番外編
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―――後日談。
翌日。
夕方の練習が終わった後、さくらは手塚のもとへ歩み寄った。
いつもの真っすぐな背筋、いつもと変わらない穏やかな表情。
でも、さくらの胸は少しだけドキドキしていた。
「国ちゃん、昨日ね……侑士君に誕生日プレゼントを渡せたよ」
「そうか。喜んでいたか?」
「うん……すっごく。星屑のカード、すごく綺麗だったんだ」
手塚は静かに頷く。
だが、さくらは小さく唇を嚙み締めた。
言わなきゃ――そう思って、勇気を出す。
「あのね……最後に……侑士君に……抱きしめられちゃったの」
手塚の手が一瞬止まる。
タオルを畳む動作がわずかに固まった。
沈黙。
数秒だけの静寂が、永遠みたいに長く感じられる。
「……そうか」
「っ、ご、ごめんね!でも侑士君、悲しそうで……
誕生日だったから、わたし、何も言えなくて……」
「……誕生日、か」
彼は一度だけ息をつき、それから小さく肩をすくめた。
「……なら、許してやるか」
「えっ?」
「誕生日くらい、彼にも優しくしてやれ。
……だが、次からは俺に報告する前に抱きしめられるな」
「う、うんっ!」
照れたように笑うさくらを見て、
手塚の目元が少しだけ柔らかくなる。
「……お前が優しいのは、昔から知っている。
それが俺が惹かれたところでもある」
「……国ちゃん」
「ただ――」
彼は少しだけ身を屈めて、さくらの額に軽くキスを落とす。
「"俺以外に抱きしめられると、少しだけ嫉妬する"くらいは、覚えておけ」
「……っ!そ、そんな言い方ずるい!」
手塚は僅かに笑って、
「冗談だ」
といつものように言いながら、耳まで少し赤くなっていた。
その夜、忍足の携帯に一通のメッセージが届く。
「国ちゃん、怒ってなかったよ。ありがとうって言ってた!」
画面を見て、忍足はふっと笑う。
「やっぱり、手塚には勝てへんな」
夜空を見上げると、あの時の星屑がまだ遠くで光っていた。