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春の空気が少し暖かくなってきた放課後。
体育館には、笑い声とスニーカーの音が響いていた。
「次、木之本さーん!」
「はーいっ!」
さくらは元気いっぱいに返事をして、握力計を握りしめた。
―――ぎゅぅぅぅぅぅ
「……え?50キロ?」
クラスメイトのざわめきが広がる。
「嘘だろ、木之本さんって見た目ちっちゃいのに……」
「ジャンプ力もすごかったよな……」
走っても、跳んでも、測っても――。
どれも平均値を大きく上回る結果。
もちろん、魔力なんて使っていない。
それでも、身体が"自然に反応して"しまう。
(あれ……なんか、前より軽い……)
(でも、これがわたしの普通……だよね?)
測定表を見た先生が首を傾げ、
友達目を丸くして笑う。
「さくらちゃん、スポーツ万能じゃん!」
「え、えへへ……そんなことないよ~」
照れ笑いでごまかすさくら。
けれど、その笑顔の中に、
少しだけ"自分でも気づかぬ力"への戸惑いが混じっていた。
―――――
下校のチャイムが鳴るころ、
空がゆっくりと灰色に染まり始めた。
ぽつ……ぽつ……。
「……雨?」
傘を持っていなかったさくらは、急いで鞄を抱えて校門を出る。
(国ちゃんは、生徒会かぁ……。今日、部活ないんだ……)
桜並木の下、ぽつぽつと降り始めた雨が、
やがて静かな音を立てて降りしきる。
傘もなく、でもどこか穏やかに。
頬に落ちる雨粒を手で拭いながら、
さくらはふと空を見上げた。
「……不思議だな。泣いてないのに、涙みたいにあったかい」
灰色の雲の向こう、
ほんの少しだけ陽の光が射していた。
まるで、誰かが優しく見守っているみたいに。
――――
帰り道。
灰色の空の下、さくらは桜並木を抜け、
青春台公園の前を通りかかった。
雨は、昼からずっと降り続いている。
冷たいはずなのに――どこか、胸の奥がざわつくような感覚。
「……この雨、ずっと止まないね」
傘の下で呟くと、肩のポケットからしろちゃんの声が響いた。
「さくら、感じる?この気配……」
「うん……間違いない。カードの気配だよ!」
風が一瞬止み、公園の方のから、低い"うねり"のような音が響いた。
夢の鍵が光り、さくらはそれを手に取った。
「カードの気配、ちゃんとあるんだね」
ごぉぉぉぉぉ
噴水から水が襲い掛かってくる。
さくらはそれをかわして走りながら、呪文を唱えた。
「夢の力を秘めし鍵よ、真の姿を我の前に示せ―――封印解除!」
次の瞬間、水につかまる。
「くっ……このままじゃ……」
足掻くさくらのポケットから一枚のカードが光りだした。
「あっ、疾風―GAIL―」
そう呼ばれた疾風は、風の刃を作り、水を切った。
身体の自由を取り戻したさくらは、
噴水の方を見て走り出した。
「さくら、あの源を囲んで封印するんだ!」
「わかった!」
さくらはカードを出して、構えた。
「この水の源を包み込め。包囲―SIEGE―」
さくらの命令と共に、包囲は水の源を包み込んだ。
「主なきものよ、夢の杖のもと、我の力となれ――固着(セキュア)!」
カードはパリパリとガラスのようなものに包まれて、1枚のカードになった。
そこには、水のような鳥のイラストと――。
『水源』『AQUA』
と書かれていた。
気が付くと、雨は上がり、雲から陽が射していた。
「雨、止んだね」
「そうだね」
そう言いながら、さくらはしろちゃんと一緒に帰路に着いたのだった。
―――――
その夜。
静かな月明かりが、カーテンの隙間から机の上を照らしていた。
さくらはノートを開き、ペンを握る。
今日も"国ちゃんとの幸せ日記"の時間だ。
『雨が止んで、空がきれい。
今日も色んなことがあったけど、
最後はちゃんと笑えた。
……でもね。
今はただ、国ちゃんに会いたい。
声を聞きたい。
一緒にいたい――そう思ってる』
ペン先が止まり、さくらは机に頬をのせた。
「……国ちゃん、何してるのかな……」
ふと、窓の外の星の見上げてつぶやいた瞬間――。
胸の奥で"キラリ"と光が弾けた。
「さくら……それ、魔力の反応だよ」
しろちゃんの声が響く。
「えっ……?」
ノートの上に、淡いピンク色の光が集まっていく。
