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「うん、うん。わかった。じゃあ、また明日ね。おやすみなさい、国ちゃん」
そう言って、さくら――。
木之本桜は、スマホを切るとベッドに倒れこんだ。
明日はいよいよ待ちに待った、青学の入学式。
大好きなあの人に会えると思うと、胸が高鳴る。
「さくら。いよいよ明日だね」
枕元ではふわふわの白いぬいぐるみ、通称『しろちゃん』がニコニコして話しかけてきた。
「うん。早く明日が来ないかな」
胸に手を置き、目を細めるさくら。
「さくらだったら大丈夫だよ」
「ありがとう、しろちゃん」
そう言って、二人は眠りについた。
―――――
春の風が頬を撫でる。
青学へ続く並木道は、満開の桜がひらひらと舞い散り、淡い桃色の世界を作っていた。
さくらは胸いっぱいに春の空気を吸い込みながら歩を進める。
制服の襟元をそっと抑えて――。
心臓の鼓動がいつもより速い。
「……っ!」
目の前に立っていたのは、忘れられるはずのない大切な人。
凛とした背筋、優しくも激しい瞳―――。
大好きな『国ちゃん』、手塚国光。
「国ちゃん!」
思わず駆け寄る。
手塚は桜の花びらを背に、まっすぐに彼女を見つめて口を開いた。
「青学の入学……おめでとう」
そう言って、手塚の口元が僅かに緩む。
その一言が胸の奥で何かをほどいた。
視界が滲み、こみ上げてくる熱。
―――わたし、本当に国ちゃんと一緒に学校に行けるんだ。
「……これからはずっと一緒だよ」
震える声でそう言って、さくらは彼に抱き着いた。
手塚の腕が、静かに彼女の背中に回される。
―――まるで、この瞬間をずっと待っていたかのように。
幼いころの、まだ小学生だった日の記憶。
手塚が小学校を卒業する日の夕暮れ。
並木道の桜はまだ蕾だった。
その時、手塚は真っすぐに言ってくれた。
「さくらが好きだ。…さくらが中学生になったら、付き合ってほしい」
その約束が、今。
桜の下で果たされた。
―――
さくらが抱きついた後、少し照れたように手塚が咳払いをした。
「それと…」
そう言って、制服のポケットから小さな箱を取り出す。
淡い桜色の包装紙にリボンがかけられていて、胸がどきりと跳ねた。
「入学祝だ。…開けてみろ」
震える指でリボンを解き、箱を開けると。
中から現れたのは、透明な桜の花びらが閉じ込められた、小さなストラップ。
「わぁ!」
光にかざすと、花びらがキラキラと輝き、風に舞う桜と同じ色をしていた。
「国ちゃん、これ…」
「お前の携帯にでも、鞄にでも付ければいい。
桜の季節が終わっても…
ずっと一緒にいられるからな」
その言葉に胸がいっぱいになって、思わず涙が零れる。
「……ありがとう、国ちゃん。ずっと大事にするね」
さくらは両手でストラップを胸に抱きしめる。
世界に一つだけの贈り物。
―――それは、二人の約束の証だった。
桜並木を二人で並んで歩きながら、さくらはふと顔を上げて聞いた。
「国ちゃんの部活ってなぁに?」
少し間を置いて、手塚はまっすぐに答える。
「……テニス部だ」
その一言を聞いた瞬間、さくらの胸の奥がぱっと明るくなった。
「わたし、テニス部のマネージャーやりたい。国ちゃんの傍にいたいから……」
言った後、自分でもちょっと恥ずかしくなって頬を赤く染める。
手塚は驚いたように目を瞬かせ、けれどすぐに柔らかく微笑んだ。
「……あぁ」
ただ、それだけの言葉。
けれど、その短い返事にさくらは胸いっぱいの安心を覚えた。
―――これからは、ずっと一緒。
春の風がまた桜の花びらを舞わせて、二人を祝福するかのように降り注いだ。
嬉しそうに手塚と並んであるくさくら。
彼女の笑顔は春の光みたいに明るく、桜吹雪の中でとても映えていた。
そんな手塚とさくらを遠くから見ている二人組がいた。
上級生で手塚の部活仲間である、不二周助と菊丸英二。
「ん?手塚と一緒にいるあの子……」
菊丸が小声で呟き、首を傾げる。
「……新入生だね。雰囲気からして」
不二は目を細めて、いつもの柔らかな笑みを浮かべる。
菊丸は「へぇ~」と口笛を吹きそうになったが、
結局そのまま何も言わず、不二と並んで歩き去っていった。
ただ一瞬、二人の視線に気づいた手塚が、ちらりと目をやったが、何も言わなかった。
そして、さくらは気づかないまま、手塚の隣で嬉しそうにストラップを握りしめいた。
