艶色

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目次

  •  カッコよく決めてるのに、美人に育ったせいか、どうしても色っぽい目で見てしまう。
     アンチの意味わかってくれたかな。わたし喧嘩売ってんの貴方のファンに。悲しませてごめんね。あいしてる。

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  • ララ

     学のことはよくわからない。学の撮る写真、学の喋ること、書くこと、それから、目線とか動きとか、それを何度も何度も聞いて見て感じて、考えて察することしかできない。彼にとって、わたしの思う彼は、彼の思う高本学なのかはわからない。けれど、傷つけたことを後悔しているから、ずっと夢見ている。いつか、学くんに会ったときに、ごめんなさい、って言うこと。それよりも、伝えたいのは、ありがとう。
     わたしが言われたかった言葉を相手に伝えている。わたしがしてほしかったことを、学くんにしている。自分のことを理解できるのは自分だけだってわたしは思うから、あまり、人にわたしの思うことを伝えきれていない。けれど、わたしの言葉で、学くんが、わたしが救われたかったように、救われるなら、それは本望で、願い事で、伝えたいことのすべてだったと言える。

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  • 月夜鴉

     わたしはまた、誰かになりたくて、いろいろな台詞を考える。いつからかなんて、わからない。関西弁やとババアと呼ばれるから、妹の関西弁は可愛いなのに、わたしが関西弁を話すと年寄りみたいって言われるから、かといって、吹き替えみたいな話し方は演技してるみたいと言われて思われて。
     わたしは鏡。あなたの理想の女を映し出す鏡。

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  • とこよの春

     二人でいくつだよ、ってなりながら、ブリティッシュスクール、ダークアカデミアスタイルでUSJへ。学が皺になるからシャツ苦手なのかなって思って、ロンTに皺になりにくい素材のふわっとしたシャツを着せて、黒のカーディガンにコート。わたしもブルーシャツにグレイスカート、靴下にローファー。仕上げにわたしもコート。
     ヘドウィグのカチューシャは学、わたしはスリザリンのリボンカチューシャ。
    「学、かわいい♡かわいすぎんか〜」
    「えー、オレもリボンにしたい」
    「交換しよ」
    ハリポタエリアで全身撮りたいけど、人に頼むのもなぁ、ってなって自撮りしまくり。
    「学、大丈夫?」
    「んー?」
    「細い。わたしふくよかじゃん」
    「最近、食べれんくて」
    「今日、はやめに切り上げて久々にサイゼリヤ行こ」
    「なんで?」
    「ファミレスのがいい」
    「ううん、ここで食べよ」
    「そうしよ。フィッシュアンドチップス今もあるかなぁ」
    「ちがーう。オレなんか肉まん食いたい」
    「わたしなんかのキャラピザまんやったし探そー」
    「えー、オレはチュロス食う」
    「わたしも食べたい」
    「ポップコーン買って♡」
    「えー、あれ高いやん」
    「そうやなぁ」
    「ララ、好き」
    「わたしも学すき」
    学のこと、なんにも理解できてない。わたしはただ、好きなだけ。好きで、心配で、それから……慾だろうなぁ。
    「ララ、キス……しよ?」
    学が屈んでくると、たまらなく愛おしくなって、頬にキスする。そして、見つめ合って、キスをした。

