五部
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「『遠隔自動操縦』だ。あのスタンドは……」
康一が口を開く。
「二年前、日本のぼくの町にもあの『矢』が――同一の物じゃないと思うけど――あって、ぼくはあの『矢』に刺されてスタンド能力を身につけた」
『矢』のルーツは康一もトムも知らない。トムの父のアマネなら二人よりも既に探りをいているだろうが彼はここへいなかった。スタンド使いでもないトムへその『矢』の事を事細かく話して聞かせたこともなく、トムが知るのはその『矢』を“持っていた”老婆のことを少しだけだ。
ジョルノへ視線を向ける。ジョルノは『矢』の事を知らないと言って、トムはそれを本音だと思った。だからジョルノが『矢』を知らないのは本当だったと仮定して。
それでもジョルノとその『矢』は切り離せないだろう。かつてその『矢』を持っていたのは、彼の殺された父親の部下だった老婆だ。
けれどもまぁ、それは今は関係ない。
ジョルノ達が見ているスタンドは、康一曰く遠隔自動操縦型だという。本体から遠く離れても目的を遂げるまでは攻撃をやめない。その代わりに設定された単純な動きしか出来ないのだという。
遠隔が可能だからこそ本体はスタンドへ何が起こっているのかを把握する事は出来ず、倒す方法となると完璧にスタンドを倒すか本体を攻撃するか。
だが本体を叩くことは現状では不可能だろう。ジョルノの話では本体は牢獄の奥へいるらしい。この場から牢獄へまで逃げて攻撃するにしても、追って来るであろうスタンドを退けるのに加えて牢獄の囚人を嫌でも守らなければならない看守の目もどうにかしなければならなくなる。
父のアマネなら空間転移で牢獄だろうが地球の裏側だろうが一瞬だっただろうが、トムにはそんな力は無い。せいぜいが姿現しの魔法くらいである。
「とにかくもうすぐ校舎の向こう側に日が落ちる。今、ヤツは校舎の影から外に出ることはできないから今のうちに校舎の向こう側の太陽が当たるところに回り込もう」
「鏡の反射光じゃ無理かな」
「そうとう大きな鏡か大量の鏡があれば別だろうね」
踵を返したジョルノへ続く。この学校の敷地に関してはトム達より当然ジョルノの方が詳しい。
「大量の鏡なら用意出来るさ」
「そうかい? なら日の中へ引きずり出すのは簡単かも知れないな」
空を二羽のカラスが羽ばたいて飛んでいく。康一が背後の校舎の影を振り返った。
ジョルノが何かへ脚を掴まれたように転倒する。その足下には、常緑樹の影。
先ほどのカラスの影を経由してスタンドがそこへ移動し、抜けようとしたジョルノの脚を掴んだらしい。なんとか仰向けになって脚を掴んでいるスタンドを蹴り飛ばそうとするが、逆にその脚を掴まれてしまったようだった。
トムは腰にチェーンでぶら下げていた匣へ手を伸ばし、雲の炎を灯した手で握りしめる。
「ナギニ!」
康一が口を開く。
「二年前、日本のぼくの町にもあの『矢』が――同一の物じゃないと思うけど――あって、ぼくはあの『矢』に刺されてスタンド能力を身につけた」
『矢』のルーツは康一もトムも知らない。トムの父のアマネなら二人よりも既に探りをいているだろうが彼はここへいなかった。スタンド使いでもないトムへその『矢』の事を事細かく話して聞かせたこともなく、トムが知るのはその『矢』を“持っていた”老婆のことを少しだけだ。
ジョルノへ視線を向ける。ジョルノは『矢』の事を知らないと言って、トムはそれを本音だと思った。だからジョルノが『矢』を知らないのは本当だったと仮定して。
それでもジョルノとその『矢』は切り離せないだろう。かつてその『矢』を持っていたのは、彼の殺された父親の部下だった老婆だ。
けれどもまぁ、それは今は関係ない。
ジョルノ達が見ているスタンドは、康一曰く遠隔自動操縦型だという。本体から遠く離れても目的を遂げるまでは攻撃をやめない。その代わりに設定された単純な動きしか出来ないのだという。
遠隔が可能だからこそ本体はスタンドへ何が起こっているのかを把握する事は出来ず、倒す方法となると完璧にスタンドを倒すか本体を攻撃するか。
だが本体を叩くことは現状では不可能だろう。ジョルノの話では本体は牢獄の奥へいるらしい。この場から牢獄へまで逃げて攻撃するにしても、追って来るであろうスタンドを退けるのに加えて牢獄の囚人を嫌でも守らなければならない看守の目もどうにかしなければならなくなる。
父のアマネなら空間転移で牢獄だろうが地球の裏側だろうが一瞬だっただろうが、トムにはそんな力は無い。せいぜいが姿現しの魔法くらいである。
「とにかくもうすぐ校舎の向こう側に日が落ちる。今、ヤツは校舎の影から外に出ることはできないから今のうちに校舎の向こう側の太陽が当たるところに回り込もう」
「鏡の反射光じゃ無理かな」
「そうとう大きな鏡か大量の鏡があれば別だろうね」
踵を返したジョルノへ続く。この学校の敷地に関してはトム達より当然ジョルノの方が詳しい。
「大量の鏡なら用意出来るさ」
「そうかい? なら日の中へ引きずり出すのは簡単かも知れないな」
空を二羽のカラスが羽ばたいて飛んでいく。康一が背後の校舎の影を振り返った。
ジョルノが何かへ脚を掴まれたように転倒する。その足下には、常緑樹の影。
先ほどのカラスの影を経由してスタンドがそこへ移動し、抜けようとしたジョルノの脚を掴んだらしい。なんとか仰向けになって脚を掴んでいるスタンドを蹴り飛ばそうとするが、逆にその脚を掴まれてしまったようだった。
トムは腰にチェーンでぶら下げていた匣へ手を伸ばし、雲の炎を灯した手で握りしめる。
「ナギニ!」