そう言って、さくら――。
木之本桜は、スマホを切るとベッドに倒れこんだ。
明日はいよいよ待ちに待った、青学の入学式。
大好きなあの人に会えると思うと、胸が高鳴る。
「さくら。いよいよ明日だね」
枕元ではふわふわの白いぬいぐるみ、通称『しろちゃん』がニコニコして話しかけてきた。
「うん。早く明日が来ないかな」
胸に手を置き、目を細めるさくら。
「さくらだったら大丈夫だよ」
「ありがとう、しろちゃん」
そう言って、二人は眠りについた。
―――――
春の風が頬を撫でる。
青学へ続く並木道は、満開の桜がひらひらと舞い散り、淡い桃色の世界を作っていた。
さくらは胸いっぱいに春の空気を吸い込みながら歩を進める。
制服の襟元をそっと抑えて――。
心臓の鼓動がいつもより速い。
「……っ!」
目の前に立っていたのは、忘れられるはずのない大切な人。
凛とした背筋、優しくも激しい瞳―――。
大好きな『国ちゃん』、手塚国光。
「国ちゃん!」
思わず駆け寄る。
手塚は桜の花びらを背に、まっすぐに彼女を見つめて口を開いた。
「青学の入学……おめでとう」
そう言って、手塚の口元が僅かに緩む。
その一言が胸の奥で何かをほどいた。
視界が滲み、こみ上げてくる熱。
―――わたし、本当に国ちゃんと一緒に学校に行けるんだ。
「……これからはずっと一緒だよ」
震える声でそう言って、さくらは彼に抱き着いた。
手塚の腕が、静かに彼女の背中に回される。
―――まるで、この瞬間をずっと待っていたかのように。
幼いころの、まだ小学生だった日の記憶。
手塚が小学校を卒業する日の夕暮れ。
並木道の桜はまだ蕾だった。
その時、手塚は真っすぐに言ってくれた。
「さくらが好きだ。…さくらが中学生になったら、付き合ってほしい」
その約束が、今。
桜の下で果たされた。
―――
さくらが抱きついた後、少し照れたように手塚が咳払いをした。
「それと…」
そう言って、制服のポケットから小さな箱を取り出す。
淡い桜色の包装紙にリボンがかけられていて、胸がどきりと跳ねた。
「入学祝だ。…開けてみろ」
震える指でリボンを解き、箱を開けると。
中から現れたのは、透明な桜の花びらが閉じ込められた、小さなストラップ。
「わぁ!」
光にかざすと、花びらがキラキラと輝き、風に舞う桜と同じ色をしていた。
「国ちゃん、これ…」
「お前の携帯にでも、鞄にでも付ければいい。
桜の季節が終わっても…
ずっと一緒にいられるからな」
その言葉に胸がいっぱいになって、思わず涙が零れる。
「……ありがとう、国ちゃん。ずっと大事にするね」
さくらは両手でストラップを胸に抱きしめる。
世界に一つだけの贈り物。
―――それは、二人の約束の証だった。
桜並木を二人で並んで歩きながら、さくらはふと顔を上げて聞いた。
「国ちゃんの部活ってなぁに?」
少し間を置いて、手塚はまっすぐに答える。
「……テニス部だ」
その一言を聞いた瞬間、さくらの胸の奥がぱっと明るくなった。
「わたし、テニス部のマネージャーやりたい。国ちゃんの傍にいたいから……」
言った後、自分でもちょっと恥ずかしくなって頬を赤く染める。
手塚は驚いたように目を瞬かせ、けれどすぐに柔らかく微笑んだ。
「……あぁ」
ただ、それだけの言葉。
けれど、その短い返事にさくらは胸いっぱいの安心を覚えた。
―――これからは、ずっと一緒。
春の風がまた桜の花びらを舞わせて、二人を祝福するかのように降り注いだ。
嬉しそうに手塚と並んであるくさくら。
彼女の笑顔は春の光みたいに明るく、桜吹雪の中でとても映えていた。
そんな手塚とさくらを遠くから見ている二人組がいた。
上級生で手塚の部活仲間である、不二周助と菊丸英二。
「ん?手塚と一緒にいるあの子……」
菊丸が小声で呟き、首を傾げる。
「……新入生だね。雰囲気からして」
不二は目を細めて、いつもの柔らかな笑みを浮かべる。
菊丸は「へぇ~」と口笛を吹きそうになったが、
結局そのまま何も言わず、不二と並んで歩き去っていった。
ただ一瞬、二人の視線に気づいた手塚が、ちらりと目をやったが、何も言わなかった。
そして、さくらは気づかないまま、手塚の隣で嬉しそうにストラップを握りしめいた。
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