さくらは鍵を取り出し、呪文を唱えた。
「―――封印解除!主なきものよ、夢の杖のもと、我の力となれ。――固着(セキュア)!」
一枚のカードがさくらの手元に吸い込まれていく。
『願望』『DESIRE』
カードの中では、
手を伸ばそうとする少女の姿が描かれている。
その手は、誰かを求めるように――。
真っすぐに。
「……"DESIRE(願望)"……
……国ちゃんに会いたいって思ったから……?」
次の瞬間。
――♪♪♪
携帯が震えた。
画面には、またあの名前。
手塚国光。
「……!」
慌てて電話を取る。
「……さくらか?」
「国ちゃん……!」
一瞬で涙がこみ上げる。
さくらは、声が震えるのを押さえながら言った。
「今ね……国ちゃんに会いたいって思ってたの……!」
少し沈黙があって、
電話の向こうで、低い声が返ってきた。
「俺もだ」
たった一言。
けれど、その言葉が胸の奥に深く響いた。
「何故か……無性に声が聞きたくなって、電話をした」
さくらは胸元を押さえる。
そこから、淡い光が溢れていた。
「……この光、国ちゃんの声と同じ……。国ちゃん、ちょっと待っててね」
さくらは通話をミュートにし、杖を光の方へ構えた。
「主なきものよ、夢の杖のもと、我の力となれ――。固着(セキュア)!」
カードがもう一枚、さくらの手中に入る。
結晶を手にした男女が描かれ、
互いに向かい合いながら同じ光を放っていた。
『呼応』『SYNCHRONIZE』
「……"呼応"……」
さくらはカードを見つめながら、ミュートを外した。
「お待たせ、国ちゃん。……国ちゃん……わたしね、嬉しい。
こうして声を聞けるだけで、心が温かくなるの……」
「俺もだ」
短い沈黙。
でも、互いの鼓動が確かに繋がっていた。
「おやすみ、国ちゃん」
「おやすみ、さくら」
通話が切れると同時に、
窓の外で星がひときわ強く瞬いた。
「さくら、これは……おそらく"心の同調"のカードだ。
君の願い、と国ちゃんの想いが重なったから生まれたんだよ」
机の上には、
『DESIRE(願望)』と『SYNCHRONIZE(呼応)』の二枚が並び、
まるで"恋人たち"のように静かに寄り添っていた。
体育館には、笑い声とスニーカーの音が響いていた。
「次、木之本さーん!」
「はーいっ!」
さくらは元気いっぱいに返事をして、握力計を握りしめた。
―――ぎゅぅぅぅぅぅ
「……え?50キロ?」
クラスメイトのざわめきが広がる。
「嘘だろ、木之本さんって見た目ちっちゃいのに……」
「ジャンプ力もすごかったよな……」
走っても、跳んでも、測っても――。
どれも平均値を大きく上回る結果。
もちろん、魔力なんて使っていない。
それでも、身体が"自然に反応して"しまう。
(あれ……なんか、前より軽い……)
(でも、これがわたしの普通……だよね?)
測定表を見た先生が首を傾げ、
友達目を丸くして笑う。
「さくらちゃん、スポーツ万能じゃん!」
「え、えへへ……そんなことないよ~」
照れ笑いでごまかすさくら。
けれど、その笑顔の中に、
少しだけ"自分でも気づかぬ力"への戸惑いが混じっていた。
―――――
下校のチャイムが鳴るころ、
空がゆっくりと灰色に染まり始めた。
ぽつ……ぽつ……。
「……雨?」
傘を持っていなかったさくらは、急いで鞄を抱えて校門を出る。
(国ちゃんは、生徒会かぁ……。今日、部活ないんだ……)
桜並木の下、ぽつぽつと降り始めた雨が、
やがて静かな音を立てて降りしきる。
傘もなく、でもどこか穏やかに。
頬に落ちる雨粒を手で拭いながら、
さくらはふと空を見上げた。
「……不思議だな。泣いてないのに、涙みたいにあったかい」
灰色の雲の向こう、
ほんの少しだけ陽の光が射していた。
まるで、誰かが優しく見守っているみたいに。
――――
帰り道。
灰色の空の下、さくらは桜並木を抜け、
青春台公園の前を通りかかった。
雨は、昼からずっと降り続いている。
冷たいはずなのに――どこか、胸の奥がざわつくような感覚。
「……この雨、ずっと止まないね」
傘の下で呟くと、肩のポケットからしろちゃんの声が響いた。
「さくら、感じる?この気配……」
「うん……間違いない。カードの気配だよ!」
