番外編
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その日。
1通のオレンジの招待状が青学テニス部に届いた。
「なんだろ?」
さくらはゆっくりと招待状を開けた。
「わぁ……」
中には氷帝学園の跡部からのハロウィンパーティーの招待状だった。
「ハロウィンか~」
手塚が後ろから招待状を覗き込む。
「へー!楽しそうじゃん」
菊丸は口笛を吹きながら、頭の後ろに手を組んだ。
話し合いの末、青学レギュラー陣全員で行くことになった。
もちろん、さくらも。
―――
氷帝学園・跡部邸。
まるでテーマパークのように飾り付けられた広いホールには、
蝙蝠の装飾とオレンジの光がきらめいていた。
「……相変わらず、やることが派手だな」
手塚が眉をひそめると、跡部が不敵に笑う。
「フン、主催者がショボくてどうする。跡部様のパーティは"格"が違うんだよ」
「さすが跡部だね。南瓜まで金箔がついてるよ?」
不二が楽しそうに微笑み、向こうの方にいる"彼女"にカメラを向けた。
その横で、忍足が肩をすくめる。
「うちのボスや、やることが全部スケールがちゃう」
そこへ、
「と、トリック・オア・トリート~!!」
勢いよく現れたのは、魔女の衣装を着たさくらだった。
(実際には魔法少女だけど)
ふわりと揺れるマント、三角帽子。
その姿に、一瞬みんなの時が止まる。
「さくら、よく似合ってる」
手塚の言葉にさくらは頬を染める。
「ありがと、国ちゃん!でも、今日だけは"魔法使い"なんだよっ」
「……いつもだろ」
ぼそっと呟く声を聞いたのは、不二だけだった。
それを聞いた不二は首を傾げてた。
―――手塚、相変わらずわかりやすいなぁ。
くすくすと笑いながらも、不二は手塚とさくらのツーショットの写真を撮っていた。
パーティが始まり、忍足と宍戸がDJブースを仕切り、
海堂と乾は料理コーナーで食材の分析中。
向日は「これスイーツ!?マジ!?」と驚きっぱなし。
そんな中、跡部がマイクを握る。
「さぁ、今夜のメインイベント、仮装コンテストを始めるぞ!」
歓声が上がり、順にステージへ。
不二は吸血鬼、忍足は執事、宍戸と向日はゾンビコンビ。
そして最後に、魔女のさくらと黒マントの手塚が並んだ。
「おぉ~~!カップル仮想かよ!」
跡部が笑う。
「ち、違っ……!」
とさくらは慌てるが跡部が二人の間に割って入った。
「Trick or Treat?」
「へっ!?」
跡部ににやりと言われ、急いでお菓子を探すさくら。
次の瞬間。
「きゃっ!」
不意に跡部に抱きしめられる。
「ほらな、簡単ないたずらだ」
それを見た忍足は苦笑する。
「跡部、やりすぎやで」
「冗談だ、冗談」
跡部の腕の中で真っ赤になってるさくら。
……と、その時。
後ろで低く響く声。
「……それは"冗談"では済まさん」
空気が一瞬で凍り付く。
「おいおい、冷静さが売りだろ、手塚?」
「限度がある」
跡部が手を離すや否や、さくらを後ろに庇って抱き寄せる。
「……お前に触れていいのは俺だけだ」
「く、国ちゃん……みんな見てるってば……!」
「やれやれ……青春やなぁ」
「チッ、見せつけやがって」
ホールの空気が、少し甘く、少しざわつく――。
手塚の嫉妬は静かに、けれど誰よりも強く燃えていた。
さくらは手塚の横で真っ赤になりながらも、楽しくハロウィンパーティーを楽しんだ。
ハロウィンパーティーが終わり、夜風が少し冷たくなってきたころ。
人通りの少ない公園のベンチで、さくらと手塚は並んで座っていた。
街の灯りが遠くに瞬き、頭上にはまん丸い月。
「……さっきの、ちょっとびっくりだよ」
「すまん」
「でも、嬉しかった」
手塚の横顔が少しだけ赤くなる。
沈黙。
けれど心地よい、沈黙。
さくらはふっと笑って、
「ねえ、国ちゃん」
「……なんだ?」
「トリック・オア・トリート」
「……またそれか」
「お菓子、持ってないんでしょ?」
「ないな」
さくらは少し背伸びをして、彼の頬にそっとキスをする。
「じゃあ、いたずら成功」
はにかむように笑うさくら。
手塚が目を瞬かせた瞬間、彼の手がさくらの肩を軽く引き寄せる。
「……返す」
「え?」
「トリック・オア・トリート」
「お菓子ないよぉぉぉ」
次の瞬間、唇が触れた。
柔らかく、短く、でも確かに"気持ち"が込められたキス。
「……いたずら返しだ」
「く、国ちゃん……」
さくらの頬が真っ赤になる。
手塚は少し視線を逸らしながら、
「……次は、お菓子を用意しておく」
と、ぼそっと呟いた。
その言葉にさくらはくすっと笑って、
「じゃあ、また来年もいたずらしに行くね」
と答えた。
月明かりの下、二人の影がそっと重なった。