたちの家に来いよ!」
「え、えぇ?」
「シンイさんも絶対気に入るから! ね?」
そう言って、兄妹は幼馴染の両手を片方ずつ取って歩き出した。
「雑草だからおれも最初は抵抗があったんだけどさ、これがうまいんだよ!」
「そうそう! 騙されたと思って、一回食べてみてほしい!」
「あーもう、分かりましたから! あまり引っ張らないでください!」
幼馴染は、やれやれとため息をつきながら歩みを早めた。そして、ぐいぐいと両手を引っ張る兄妹を交互に見て、人知れず微笑む。
運命の悪戯によって引き裂かれたこの三人が、こうしてまたくだらない話ができる喜びを密かに噛み締めながら——今からどうやって二人を説得すべきかを、考えていた。
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