その他(CP有)

「そ、そんなこと、一度も言ってなかったじゃん!」

 そうかぁ?と間の抜けた返事をすると、ユシュカはグラスを傾けた。

「そんな高価なものだって知ってたら、あたし……!」

 耳に揺れるペリドットのピアスを外そうと、大魔王は自身の耳たぶに触れた。
 大魔王には宝石の価値などよく分からない。けれど、緑色かと思えば角度を変えるたびに七色の煌めきを放つそれを見て、どうしてそこまで高価なものではないと思ってしまったのだろう。

「あ、そうだ。渡し方!」
「渡し方ぁ?」
「ほらよって。雑に手に握って渡してきたよね? それが良くなかったんじゃない? きっとそう」
「お前なぁ。俺が雑に渡したからって雑に扱っていいわけじゃないからな」
「そ、それは分かってる、けど……」

 ほら、貸せ。と、ユシュカは大魔王の手からピアスを奪い取る。

「だったら、大人しく付けていればいいんだ」

 ユシュカが大魔王の耳に触れる。酒を飲んでいるからか、指先まで温かい。その体温が耳たぶを通じて伝わって、大魔王の胸が跳ねた。

「ほら、動くな。もうちょっとで終わるから——よし」

 大魔王にピアスをつけ終えたユシュカは、満足そうにその姿を眺めた。

「やっぱりそれ、お前に似合うな。さすがは俺の女だ」

 ユシュカは顎に手をやり、うんうんと頷く。

「ま、待って。い、い、今なんかとんでもない言葉が」

あまりにもしれっと飛び出した言葉に、大魔王は目を丸くして頬を染めた。
 なんだ、聞こえなかったか?とユシュカは大魔王に迫り——強引に唇を塞いだ。

「さ、酒くさ……」
「おい、ムードとか考えろよ」
「だって」

 二人は吹き出すと、再び唇を重ねる。
 ユシュカが大魔王を抱くように腕を回すと、揺れるピアスをまた愛おしそうに撫でた。
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