五部
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「どうしたの? いきなり」
「な――何でもありません! 室内灯のコードが蛇に見えただけです」
「ははっ、蛇好きだねえホント」
呑気に笑ってやがる康一から持っていたパンを背後へ隠す。そのまま康一からパンとライターを隠しつつ、廊下を見張に行く振りをして窓の隙間からパンをジョルノに突きつけた。
ジョルノは驚いていたようだが、すぐにトムの手からライターを奪っていく。パンを回収したかったということはそのパンか突き刺さっていたライターに何かあるのだろうと思ったのだが、どうやらライターの方だけが重要だったらしい。蛇を使うのはいいが蛇を傷つけるなとは思う。
そのまま窓の外から飛び降りて部屋を離れていったジョルノに、トムはドアの傍へ掛かっていた鏡を取ってそれを見る振りをしながら窓の下を確認した。ジョルノの後ろ姿が見える。
「あったッ! ぼくのパスポートだッ!」
康一が机の上の書類ケースの中からパスポートを見つけだした。これでパスポートの再発行をする必要は無くなったわけだが、トムの用事は済んでいない。
ナギニを回収しなければ。さっきパンの上のライターを渡した時にナギニを回収すれば良かったと思うが、それをしたら康一にジョルノがいたことがバレてしまっただろう。そうなればまた康一は騒ぎ出すに違いなかった。
パスポートの回収は出来たわけだし、一度康一をホテルへ戻すかと考えながら部屋を出ようとすると、窓の外から声がする。それに気付いたらしい康一が立ち止まって窓の外を見た。
「あッ、あいつ『ジョルノ・ジョバァーナ』!」
せっかく逃がしてやったというのに見つかったらしい。トムが内心舌打ちしながら康一の隣から窓の下を見ると、掃除仕事を請け負っているらしい老人と何か話しているようだった。一度消えてしまったのか火を点け続けていた筈のライターの火を老人が点ける。
「い、今なら追いつけるッ!」
「あっオイ! 康一さん!」
ジョルノの部屋を取び出した康一が廊下を駆けていった。慌ててトムも追いかけていくが、走っている途中でジョルノの部屋から鏡を持ってきてしまったことに気付いて舌打ちする。これではトムの方が泥棒だ。
仕方なく部屋へ鏡を置きに戻ることにした。部屋から出口まではそう遠くはないし、最悪ジョルノと同じように窓から外へ出れば距離を縮めることは出来るだろう。
トムは父親の様な桁外れの体力はないものの、平均よりは少しだけ高い運動神経なら持っている。でなければ木の枝も同然な箒へ跨がってバランスを取りながら空を飛んだり出来るものか。
「な――何でもありません! 室内灯のコードが蛇に見えただけです」
「ははっ、蛇好きだねえホント」
呑気に笑ってやがる康一から持っていたパンを背後へ隠す。そのまま康一からパンとライターを隠しつつ、廊下を見張に行く振りをして窓の隙間からパンをジョルノに突きつけた。
ジョルノは驚いていたようだが、すぐにトムの手からライターを奪っていく。パンを回収したかったということはそのパンか突き刺さっていたライターに何かあるのだろうと思ったのだが、どうやらライターの方だけが重要だったらしい。蛇を使うのはいいが蛇を傷つけるなとは思う。
そのまま窓の外から飛び降りて部屋を離れていったジョルノに、トムはドアの傍へ掛かっていた鏡を取ってそれを見る振りをしながら窓の下を確認した。ジョルノの後ろ姿が見える。
「あったッ! ぼくのパスポートだッ!」
康一が机の上の書類ケースの中からパスポートを見つけだした。これでパスポートの再発行をする必要は無くなったわけだが、トムの用事は済んでいない。
ナギニを回収しなければ。さっきパンの上のライターを渡した時にナギニを回収すれば良かったと思うが、それをしたら康一にジョルノがいたことがバレてしまっただろう。そうなればまた康一は騒ぎ出すに違いなかった。
パスポートの回収は出来たわけだし、一度康一をホテルへ戻すかと考えながら部屋を出ようとすると、窓の外から声がする。それに気付いたらしい康一が立ち止まって窓の外を見た。
「あッ、あいつ『ジョルノ・ジョバァーナ』!」
せっかく逃がしてやったというのに見つかったらしい。トムが内心舌打ちしながら康一の隣から窓の下を見ると、掃除仕事を請け負っているらしい老人と何か話しているようだった。一度消えてしまったのか火を点け続けていた筈のライターの火を老人が点ける。
「い、今なら追いつけるッ!」
「あっオイ! 康一さん!」
ジョルノの部屋を取び出した康一が廊下を駆けていった。慌ててトムも追いかけていくが、走っている途中でジョルノの部屋から鏡を持ってきてしまったことに気付いて舌打ちする。これではトムの方が泥棒だ。
仕方なく部屋へ鏡を置きに戻ることにした。部屋から出口まではそう遠くはないし、最悪ジョルノと同じように窓から外へ出れば距離を縮めることは出来るだろう。
トムは父親の様な桁外れの体力はないものの、平均よりは少しだけ高い運動神経なら持っている。でなければ木の枝も同然な箒へ跨がってバランスを取りながら空を飛んだり出来るものか。