愛情60% 不純物40%(JD)


 全ての事の発端はジェイドだった。

 確か、夜の九時を過ぎた頃だったと思う。
 何を思ったのか、ジェイドは私の部屋に様々な酒類を持ち込んできた。数種類のワインにウイスキー、高価そうな貰いもののお酒。とにかく種類があった。


「明日は休みでしたね。さ、存分に飲んでください」


 もしかしたら――怪しい薬か毒でも入っているのでは。
 思わず勘繰ってしまうほど、酒を飲むように勧められた。

 私は困惑しながら飲み始めたが、ジェイドの物ということもありどれも非常においしかった。
 その様子を見ていたジェイドも機嫌良さそうに飲み始める。どうやら私が警戒し過ぎていたようだ。

 ジェイドを疑ってしまったことを申し訳なく思いながら本格的に飲み始めた。
 ジェイドは強いのでグラスに並々と注いでいるが、私の場合そうもいかない。あまり飲まない私はグラスに少量ずつ注いで久しぶりの飲酒を楽しんだ。


「ふぅ……」


 静かに息を吐いたジェイドは上機嫌でグラスを置いた。
 穏やかに微笑むその顔は珍しく赤色に染まっている。


「ジェイド?」
「何です、サフィール」


 ベッドにもたれ掛かり、シャツの釦を二個ほど外したジェイドは美しい。
 もし許されるのなら、このまましばらく眺めていたい。しかし、そういう訳にはいかなさそうな雰囲気だった。


「もしかして……酔っているのですか?」
「まさか。酔っていませんよ」


 ジェイドは眼鏡を外し、私に顔を近づけて「酔っていません」と言った。

 ――相手がジェイドだということを贔屓して見ても、間違いなくジェイドは酔っている。
 そう思った私は同じ問答を数回繰り返した。


 そして――今に至る。



 
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