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部活が始まる少し前。
校庭に差し込む午後の光が、いつもよりまぶしく感じた。
それは多分、[#dn=#3]の心がくしゃっと潰れてしまいそうだったからだ。
今日は、うまく笑えなかった。
涙でいっぱいになって、堪忍袋の緒が切れて。
みんなの前で、マネージャーとして動いているつもりなのに……。
何かひとつ歯車がずれたみたいに、
全部がなにかぼやけていた。
『[#dn=#3]、部活前に話がある』
スマホに一通のメッセージ。
それは、手塚国光からだった。
まるで手塚が本当にそこにいるようで。
絶対に逆らえない声で、手塚が呼んでるような気がした。
[#dn=#3]は呼び出された、部室横の倉庫に行く。
人が入らない静かな場所。
そこに手塚は立っていた。
扉が閉まると同時に、空気がふっと変わった。
さっきまで周りから聞こえていた部員の声も、
ボールのコツンという音も、
全部遠くに行く。
「……[#dn=#3]」
手塚の声が、すぐ近くで響いた。
顔を上げる前に、
腕が伸びてくる気配を感じた。
――気配だけでわかるなんて、自分でもどうかと思うけれど。
わたしは、ずっと昔から国ちゃんのこと見てきた。誰よりも。
気づいたときには、胸に抱き寄せられていた。
「……っ!」
息が詰まるくらい、しっかり。
でも、痛くはない。
温かくて、優しくて。
[#dn=#3]の心の傷を全部包み込むみたいに抱きしめられた。
「泣いていい。全部受け止める」
その一言で、喉が震えた。
ずっと張りつめていた糸が、ぷつん、
と切れる音がした。
涙が勝手に零れた。
「……ごめん、なさい……っ」
「謝る必要はない。悪いのはお前をからかったあいつらだ」
手塚の手が、背中をゆっくり撫でてくれる。
その優しさに触れた瞬間、胸の奥にしまいこもうとしていた感情が溢れた。
「ただ……国ちゃんの……役に立ちたかったの……」
声が震える。
鼻もつまって、泣き声みたいになってしまう。
「そばに、居たかっただけなの……っ」
ずっと、ずっと。
手塚の横に立っていたくて。
力になりたくて。
少しでも支えられたらって……。
それだけだったのに。
「なのに、みんながからかって、面白がって……」
「[#dn=#3]」
名前を呼ばれる声は、いつもより少しだけ甘くて、
それがまた胸を締めつける。
「俺は、役に立ってほしいからお前をそばに置いたわけじゃない」
ぽん、と軽く頭に手を置かれた。
「お前が望んだから、そして俺も望んだから、そばにいるんだ。それだけだ」
涙が、またあふれた。
――どうしてそんな風に言えるの?
――どうしてわたしの心が欲しい言葉を全部くれるの。
「……っ、国ちゃん……」
「泣くな。……ここにいる」
抱きしめる力が、少しだけ強くなる。
胸の奥が暖かく光った。
ぼうっと、柔らかい光が[#dn=#3]の胸から立ちのぼる。
ふわりと漂い、[#dn=#3]の頭上に形を取り始める。
ふたつの魔力の気配。
だが、今は手塚もそばにいるため、封印はできない。
「[#dn=#3]。……大丈夫か」
手塚の指がそっと頬を拭った。
涙の跡を指先でなぞられるたび、
胸がくすぐったくなって、
顔が熱くなる。
「うん……大丈夫……」
さっきまで胸の奥にあった重たい痛みは、どこにもなかった。
代わりにあるのは、
手塚の腕の安心と、
これから生まれようとしているカードの優しい光だけ。
「……ありがとう。国ちゃん」
抱きしめ返すと、
手塚も静かに息を吐いて、
[#dn=#3]の頭に手を置いた。
「無理はするな。[#dn=#3]は[#dn=#3]のままでいい」
その言葉が胸に染みて、
また涙が少し零れそうになったけれど。
今度の涙は、さっきみたいに苦しくない。
嬉しくて、あたたかくて、しあわせな涙。
「……国ちゃんのそばにいたいの。ずっと」
言葉は震えていたけど、心からの本音だった。
手塚は少しだけ固まったあと、
ほんの一瞬だけ、抱きしめる力を強くした。
「……ああ。……離れない」
静かで、けれど強くて、
心の奥まで響く声。
「国ちゃん、先に部活行ってて」
「[#dn=#3]?」
不思議に思いつつも、手塚は[#dn=#3]の言うとおり、先に部活へと向かった。
手塚の姿が見えなくなると、[#dn=#3]は夢の鍵を取り出した。
「夢の力を秘めし鍵よ、真の姿を我の前に示せ――。封印解除!」
鍵が杖へと変化する。
[#dn=#3]は、それを取るとくるくると杖を回した。
そして、頭上の結晶に杖を向けた。
「主なきものよ、夢の杖のもと、我の力となれ――。固着(セキュア)!」
結晶が弾けると、さくらのもとに2枚のカードが舞い降りた。
『支援』『SUPPORT』
『奉仕』『SERVICE』
ふたつのカードは、どちらも優しかった。
[#dn=#3]の気持ちを、そのまま映したようなあたたかな光を持っていた。
"国ちゃんの役に立ちたい"
"国ちゃんのそばで力になりたい"
