番外編
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秋が深まる、今日この頃。
今日は10月14日。
そして明日は忍足侑士の誕生日。
先日、跡部と手塚の誕生日をお祝いしたさくら。
家で宿題をやっていた、彼女のもとに、一本の電話が入っていた。
画面を見れば、『忍足侑士』
「侑士くん、何の用かな?」
電話のボタンを押すと、独独の低い声が響いた。
「こんばんわ、さくらちゃん」
「こんばんわ、侑士君」
以前の合宿で仲良くなり、連絡先を交換した。
さくらは最初いとこの謙也と間違えるため、「侑士さん」と
呼んでいたが、彼が「他人行儀」というので、こう呼ぶようになった。
ちなみに、手塚には承諾済み。
「急なんだけど、明日って暇かいな?」
「明日?午前中は部活だけど、午後なら空いてるよ」
「よっしゃ!実はな、俺明日誕生日なんよ」
「えっ、おめでとう!」
「誕生日」という言葉にぱぁっと花が咲いた笑顔になるさくら。
画面越しにその笑顔を想像した忍足はその瞬間、少しだけ悲しい笑顔を浮かべる。
「ありがとな。……それでな、誕生日やし、
一日くらい誰かと穏やかに過ごしたい思てたんや。
せやから――俺と、少し出かけへん?」
「えっ?」
時間が、止まった。
それはほんの数秒。
不覚にもさくらの頬がほんのり赤くなる。
「で、でも……わたし、国ちゃんに聞いてみないと」
「……そっか。手塚に黙ってやと、俺も悪い奴になってまうわ」
電話越しに軽く笑う。
その瞳の奥にはほんの少しだけ、切なさが滲んでいた。
「うん、ちゃんと話してみるね」
忍足は頷き、
「待ってるで」
と、一言残して電話を切った。
―――
夜。
手塚の部屋の明かりが柔らかく灯る中、さくらから電話がかかってくる。
手塚はゆっくりと受話器を取った。
「さくらか。どうした?」
「あのね、明日、侑士くんの誕生日なんだって。
だから、一緒に出掛けてくれないかって誘われたの」
その瞬間、手塚の動きが一瞬だけ止まる。
眼鏡の奥の瞳が小さく光を反射した。
「……そうか」
「行ってもいいかな?」
沈黙。
時計の針の音だけが部屋に響く。
「……俺を信じて話してくれた。それが、嬉しい。ただし、あまり遅くなるな」
家が隣で、いくら幼馴染兼恋人はいえ、心配なものは心配。
さくらが自分を信じてくれたことにも嬉しい。
帰るときは連絡を入れるようにと言われ、OKをもらえたさくら。
「うん!ありがとう、国ちゃん!」
電話の向こうで嬉しそうに笑っているのが想像できる。
目の前にいたら、抱き着いてきただろう。
「……それと忍足には礼を言っておく。
"さくらを泣かせたら容赦しない"とな」
「……っ、国ちゃん、怖いよ?」
「冗談だ」
※冗談ではない。忠愛カードがさくらの背後で光っていた。
―――
翌日。
さくらはこの時期に合いそうなワンピースを身に纏って、
待ち合わせの場所に来ていた。
すると、高校生くらいの男子に絡まれた。
「彼女、可愛いね」
「誰かと待ち合わせ?」
「ねえ、俺らと遊ばない?」
「結構です」
ぷいっと顔を背けて断るさくら。
「怒った顔も可愛い」
「ちょ…!」
男の一人がさくらの腕を掴んだその時だった。
「俺の彼女になるすんねん?」
男の腕を掴んだ忍足がいた。
「ゆ、侑士くん!」
「待たせたな、さくら」
男たちは心底悔しそうにしながら、去っていった。
「で、でも彼女って」
「あぁでも言わんと、諦めてくれないやろ…?」
「た、確かに……」
さくらの頬はほんのり赤くなっていた。
「じゃ、ほな行こか」
「うん!」
午後の時間はあっという間だった。
昼間の街並みは、人と光で溢れていた。
さくらと忍足は並んで歩きながら、小さな雑貨屋を覗いたり、カフェでお茶を飲んだり。
穏やかで柔らかな時間を過ごしていた。
「ほんま、こんな風にのんびりするん、久しぶりやな」
「そうなの?」
「ああ。試合とか、勉強とか、なんやかんやで時間に追われる毎日やからな」
「ふふっ、でも今は少しだけ"自由時間"だね」
「せやな……さくらちゃんとおると、心が緩むわ」
「あっ、さっきは助けてくれてありがとう」
「当然や。手塚に"さくらを泣かせるな"って言われてまうしな」
「国ちゃん、本当に侑士君に言ったのー!?」
