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朝の光がまだ柔らかく、東の空を金色に染めていた。
窓から差し込む光が、[#dn=#3]の頬をそっと照らす。
「……朝練、かぁ」
鏡の前で髪を整えながら、小さく呟く。
昨日の涙の跡はまだあるけど、部室に制服を忘れてきたため、
部活に行かなくてはならない。
胸の奥がまだ少し痛んでいる。
机の上には、朝封印した哀涙のカードが置かれている。
準備の間だけ、置いておいたのだ。
淡い光を帯びたまま、まるで"泣かないで"と
語りかけてくるようだった。
「だいじょうぶ、だいじょうぶだよ」
小さく微笑んで鞄にカードをしまう。
その時、窓際からひょこっと小さな影が顔を出した。
「しろちゃん?」
「今日はボクも行く」
「え?」
「昨日のこともあるし、心配なんだ。
何があっても、ボクがそばにいる」
しろちゃんの真っすぐな瞳に、[#dn=#3]はふっと笑った。
「うん、ありがとう。……じゃあ、一緒に行こっか」
その言葉に白い羽がふわりと舞う。
しろちゃんは[#dn=#3]の肩に乗り、
朝の光の中へ飛び出していった。
―――――
校門をくぐった瞬間――。
[#dn=#3]は空気の違いに気づいた。
(……なんか、重い)
いつもなら元気な掛け声が聞こえる時間。
けれど、今日はどこか沈黙が漂っている。
コートの奥では、レギュラー陣が無言でストレッチをしていた。
桃城も菊丸も、いつものような騒がしさがない。
不二と大石は視線を交わし、何かを話している。
(……みんな、昨日のこと……)
胸がぎゅっと締め付けられる。
でも、立ち止まってはいられない。
「おはようございます!」
いつも通りの笑顔で挨拶する。
けれど、返ってくる声はどこかぎこちない。
「……おはよう、[#dn=#1]」
「お、おう……」
その空気を振り払うように、
[#dn=#3]はタオルを取りに走り出した。
「今日はちゃんと仕事しなきゃ……」
だけど、通り抜けようとした瞬間――。
「[#dn=#3]ちゃん」
不二が、そっと腕を掴んだ。
「昨日、どこにいたの?」
その言葉に、周囲が息をのむ。
「え……」
「急に消えて、手塚が探してた。
心配したんだよ」
優しい声。
でも、それが今の[#dn=#3]には、
胸の奥を突き刺すように痛かった。
「……どうして、そんなこと聞くんですか?」
「どうしてって……」
「どうして、みんな……そんな風にわたしを見てくるんですか?」
声が震える。
握られた腕が小さく震えている。
不二の目が驚きに見開かれた。
もう、限界だった。
「好きになっちゃ、だめなの?」
その一言が、静寂を切り裂いた。
「そばにいたいって思っちゃ、だめなの?
これからも、この先も……ずっと、"国ちゃん"
のことを思い続けちゃ、いけないの?」
言葉が次々とあふれだす。
胸にため込んでいた感情が、もう抑えられなかった。
「"特別扱い"とか、"姫"とか……そんな風に言われるの、もう嫌なの!
わたし、そんな風にしてもらってない!
わたしが勝手に、国ちゃんのことを――。
好きになったの!」
涙が頬を伝い、落ちる。
風が吹いても、その涙は止まらない。
「部長だからとか、強いからとか、そんな理由じゃない!
わたしにとって国ちゃんは……"一番大事な人"なの!
どうして、それを笑うの!?
どうして、それを馬鹿にするの!?」
部員たちは誰も言葉を発せなかった。
[#dn=#3]の声だけがコート中に響いた。
「わたしの"気持ち"で遊ばないでっ!」
叫びと同時に、空気が揺れた。
風がざわりと立ち上がる。
結界のような波がさくらの周囲に広がり、
涙の粒が光に変わって舞う。
哀涙のカードがポケットの中で反応していた。
それはまるで、主の想いを護るように。
しろちゃんが上空で羽を広げ、静かに見守っている。
「ボクが張った結界……でも、これはもう、[#dn=#3]自身の力だね」
誰にも聞こえない声が風に溶けた。
――――――
コートの隅で見ていた手塚は、
静かに歩き出した。
誰も止められなかった。
彼の足取りは、まるで決意のように確かだった。
「[#dn=#3]」
その声に、さくらはハッと顔を上げた。
涙でぼやけた視界の向こう。
真っすぐな瞳が自分を見つめていた。
「……っ、国ちゃん……」
手塚は何も言わず、彼女のもとに歩み寄ると――。
そっとその小さな体を抱きしめた。
驚きの声が上がる。
けれど、それも一瞬で消えた。
彼の腕は、確かに優しく、
けれど強く彼女を包み込んでいた。
「……もう、いい」
短い言葉。
けれど、それだけで十分だった。
胸の奥に溜まっていた悲しみが、溶けていくようだった。
「みんなに、どう思われてもいい。
お前の"気持ち"は、俺が一番よくわかっている」
[#dn=#3]の涙がまた溢れる。
本当に、どうしていいのかわからない。
