五部
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トムの養父であるアマネの母親はイタリア人だ。トムが生まれるよりも前には既に亡くなっているが、その人の墓がイタリアへある為トムもアマネによく墓参りへと同行させられた。故にトムにとってイタリアは全く馴染みがない場所ではない。
それと、自分で言うのも何だがトムはイタリア語も問題なく話せる。元はイギリスの孤児院育ちで英語は母国語も同然だし、養父の故郷である日本語も問題がない。
康一はどうやら知人のスタンド能力でイタリア語だけは喋れる様にしてもらったらしいが、案の定空港やイタリアへ来るまでの機内の英語は喋れていなかった。そういうフォロー役として、トムは優秀だったのである。
問題があるとすれば性格くらいだろう。
「いや、年齢も問題じゃないかな」
「康一さんは年功序列という言葉が好きなんですね。では今後は康一さんがホテルの手配も料理の注文もゴロツキを追い払うのもやってもらいますね」
「……別に年功序列は関係ないよ。うん。出来る人が出来ることをやればいいんだ」
言い負けるのなら最初から口答えなどしなければいいのに。
トムだって好きでまだ十二歳である訳ではない。一年に一歳しか年をとらないという常識と周囲の目が無ければ、トムは喜んで十代後半か二十代前半の全盛期を名乗る。康一には絶対に言えないものの、なまじ『転生する前の記憶』があるから余計にだ。
父はいい。トムと同じで転生者で、更にはトムよりその経験が豊富なのとあの性格と気質からか、若かろうが老けてようが泰然自若としている。というか、あの大らかさが無ければトムみたいな奴を自分の息子にはしないだろう。
お陰で本来なら通うべき学校へ行くのもトムは拒否しているし、ある程度の勉学は既に通信教育を利用して済ませ、外見と同程度でしかない子供達と馴れ合う選択肢を消した。
「その年齢が問題な僕に頼っているというのも不甲斐ないですけれどね」
「それに関しては感謝してるよ」
「いいですよ。気にする必要はありません。普通の日本人は大抵海外へ旅行へ出るとしても必要最低限のマナーとスキルが足りないものですから。それを考えたら康一さんは旅行先の国の言語を理解できるようにしてきただけでも十分素晴らしいでしょう」
それぞれ荷物を持って空港を出る。康一はトランクを転がしているが、トムはメッセンジャーバッグを一つ背負っているだけだ。
「ぼく、あんまし古い国って興味ないんだよね」
「僕は歴史を重んじる国の方が好きですね。イタリアやイギリスはその最たるものでしょう」
それと、自分で言うのも何だがトムはイタリア語も問題なく話せる。元はイギリスの孤児院育ちで英語は母国語も同然だし、養父の故郷である日本語も問題がない。
康一はどうやら知人のスタンド能力でイタリア語だけは喋れる様にしてもらったらしいが、案の定空港やイタリアへ来るまでの機内の英語は喋れていなかった。そういうフォロー役として、トムは優秀だったのである。
問題があるとすれば性格くらいだろう。
「いや、年齢も問題じゃないかな」
「康一さんは年功序列という言葉が好きなんですね。では今後は康一さんがホテルの手配も料理の注文もゴロツキを追い払うのもやってもらいますね」
「……別に年功序列は関係ないよ。うん。出来る人が出来ることをやればいいんだ」
言い負けるのなら最初から口答えなどしなければいいのに。
トムだって好きでまだ十二歳である訳ではない。一年に一歳しか年をとらないという常識と周囲の目が無ければ、トムは喜んで十代後半か二十代前半の全盛期を名乗る。康一には絶対に言えないものの、なまじ『転生する前の記憶』があるから余計にだ。
父はいい。トムと同じで転生者で、更にはトムよりその経験が豊富なのとあの性格と気質からか、若かろうが老けてようが泰然自若としている。というか、あの大らかさが無ければトムみたいな奴を自分の息子にはしないだろう。
お陰で本来なら通うべき学校へ行くのもトムは拒否しているし、ある程度の勉学は既に通信教育を利用して済ませ、外見と同程度でしかない子供達と馴れ合う選択肢を消した。
「その年齢が問題な僕に頼っているというのも不甲斐ないですけれどね」
「それに関しては感謝してるよ」
「いいですよ。気にする必要はありません。普通の日本人は大抵海外へ旅行へ出るとしても必要最低限のマナーとスキルが足りないものですから。それを考えたら康一さんは旅行先の国の言語を理解できるようにしてきただけでも十分素晴らしいでしょう」
それぞれ荷物を持って空港を出る。康一はトランクを転がしているが、トムはメッセンジャーバッグを一つ背負っているだけだ。
「ぼく、あんまし古い国って興味ないんだよね」
「僕は歴史を重んじる国の方が好きですね。イタリアやイギリスはその最たるものでしょう」