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昼休みのチャイムが鳴る。
春の陽射しに照らされたテニスコートは、
いつもより穏やかで、心地よい風が吹いていた。
乾はストップウォッチを片手に、データを整理し、
桃城と海堂は軽くラリーを続けている。
部活の合間に、さくらはマネージャーとしてタオルを干したり、
水筒を並べたり、忙しく動き回っていた。
「ん?」
ふと、耳の奥で小さな"ジー、ジー"と言う音がした。
それは時計のように一定のリズムで、
しかしどこから聞こえてくるのかわからない。
最初は気のせいかと思ったが、
動くたびにその音がついてくるようだった。
「……なに、この音……?」
振り向いても、そこには誰もいない。
でも確かに、"誰かに見られている"気配がする。
「さくら?」
背後から手塚の声。
「大丈夫か」
「う、うん……ちょっと、変な音がして……」
「……そうか。無理はするな」
手塚の短い言葉に小さく頷く。
けれど、その"音"は止まらない。
どころか、まるで彼女の後ろを追うように、
少しずつ近づいてくる。
"ジー、ジー、ジー……"
(ついてきてる……?)
しろちゃんの声が心に響く
「さくら、気を付けて。魔力の反応があるよ。
さっきからずっとさくらの周りに」
(やっぱり……!)
けれど、今は部員たちの前。
杖は出せない。
(放課後まで……待てるかな……)
その時、風がふっと吹いた。
さくらの髪が揺れ、頬をかすめる。
「あれ……?魔力の気配、なくなった?」
さくらはきょろきょろとあたりを見回すが、
部員たちしかいなかった。
―――――
昼休みの終わりが近づくころ。
さくらはタオルを片付けようと部室裏へ向かっていた。
その途中――。
ふわり、と背中を撫でる風。
そして、また"ジー、ジー"という音。
「見つけた……!」
夢の鍵を握る。
(みんなに見られないように……ここで!)
「夢の力を秘めし鍵よ、真の姿を我の前に示せ―――。封印解除!」
淡い光が広がり、杖が現れる。
さくらは杖を取り、くるくると回した。
その瞬間だった――。
そこに淡い光をまとった"リボン"のようなものが舞っていた。
両端にひらひらとした羽のような布をつけ、
まるで蝶のように揺れている。
「待って!逃げないで!」
さくらが追いかけると、リボンは風を切って飛んでいく。
まるで誘うように。
コートの外、校舎の裏へ、
春風の中を走り抜ける。
「はぁ……っ、まってぇ!」
リボンは陽の光を浴びて、七色に輝いていた。
でも、触れようとすると、するりと逃げる。
"捕まえよう"とすればするほど、遠ざかる。
(どうして……)
さくらは立ち止まり、息を整えた。
ふわりと風が吹き、さくらの花びらが頬をかすめる。
(無理に捕まえるから、怖がらせちゃってるんだ……)
そっと手を胸に当てて、微笑む。
「……良いよ。無理に捕まえようとしない。
あなたと、仲良くなれたら――それでいいの」
風が止んだ。
リボンがふわふわと降りてくる。
まるで、その言葉を待っていたかのように。
やがて、その形が変わり始めた。
両端のリボンがひとつに結ばれ、
中央に光に結晶が生まれる。
蝶のように羽ばたくその姿で、さくらの目の前へとやってきた。
「ありがとう!」
さくらは微笑むと、杖をリボンにかざした。
「主なきものよ、夢の杖のもと、我の力となれ――固着(セキュア)!」
結晶がカードになり、さくらの手元へ降りてきた。
『飛翔』『FLIGHT』
「……フライト……」
さくらが名を呼ぶと、カードの光が柔らかく光る。
翼が一度大きく羽ばたき、
周囲の風が一気に浄化された。
その時、空の上で"ジー、ジー"という音。
「飛翔―FLIGHT―!」
さくらはフライトのカードを使って空中に飛んだ。
音の方で杖をかざす。
「主なきものよ、夢の杖のもと、我の力となれ――固着(セキュア)!」
再び、結晶化したカードがさくらの手元に。
『記録』『RECORD』
「レコード!やっぱりついてきてたんだね」
「そうみたいだね。このカード達、便利そうだね」
「ふふ、そうだね」
さくらはカードを胸に抱き、優しく微笑んだ。
風が再び吹き抜け、髪が緩やかに揺れる。
その風の中でレコードのカードがかすかに光を放った。
――まるで、"この瞬間"を、また記録しているように。
春の陽射しに照らされたテニスコートは、
いつもより穏やかで、心地よい風が吹いていた。
乾はストップウォッチを片手に、データを整理し、
桃城と海堂は軽くラリーを続けている。
部活の合間に、さくらはマネージャーとしてタオルを干したり、
水筒を並べたり、忙しく動き回っていた。
「ん?」
ふと、耳の奥で小さな"ジー、ジー"と言う音がした。
それは時計のように一定のリズムで、
しかしどこから聞こえてくるのかわからない。
最初は気のせいかと思ったが、
動くたびにその音がついてくるようだった。
「……なに、この音……?」
振り向いても、そこには誰もいない。
でも確かに、"誰かに見られている"気配がする。
「さくら?」
背後から手塚の声。
「大丈夫か」
「う、うん……ちょっと、変な音がして……」
「……そうか。無理はするな」
手塚の短い言葉に小さく頷く。
けれど、その"音"は止まらない。
どころか、まるで彼女の後ろを追うように、
少しずつ近づいてくる。
"ジー、ジー、ジー……"
(ついてきてる……?)