さくらは再び顔が真っ赤になり、頭を抱えた。
それを見て、忍足はくすくす笑っている。
そして、紅茶を口にしながら。窓の外の光を見つめた。
その横顔が、夕暮れに溶けるように静かで美しかった。
夜。
街の明かりが遠くに滲む高台。
二人は見晴らしの良い場所に立っていた。
「侑士くん、目を閉じてくれる?」
「お?なんや、サプライズでも?」
「うん、お誕生日のプレゼントだよ」
忍足が目を閉じたのを確認すると、さくらは彼の傍から少し離れた場所に立った。
服の中から、夢の鍵を取り出し、そっと唱えた。
「封印解除―――。STARDUST(星屑)!」
すぐに忍足の元へ戻る。
「もういいよ」
忍足が目を開け、目にしたものは。
「……っ!」
夜空がふわりと震え、風が金色の光を運ぶ。
数えきれない星が零れ落ち、二人の周りに淡く舞い降りた。
光の粒は頬に触れると温かく、地面に落ちると消えて、
夜の香りだけを残していく。
「これは……」
「秘密のプレゼントだよ。折角だから、侑士君にって。
ロマンチック系、好きでしょ?」
「ああ…」
忍足は空を見上げたまま、
何かと堪えるように目を細めた。
「……手塚が、羨ましいわ」
「えっ?」
「こんな奇跡みたいな子に出会えて……
その想いをもらえるなんて、ずるい」
さくらが驚いて目を見開くと、忍足はゆっくり彼女を抱き寄せた。
その腕は優しくて、でもどこか切なくて。
「……ごめんな。ほんの一瞬だけ、俺にも夢見させて」
「……侑士くん」
星屑の光が二人の周りを包み込む。
忍足は目を閉じ、深く息をついた後、
そっと彼女を離して微笑んだ。
「ありがとうな、最高の誕生日や」
「うん……お誕生日、おめでとう。侑士君」
風が優しく吹いて、光の粒が空へと還っていった。
―――――
その夜、手塚の部屋。
手塚は窓を見上げ、遠くで一瞬だけ煌めいた光を見つめていた。
「……なるほど……」
短く呟いて、静かに眼鏡を外す。
背後ではLOYALTYとFAVORが同時にざわつく。
「主、まさか嫉妬を――」
「黙れ」
それでもその唇の端が、ほんのわずかに笑っていた。
「……さくらの魔法は、どこにいても届く」
そう言って、
彼はまた窓の外の星空を見上げた。
今日は10月14日。
そして明日は忍足侑士の誕生日。
先日、跡部と手塚の誕生日をお祝いしたさくら。
家で宿題をやっていた、彼女のもとに、一本の電話が入っていた。
画面を見れば、『忍足侑士』
「侑士くん、何の用かな?」
電話のボタンを押すと、独独の低い声が響いた。
「こんばんわ、さくらちゃん」
「こんばんわ、侑士君」
以前の合宿で仲良くなり、連絡先を交換した。
さくらは最初いとこの謙也と間違えるため、「侑士さん」と
呼んでいたが、彼が「他人行儀」というので、こう呼ぶようになった。
ちなみに、手塚には承諾済み。
「急なんだけど、明日って暇かいな?」
「明日?午前中は部活だけど、午後なら空いてるよ」
「よっしゃ!実はな、俺明日誕生日なんよ」
「えっ、おめでとう!」
「誕生日」という言葉にぱぁっと花が咲いた笑顔になるさくら。
画面越しにその笑顔を想像した忍足はその瞬間、少しだけ悲しい笑顔を浮かべる。
「ありがとな。……それでな、誕生日やし、
一日くらい誰かと穏やかに過ごしたい思てたんや。
せやから――俺と、少し出かけへん?」
「えっ?」
時間が、止まった。
それはほんの数秒。
不覚にもさくらの頬がほんのり赤くなる。
「で、でも……わたし、国ちゃんに聞いてみないと」
「……そっか。手塚に黙ってやと、俺も悪い奴になってまうわ」
電話越しに軽く笑う。
その瞳の奥にはほんの少しだけ、切なさが滲んでいた。
「うん、ちゃんと話してみるね」
忍足は頷き、
「待ってるで」
と、一言残して電話を切った。
―――
夜。
手塚の部屋の明かりが柔らかく灯る中、さくらから電話がかかってくる。
手塚はゆっくりと受話器を取った。
「さくらか。どうした?」
「あのね、明日、侑士くんの誕生日なんだって。
だから、一緒に出掛けてくれないかって誘われたの」
その瞬間、手塚の動きが一瞬だけ止まる。
眼鏡の奥の瞳が小さく光を反射した。
「……そうか」
「行ってもいいかな?」
沈黙。
時計の針の音だけが部屋に響く。
