番外編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
秋も深まるころ氷帝学園から、青春学園テニス部に一通の招待状が届いた。
10月4日は氷帝学園テニス部部長、跡部景吾の誕生日会が開催されるとのこと。
もちろん、青学テニス部マネージャー、木之本桜も例外ではない。
この日の為に、一生懸命プレゼントを考えていたのであった。
そして、誕生日当日。
青学メンバーは跡部の豪邸に呼ばれていた。
「わぁ、跡部君のおうちって広いんだね」
さくらは目をキラキラさせながら呟いた。
「行くぞ」
手塚は表情一つ変えずに跡部の家の中へと入る。
中へ入れば、招待状を跡部家の使用人に見せる。
ホールに入ると、大きなシャンデリアやピアノなどが飾られていた。
目の前には豪華な料理もびっしりと並んでいた。
「わぁ、おいしそう」
しろちゃんは目を輝かせながら、目の前の料理にかぶりつこうとしていた。
「しろちゃん!まずは跡部君にご挨拶でしょ!!」
「ちぇ」
さくらに首根っこをつかまれながら、青学メンバーは跡部のもとへ歩み寄る。
跡部の方へ歩いていくと、氷帝学園メンバーと楽しそうに談笑している彼の姿が。
跡部はこちらに気づくと、そっと歩み寄ってきた。
「よぉ、手塚にさくら嬢。それに青学の皆。今日は俺様の誕生日パーティーによく来てくれたな」
「お招きいただき、光栄です。跡部君、お誕生日おめでとう」
そういってさくらはにっこり微笑むと、持っていた小さな紙袋を跡部に差し出した。
「これを俺様にか?」
「うん!」
目の前でにこにこするさくら。
跡部は袋の中を開けてみた。
中にはさくらが夜なべして編んだ手作りの青と白のマフラー。
「……おい、まさかこれ、お前が作ったのか?」
「うん!跡部君、青が似合うと思ったから……」
「フン……悪くねぇな」
にこにこしてるさくらに、めちゃくちゃ頬が赤い跡部。
その瞬間、横で腕を組んでいた手塚の眼鏡が光った。
「……さくら」
「え?なぁに、国ちゃん?」
「……俺の誕生日には、何をくれるつもりだ?」
「えっ!?あっ……えっと……国ちゃんには特別なの、ちゃんと考えてるから!」
「ならいい」
国ちゃんの誕生日って、跡部君と近いんだよね。
ドン引きしてる氷帝メンバー。
にやにや笑う、忍足。
「……ククッ、いいじゃねぇか。青学の部長様も案外人間らしい」
「黙れ」
「二人とも、ケンカしないでぇぇぇ」
跡部と手塚のやりとりにさくらは涙目。
「ねえねえ、さくら。ボク、ご馳走食べたいよ」
しろちゃんがくいっとさくらの服の裾を引っ張った。
「そうだね、頂こうか。みんなも食べよ!」
「わーい!」
そう言うと、しろちゃんは真っすぐに料理にありついているのだった。
手塚の横で料理を堪能していると、さくらはふとさっきのことを思い出す。
「ねえ、国ちゃん。さっきの国ちゃんの誕生日プレゼントの話なんだけど…」
「なんだ?」
「わたしじゃダメかな?」
―――一瞬、世界が。いや、時間が止まった。
「!?!?!?!?」
はぁぁぁぁぁと、勢いよく飛び出しそうな声。
氷帝組、全員硬直。
立海組、口あんぐり。
四天宝寺組(泊まりに来てる)、持ってた皿を落としそうになる。
「おいおい、手塚ぁ!?これはどういうことだぁ!?」
跡部もびっくり。
「……確かに受け取った」
手塚は真顔でさくらに言っている。
それでまた、周囲は大混乱。
「えっ?わたし、変なこと言っちゃった!?」
自分で気づけー!!
全員の突っ込みはさくらには届かなかった。
――――――
パーティーも落ち着いたころの事だった。
「跡部君、跡部君のおうちって、屋上とかあるの?」
「あるぜ、ついてきな」
そう言われて、跡部に屋上まで連れられる。
手塚は跡部がさくらに何かしないかこっそり監視の意味で後をつける。
「わぁ、星が綺麗だね」
屋上に着くと、さくらは空を見上げて目を輝かせた。
「俺様を屋上に連れてきて、何を見せる気だ?」
「ふふっ、目を閉じててくれる?」
さくらに言われ、目を閉じた跡部。
さくらは跡部の傍を一瞬だけ離れた。
夢の鍵を胸元に握り、小さくつぶやいた。
「封印解除。GLEAM(灯火)!」
そして、すぐさま跡部の元へ再び駆け寄る。
「もう目を開けていいよ」
目を開けた跡部の視界に映ったものは。
「……っ!」
跡部は一瞬、言葉を失った。
夜空いっぱいに小さな灯火が浮かび上がり、
まるで無数のホタルが星空と溶け合ったように煌めきだす。
煌びやかな照明やシャンデリアでも作れない、素朴で暖かな光。
「お誕生日おめでとう、跡部君。わたしからの秘密のプレゼント」
さくらは少し照れながら微笑んだ。
跡部は口元を押さえて、ほんの少し視線を逸らした。
「フン、悪くねぇな」
悪態をつきながらも、跡部は心がいっぱいになっていた。
遠くで見守っていた手塚は「……跡部、調子に乗るな」とひそかに嫉妬心を燃やしていた。
夜空に瞬く無数の灯火。
屋上はまるで天の川に包まれたようで、さくらの瞳もキラキラ反射している。
「どう?跡部君。ちょっと不思議なお祝いだけど、気に入ってくれた?」
「……」
次の瞬間、跡部はさくらの腕を引いて、己の腕に抱きしめた。
「えっ、えっ!?跡部君!?」
自分には手塚がいるのに、こんなことをされてさくらは戸惑った。
「わかってる。お前には手塚がいることもわかってる。でも、今夜だけは……このままでいさせてくれ」
「跡部君……」
さくらも跡部の気持ちを察したのか、抵抗をあきらめた。
「もう、今夜だけだからね」
国ちゃんが見てたらなんて言おう……。
(もう見てるけど)
この光景を見た、七大手塚カード達はブチギレ寸前。
「いや、今日だけは許してやろう」
手塚の言葉に何も言えなくなる。
手塚とカード達が見守る中、跡部とさくら、二人だけの誕生日が過ぎていくのだった。
『お誕生日おめでとう、跡部君!』
1/8ページ