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  • 熱狂的愛

    「ライくん」
    「なに? オレの名前、ララだけど?」
    「でも、オレにとってはライくん」
    男の体をしてんのに、娘が欲しかったママはオレを女として育てた。オレは女とヤッても痛がるだけで、そのうちヤらんでもええかって思うようになったら、女通じて出会ったんが、学。
    「お前、ゲイなん? 仕草とか女形みてぇに」
    「わからへん。オレ、でも、ライくんの長髪すき」
    「あー、オレ、女が好きなんだけど」
    「知ってる。タレントになればいいのに」
    「んな金ねーよ」
    学が物欲しそうな目で見てくるのは好きだ。オレが女だった頃のことを思い出して、笑う。
    「オレ、元女だし、ねーよ」
    「いつからライくん、オレのファンなの」
    「女だった頃、今は敵だよ。てめぇ、オレの何が欲しいんだよ」
    「ライくん、好き」
    変幻自在のオレは、ライオとして生きてる。女だった頃の服はまだあるし、たまにそれ着て出かけてる。そんときに女はオレを敵と見做すのに心底笑えてくる。愛しいねぇ、なんて。
    「ライくん、なくてもいいから、抱いて」
    「演技してんの? お前、普段調子乗りなんだろ、知らねぇけど」
    「ちがう。オレは、ちがう。ライくんの彼女になりたい」
    「オレの体、見ても驚くなよ。オレ、体、男じゃねーし」
    「嘘吐き! あいつ、ライくんに抱かれたってオレのこと笑ってきた。オレ女嫌い」
    「ねえ、あんた、わたしのこと嫌ってんだ」
    「え?」
    「今でもお前のファンだわ」
    「らら、ってこと?」
    学が心底恨めしそうにオレを見る。学って女をバカにした笑いをよくするけれど、オレにとっては構って欲しいんだなとしか思えねーし。
    「変幻自在なんだよ、オレ」
    「髪、一緒なん嫌いやねん、そいつ」
    「ライオとして生きてんだよ、今のオレは」
    「いつか、また、ららになるの?」
    「あー、なんじゃね? オレ、女のオレと男のわたし、好きだから」
    「ライくん」
    学の方が遥かに背が高いし、オレにとっては、こいつ、男なんだけどな。女のオレ、ららとしての自我がこいつに恋されているオレに拍手喝采を送ってきやがる。
    睫毛なげぇな、こいつ。やっぱオレの敵だわ。そう思いながら、キスの無意味さに溜息がこぼれる。
    「あ♡」
    「なに?」
    「オレ、構って欲しくて」
    「末っ子かよ」
    「オランダのが好き?」
    「あ? とーるはららの恋だよ♡ とーるくん好きなのららだもん。嫉妬したくないからファンクラ入んないの♡男に貢ぎたくないもん」
    「その子のマネ、いや。オレ、その子にさ、アンチされてる。意地悪ばっかし言うの」
    「お前の考え、おきれいだから言えんだよ」
    「なにそれ。オレのこと、嫌いならちゃんと言って!」
    「演技してんの? オレ好みの女になりたくて。お前の体、男のだろ」
    「してない。なんで演技してるって思うの?」
    「オレ、信用も信頼もしねぇし親でさえな」
    「ららちゃんって子、いつもオレ睨んでくるし、アンチのくせにお金使ってオレに会いに来る」
    「知らねぇよ。ららの感情なんて。オレ自身のことだけどな」
    「ねえ、ライくん。オレのこと、好き?」
    「嫌いな奴でも話せるぜ? オレ。告白だってしたことある」
    「男? なにそれ、ライくん男好きになれるんじゃん!」
    自分の性自認がふわふわしてる今でも、あんときのオレはどっちかつーと、男にこいつうぜぇって思ってた。嫉妬なんかするわけねぇだろ、オレ、てめぇに合わせてやってたんだよ、って泣かせたかった。そいつ。逆に女のオレが、男には敵わねえて泣きそになったけどな。
    「なれねぇよ、オレ。でも、学、わたしは女の子として学に恋してるの」
    「やめて。オレのこと利用しないで」
    「ファンってやっぱりfanatic lunaticだわ」
    「ららちゃん、なんで睨んでくるの?」
    「学、お前、オレのことまじで好きなんか?」
    「ライくん! オレ、好きなのライくん」
    「わかった。一旦、ホテル行こう。オレ金ねーし、学の奢りな」
    「いや。奢って! オレ彼女になりたい」
    「オレまじで金ねーし、一回3万円とか高すぎだろ」
    「じゃあ、オレんち来て」
    「安い女になるな。女になりてぇなら、もっと良い男探せ」
    「それ、誰に言われたん?」
    「オレだよ、オレ自身に」

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