ただ、言えるのは、手塚が自分のことを一番理解してくれている――。
それだけだった。
窓から差し込む光が、[#dn=#3]の頬をそっと照らす。
「……朝練、かぁ」
鏡の前で髪を整えながら、小さく呟く。
昨日の涙の跡はまだあるけど、部室に制服を忘れてきたため、
部活に行かなくてはならない。
胸の奥がまだ少し痛んでいる。
机の上には、朝封印した哀涙のカードが置かれている。
準備の間だけ、置いておいたのだ。
淡い光を帯びたまま、まるで"泣かないで"と
語りかけてくるようだった。
「だいじょうぶ、だいじょうぶだよ」
小さく微笑んで鞄にカードをしまう。
その時、窓際からひょこっと小さな影が顔を出した。
「しろちゃん?」
「今日はボクも行く」
「え?」
「昨日のこともあるし、心配なんだ。
何があっても、ボクがそばにいる」
しろちゃんの真っすぐな瞳に、[#dn=#3]はふっと笑った。
「うん、ありがとう。……じゃあ、一緒に行こっか」
その言葉に白い羽がふわりと舞う。
しろちゃんは[#dn=#3]の肩に乗り、
朝の光の中へ飛び出していった。
―――――
校門をくぐった瞬間――。
[#dn=#3]は空気の違いに気づいた。
(……なんか、重い)
いつもなら元気な掛け声が聞こえる時間。
けれど、今日はどこか沈黙が漂っている。
コートの奥では、レギュラー陣が無言でストレッチをしていた。
桃城も菊丸も、いつものような騒がしさがない。
不二と大石は視線を交わし、何かを話している。
(……みんな、昨日のこと……)
胸がぎゅっと締め付けられる。
でも、立ち止まってはいられない。
「おはようございます!」
いつも通りの笑顔で挨拶する。
けれど、返ってくる声はどこかぎこちない。
「……おはよう、[#dn=#1]」
「お、おう……」
その空気を振り払うように、
[#dn=#3]はタオルを取りに走り出した。
「今日はちゃんと仕事しなきゃ……」
だけど、通り抜けようとした瞬間――。
「[#dn=#3]ちゃん」
不二が、そっと腕を掴んだ。
「昨日、どこにいたの?」
その言葉に、周囲が息をのむ。
「え……」
「急に消えて、手塚が探してた。
心配したんだよ」
優しい声。
でも、それが今の[#dn=#3]には、
胸の奥を突き刺すように痛かった。
「……どうして、そんなこと聞くんですか?」
「どうしてって……」
「どうして、みんな……そんな風にわたしを見てくるんですか?」
声が震える。
握られた腕が小さく震えている。
不二の目が驚きに見開かれた。
もう、限界だった。
「好きになっちゃ、だめなの?」
その一言が、静寂を切り裂いた。
「そばにいたいって思っちゃ、だめなの?
これからも、この先も……ずっと、"国ちゃん"
のことを思い続けちゃ、いけないの?」
言葉が次々とあふれだす。
胸にため込んでいた感情が、もう抑えられなかった。
「"特別扱い"とか、"姫"とか……そんな風に言われるの、もう嫌なの!
わたし、そんな風にしてもらってない!
わたしが勝手に、国ちゃんのことを――。
好きになったの!」
涙が頬を伝い、落ちる。
風が吹いても、その涙は止まらない。
「部長だからとか、強いからとか、そんな理由じゃない!
わたしにとって国ちゃんは……"一番大事な人"なの!
どうして、それを笑うの!?
どうして、それを馬鹿にするの!?」
部員たちは誰も言葉を発せなかった。
[#dn=#3]の声だけがコート中に響いた。
「わたしの"気持ち"で遊ばないでっ!」
叫びと同時に、空気が揺れた。
風がざわりと立ち上がる。
結界のような波がさくらの周囲に広がり、
涙の粒が光に変わって舞う。
哀涙のカードがポケットの中で反応していた。
それはまるで、主の想いを護るように。
しろちゃんが上空で羽を広げ、静かに見守っている。
「ボクが張った結界……でも、これはもう、[#dn=#3]自身の力だね」
誰にも聞こえない声が風に溶けた。
――――――
コートの隅で見ていた手塚は、
静かに歩き出した。
誰も止められなかった。
彼の足取りは、まるで決意のように確かだった。
「[#dn=#3]」
その声に、さくらはハッと顔を上げた。
涙でぼやけた視界の向こう。
真っすぐな瞳が自分を見つめていた。
「……っ、国ちゃん……」
手塚は何も言わず、彼女のもとに歩み寄ると――。
そっとその小さな体を抱きしめた。
驚きの声が上がる。
けれど、それも一瞬で消えた。
彼の腕は、確かに優しく、
けれど強く彼女を包み込んでいた。
「……もう、いい」
短い言葉。
けれど、それだけで十分だった。
胸の奥に溜まっていた悲しみが、溶けていくようだった。
「みんなに、どう思われてもいい。
お前の"気持ち"は、俺が一番よくわかっている」
[#dn=#3]の涙がまた溢れる。
本当に、どうしていいのかわからない。
ただ、言えるのは、手塚が自分のことを一番理解してくれている――。
それだけだった。