風が一瞬止み、公園の方のから、低い"うねり"のような音が響いた。
夢の鍵が光り、さくらはそれを手に取った。
「カードの気配、ちゃんとあるんだね」
ごぉぉぉぉぉ
噴水から水が襲い掛かってくる。
さくらはそれをかわして走りながら、呪文を唱えた。
「夢の力を秘めし鍵よ、真の姿を我の前に示せ―――封印解除!」
次の瞬間、水につかまる。
「くっ……このままじゃ……」
足掻くさくらのポケットから一枚のカードが光りだした。
「あっ、疾風―GAIL―」
そう呼ばれた疾風は、風の刃を作り、水を切った。
身体の自由を取り戻したさくらは、
噴水の方を見て走り出した。
「さくら、あの源を囲んで封印するんだ!」
「わかった!」
さくらはカードを出して、構えた。
「この水の源を包み込め。包囲―SIEGE―」
さくらの命令と共に、包囲は水の源を包み込んだ。
「主なきものよ、夢の杖のもと、我の力となれ――固着(セキュア)!」
カードはパリパリとガラスのようなものに包まれて、1枚のカードになった。
そこには、水のような鳥のイラストと――。
『水源』『AQUA』
と書かれていた。
気が付くと、雨は上がり、雲から陽が射していた。
「雨、止んだね」
「そうだね」
そう言いながら、さくらはしろちゃんと一緒に帰路に着いたのだった。
―――――
その夜。
静かな月明かりが、カーテンの隙間から机の上を照らしていた。
さくらはノートを開き、ペンを握る。
今日も"国ちゃんとの幸せ日記"の時間だ。
『雨が止んで、空がきれい。
今日も色んなことがあったけど、
最後はちゃんと笑えた。
……でもね。
今はただ、国ちゃんに会いたい。
声を聞きたい。
一緒にいたい――そう思ってる』
ペン先が止まり、さくらは机に頬をのせた。
「……国ちゃん、何してるのかな……」
ふと、窓の外の星の見上げてつぶやいた瞬間――。
胸の奥で"キラリ"と光が弾けた。
「さくら……それ、魔力の反応だよ」
しろちゃんの声が響く。
「えっ……?」
ノートの上に、淡いピンク色の光が集まっていく。
さくらは鍵を取り出し、呪文を唱えた。
「―――封印解除!主なきものよ、夢の杖のもと、我の力となれ。――固着(セキュア)!」
一枚のカードがさくらの手元に吸い込まれていく。
『願望』『DESIRE』
カードの中では、
手を伸ばそうとする少女の姿が描かれている。
その手は、誰かを求めるように――。
真っすぐに。
「……"DESIRE(願望)"……
……国ちゃんに会いたいって思ったから……?」
次の瞬間。
――♪♪♪
携帯が震えた。
画面には、またあの名前。
手塚国光。
「……!」
慌てて電話を取る。
「……さくらか?」
「国ちゃん……!」
一瞬で涙がこみ上げる。
さくらは、声が震えるのを押さえながら言った。
「今ね……国ちゃんに会いたいって思ってたの……!」
少し沈黙があって、
電話の向こうで、低い声が返ってきた。
「俺もだ」
たった一言。
けれど、その言葉が胸の奥に深く響いた。
「何故か……無性に声が聞きたくなって、電話をした」
さくらは胸元を押さえる。
そこから、淡い光が溢れていた。
「……この光、国ちゃんの声と同じ……。国ちゃん、ちょっと待っててね」
さくらは通話をミュートにし、杖を光の方へ構えた。
「主なきものよ、夢の杖のもと、我の力となれ――。固着(セキュア)!」
カードがもう一枚、さくらの手中に入る。
結晶を手にした男女が描かれ、
互いに向かい合いながら同じ光を放っていた。
『呼応』『SYNCHRONIZE』
「……"呼応"……」
さくらはカードを見つめながら、ミュートを外した。
「お待たせ、国ちゃん。……国ちゃん……わたしね、嬉しい。
こうして声を聞けるだけで、心が温かくなるの……」
「俺もだ」
短い沈黙。
でも、互いの鼓動が確かに繋がっていた。
「おやすみ、国ちゃん」
「おやすみ、さくら」
通話が切れると同時に、
窓の外で星がひときわ強く瞬いた。
「さくら、これは……おそらく"心の同調"のカードだ。
君の願い、と国ちゃんの想いが重なったから生まれたんだよ」
机の上には、
『DESIRE(願望)』と『SYNCHRONIZE(呼応)』の二枚が並び、
まるで"恋人たち"のように静かに寄り添っていた。