しろちゃんの声が心に響く
「さくら、気を付けて。魔力の反応があるよ。
さっきからずっとさくらの周りに」
(やっぱり……!)
けれど、今は部員たちの前。
杖は出せない。
(放課後まで……待てるかな……)
その時、風がふっと吹いた。
さくらの髪が揺れ、頬をかすめる。
「あれ……?魔力の気配、なくなった?」
さくらはきょろきょろとあたりを見回すが、
部員たちしかいなかった。
―――――
昼休みの終わりが近づくころ。
さくらはタオルを片付けようと部室裏へ向かっていた。
その途中――。
ふわり、と背中を撫でる風。
そして、また"ジー、ジー"という音。
「見つけた……!」
夢の鍵を握る。
(みんなに見られないように……ここで!)
「夢の力を秘めし鍵よ、真の姿を我の前に示せ―――。封印解除!」
淡い光が広がり、杖が現れる。
さくらは杖を取り、くるくると回した。
その瞬間だった――。
そこに淡い光をまとった"リボン"のようなものが舞っていた。
両端にひらひらとした羽のような布をつけ、
まるで蝶のように揺れている。
「待って!逃げないで!」
さくらが追いかけると、リボンは風を切って飛んでいく。
まるで誘うように。
コートの外、校舎の裏へ、
春風の中を走り抜ける。
「はぁ……っ、まってぇ!」
リボンは陽の光を浴びて、七色に輝いていた。
でも、触れようとすると、するりと逃げる。
"捕まえよう"とすればするほど、遠ざかる。
(どうして……)
さくらは立ち止まり、息を整えた。
ふわりと風が吹き、さくらの花びらが頬をかすめる。
(無理に捕まえるから、怖がらせちゃってるんだ……)
そっと手を胸に当てて、微笑む。
「……良いよ。無理に捕まえようとしない。
あなたと、仲良くなれたら――それでいいの」
風が止んだ。
リボンがふわふわと降りてくる。
まるで、その言葉を待っていたかのように。
やがて、その形が変わり始めた。
両端のリボンがひとつに結ばれ、
中央に光に結晶が生まれる。
蝶のように羽ばたくその姿で、さくらの目の前へとやってきた。
「ありがとう!」
さくらは微笑むと、杖をリボンにかざした。
「主なきものよ、夢の杖のもと、我の力となれ――固着(セキュア)!」
結晶がカードになり、さくらの手元へ降りてきた。
『飛翔』『FLIGHT』
「……フライト……」
さくらが名を呼ぶと、カードの光が柔らかく光る。
翼が一度大きく羽ばたき、
周囲の風が一気に浄化された。
その時、空の上で"ジー、ジー"という音。
「飛翔―FLIGHT―!」
さくらはフライトのカードを使って空中に飛んだ。
音の方で杖をかざす。
「主なきものよ、夢の杖のもと、我の力となれ――固着(セキュア)!」
再び、結晶化したカードがさくらの手元に。
『記録』『RECORD』
「レコード!やっぱりついてきてたんだね」
「そうみたいだね。このカード達、便利そうだね」
「ふふ、そうだね」
さくらはカードを胸に抱き、優しく微笑んだ。
風が再び吹き抜け、髪が緩やかに揺れる。
その風の中でレコードのカードがかすかに光を放った。
――まるで、"この瞬間"を、また記録しているように。