「……俺を信じて話してくれた。それが、嬉しい。ただし、あまり遅くなるな」
家が隣で、いくら幼馴染兼恋人はいえ、心配なものは心配。
さくらが自分を信じてくれたことにも嬉しい。
帰るときは連絡を入れるようにと言われ、OKをもらえたさくら。
「うん!ありがとう、国ちゃん!」
電話の向こうで嬉しそうに笑っているのが想像できる。
目の前にいたら、抱き着いてきただろう。
「……それと忍足には礼を言っておく。
"さくらを泣かせたら容赦しない"とな」
「……っ、国ちゃん、怖いよ?」
「冗談だ」
※冗談ではない。忠愛カードがさくらの背後で光っていた。
―――
翌日。
さくらはこの時期に合いそうなワンピースを身に纏って、
待ち合わせの場所に来ていた。
すると、高校生くらいの男子に絡まれた。
「彼女、可愛いね」
「誰かと待ち合わせ?」
「ねえ、俺らと遊ばない?」
「結構です」
ぷいっと顔を背けて断るさくら。
「怒った顔も可愛い」
「ちょ…!」
男の一人がさくらの腕を掴んだその時だった。
「俺の彼女になるすんねん?」
男の腕を掴んだ忍足がいた。
「ゆ、侑士くん!」
「待たせたな、さくら」
男たちは心底悔しそうにしながら、去っていった。
「で、でも彼女って」
「あぁでも言わんと、諦めてくれないやろ…?」
「た、確かに……」
さくらの頬はほんのり赤くなっていた。
「じゃ、ほな行こか」
「うん!」
午後の時間はあっという間だった。
昼間の街並みは、人と光で溢れていた。
さくらと忍足は並んで歩きながら、小さな雑貨屋を覗いたり、カフェでお茶を飲んだり。
穏やかで柔らかな時間を過ごしていた。
「ほんま、こんな風にのんびりするん、久しぶりやな」
「そうなの?」
「ああ。試合とか、勉強とか、なんやかんやで時間に追われる毎日やからな」
「ふふっ、でも今は少しだけ"自由時間"だね」
「せやな……さくらちゃんとおると、心が緩むわ」
「あっ、さっきは助けてくれてありがとう」
「当然や。手塚に"さくらを泣かせるな"って言われてまうしな」
「国ちゃん、本当に侑士君に言ったのー!?」
さくらは再び顔が真っ赤になり、頭を抱えた。
それを見て、忍足はくすくす笑っている。
そして、紅茶を口にしながら。窓の外の光を見つめた。
その横顔が、夕暮れに溶けるように静かで美しかった。
夜。
街の明かりが遠くに滲む高台。
二人は見晴らしの良い場所に立っていた。
「侑士くん、目を閉じてくれる?」
「お?なんや、サプライズでも?」
「うん、お誕生日のプレゼントだよ」
忍足が目を閉じたのを確認すると、さくらは彼の傍から少し離れた場所に立った。
服の中から、夢の鍵を取り出し、そっと唱えた。
「封印解除―――。STARDUST(星屑)!」
すぐに忍足の元へ戻る。
「もういいよ」
忍足が目を開け、目にしたものは。
「……っ!」
夜空がふわりと震え、風が金色の光を運ぶ。
数えきれない星が零れ落ち、二人の周りに淡く舞い降りた。
光の粒は頬に触れると温かく、地面に落ちると消えて、
夜の香りだけを残していく。
「これは……」
「秘密のプレゼントだよ。折角だから、侑士君にって。
ロマンチック系、好きでしょ?」
「ああ…」
忍足は空を見上げたまま、
何かと堪えるように目を細めた。
「……手塚が、羨ましいわ」
「えっ?」
「こんな奇跡みたいな子に出会えて……
その想いをもらえるなんて、ずるい」
さくらが驚いて目を見開くと、忍足はゆっくり彼女を抱き寄せた。
その腕は優しくて、でもどこか切なくて。
「……ごめんな。ほんの一瞬だけ、俺にも夢見させて」
「……侑士くん」
星屑の光が二人の周りを包み込む。
忍足は目を閉じ、深く息をついた後、
そっと彼女を離して微笑んだ。
「ありがとうな、最高の誕生日や」
「うん……お誕生日、おめでとう。侑士君」
風が優しく吹いて、光の粒が空へと還っていった。
―――――
その夜、手塚の部屋。
手塚は窓を見上げ、遠くで一瞬だけ煌めいた光を見つめていた。
「……なるほど……」
短く呟いて、静かに眼鏡を外す。
背後ではLOYALTYとFAVORが同時にざわつく。
「主、まさか嫉妬を――」
「黙れ」
それでもその唇の端が、ほんのわずかに笑っていた。
「……さくらの魔法は、どこにいても届く」
そう言って、
彼はまた窓の外の星空を見上げた。