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曦澄SSまとめ

(※現代AU)


意外な一面


「たまには、と思いまして……」
「そうか」
「……すみません」

落ち込む目の前の男、その手に握られているのは白い布切れ。恐らく、ほんの数秒前まではワイシャツだったもの、だ。洗濯が終わったものを、干してくれようとしていた、のだと思われる。どうしてそうなってしまったのかは、正直分からないが。

江澄、洗濯が終わったみたいだよ。ああ、干すから洗濯機から出しておいてくれるか。分かりました。

そのやり取りを、確か俺は洗い物をしながら。こいつは、洗い物を手伝うよと言われたが断った為、掃除機でもかけさせていた時だったか。洗い物を断った理由は、大した量でもなかった為であったが。この惨状を思うに、断って良かったのかもしれない。

「どうしたらこうなるんだ?」

ちょうど、真ん中から綺麗に真っ二つ。かつてワイシャツだったものを見やりながら、単純な疑問をぶつけてみる。俺の発言に、俺よりも数センチ大きい男が小さくなっていくように見えて、少し可笑しい。怒っているとでも思っているのだろうか。

「シワを伸ばそうと、したのだけれど……」
「どれだけ勢いよくやったんだか」
「力加減が分からず」
「にしても、だな」
「……すみません江澄」
「藍渙の高いワイシャツが、ひとつ雑巾に変わったな」
「……江澄の服でなく良かったと思います……」

しおらしい姿が可笑しく、ついつい言い過ぎてしまったかもしれない。怒っていないから大丈夫だ、とちゃんと言葉を掛けておく。

この男の弱みを握ったようで、とても愉快な気分だ。一緒に暮らし始めて、こうして知らなかった一面を知れる事がとても嬉しく、幸せだ。

「あなたは意外と不器用なんだな」
「……お恥ずかしい」
「一緒にやろう。ゆっくり覚えていけばいい」

しかし後日。
何かを作ろうと試みたこの男によって、家電をひとつ買い替える羽目になった。
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