そんな小さな願いが、カードの姿になったのだった――。
校庭に差し込む午後の光が、いつもよりまぶしく感じた。
それは多分、[#dn=#3]の心がくしゃっと潰れてしまいそうだったからだ。
今日は、うまく笑えなかった。
涙でいっぱいになって、堪忍袋の緒が切れて。
みんなの前で、マネージャーとして動いているつもりなのに……。
何かひとつ歯車がずれたみたいに、
全部がなにかぼやけていた。
『[#dn=#3]、部活前に話がある』
スマホに一通のメッセージ。
それは、手塚国光からだった。
まるで手塚が本当にそこにいるようで。
絶対に逆らえない声で、手塚が呼んでるような気がした。
[#dn=#3]は呼び出された、部室横の倉庫に行く。
人が入らない静かな場所。
そこに手塚は立っていた。
扉が閉まると同時に、空気がふっと変わった。
さっきまで周りから聞こえていた部員の声も、
ボールのコツンという音も、
全部遠くに行く。
「……[#dn=#3]」
手塚の声が、すぐ近くで響いた。
顔を上げる前に、
腕が伸びてくる気配を感じた。
――気配だけでわかるなんて、自分でもどうかと思うけれど。
わたしは、ずっと昔から国ちゃんのこと見てきた。誰よりも。
気づいたときには、胸に抱き寄せられていた。
「……っ!」
息が詰まるくらい、しっかり。
でも、痛くはない。
温かくて、優しくて。
[#dn=#3]の心の傷を全部包み込むみたいに抱きしめられた。
「泣いていい。全部受け止める」
その一言で、喉が震えた。
ずっと張りつめていた糸が、ぷつん、
と切れる音がした。
涙が勝手に零れた。
「……ごめん、なさい……っ」
「謝る必要はない。悪いのはお前をからかったあいつらだ」
手塚の手が、背中をゆっくり撫でてくれる。
その優しさに触れた瞬間、胸の奥にしまいこもうとしていた感情が溢れた。
「ただ……国ちゃんの……役に立ちたかったの……」
声が震える。
鼻もつまって、泣き声みたいになってしまう。
「そばに、居たかっただけなの……っ」
ずっと、ずっと。
手塚の横に立っていたくて。
力になりたくて。
少しでも支えられたらって……。
それだけだったのに。
「なのに、みんながからかって、面白がって……」
「[#dn=#3]」
名前を呼ばれる声は、いつもより少しだけ甘くて、
それがまた胸を締めつける。
「俺は、役に立ってほしいからお前をそばに置いたわけじゃない」
ぽん、と軽く頭に手を置かれた。
「お前が望んだから、そして俺も望んだから、そばにいるんだ。それだけだ」
涙が、またあふれた。
――どうしてそんな風に言えるの?
――どうしてわたしの心が欲しい言葉を全部くれるの。
「……っ、国ちゃん……」
「泣くな。……ここにいる」
抱きしめる力が、少しだけ強くなる。
胸の奥が暖かく光った。
ぼうっと、柔らかい光が[#dn=#3]の胸から立ちのぼる。
ふわりと漂い、[#dn=#3]の頭上に形を取り始める。
ふたつの魔力の気配。
だが、今は手塚もそばにいるため、封印はできない。
「[#dn=#3]。……大丈夫か」
手塚の指がそっと頬を拭った。
涙の跡を指先でなぞられるたび、
胸がくすぐったくなって、
顔が熱くなる。
「うん……大丈夫……」
さっきまで胸の奥にあった重たい痛みは、どこにもなかった。
代わりにあるのは、
手塚の腕の安心と、
これから生まれようとしているカードの優しい光だけ。
「……ありがとう。国ちゃん」
抱きしめ返すと、
手塚も静かに息を吐いて、
[#dn=#3]の頭に手を置いた。
「無理はするな。[#dn=#3]は[#dn=#3]のままでいい」
その言葉が胸に染みて、
また涙が少し零れそうになったけれど。
今度の涙は、さっきみたいに苦しくない。
嬉しくて、あたたかくて、しあわせな涙。
「……国ちゃんのそばにいたいの。ずっと」
言葉は震えていたけど、心からの本音だった。
手塚は少しだけ固まったあと、
ほんの一瞬だけ、抱きしめる力を強くした。
「……ああ。……離れない」
静かで、けれど強くて、
心の奥まで響く声。
「国ちゃん、先に部活行ってて」
「[#dn=#3]?」
不思議に思いつつも、手塚は[#dn=#3]の言うとおり、先に部活へと向かった。
手塚の姿が見えなくなると、[#dn=#3]は夢の鍵を取り出した。
「夢の力を秘めし鍵よ、真の姿を我の前に示せ――。封印解除!」
鍵が杖へと変化する。
[#dn=#3]は、それを取るとくるくると杖を回した。
そして、頭上の結晶に杖を向けた。
「主なきものよ、夢の杖のもと、我の力となれ――。固着(セキュア)!」
結晶が弾けると、さくらのもとに2枚のカードが舞い降りた。
『支援』『SUPPORT』
『奉仕』『SERVICE』
ふたつのカードは、どちらも優しかった。
[#dn=#3]の気持ちを、そのまま映したようなあたたかな光を持っていた。
"国ちゃんの役に立ちたい"
"国ちゃんのそばで力になりたい"
そんな小さな願いが、カードの姿になったのだった――。