五部
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南イタリアはネアポリス空港のエントランス。
トムは長時間同じ姿勢をとり続けていた身体を動かしながら舌打ちをこぼす。後ろではまだ連れの広瀬康一が両替へ手間取っていた。
西暦二〇〇一年某日。南イタリアはよく晴れた日のことである。
弱冠十二歳であるトムが広瀬康一とはるばる日本からイタリアへとやってきたのは、養父の知人である空条承太郎の依頼が発端であった。
『汐華初流乃という少年の皮膚を採取してきて欲しい』というその依頼は、その少年が特殊な生い立ちを持っているが故のものである。
何でもその少年の父親は、十二年前に空条承太郎が殺した『DIO』という男である可能性があるらしい。その真偽を確かめる為、本人へ秘密裏に皮膚を採取して遺伝子を調べたいということだった。
正直な話、トムにとっては二割しか関係がなければ八割は無駄な骨折りだ。トムとその『DIO』という男はトムの養父の知人の仇という程度で、養父と血が繋がってすらいないトムとは殆ど関係がない。せいぜいがトムの生まれた年にその男が死んだという程度だ。
ましてやトムは日本であったならまだ親の庇護が必要な年齢とされてもいる。アメリカ在住なので日本の法律は関係無いが、そんなトムがわざわざ顔を知ってはいるもののそう親しくもない広瀬康一とイタリアへまで訪れたのは、一言で言うなれば『広瀬康一の護衛』の為だった。
「お待たせ。タクシー代も聞いてきたよ」
「市内まで四千円くらいですよ。その位知ってます。僕が何度イタリアへ来てると思ってるのさ」
「あ、うん……ごめん」
「まぁ知らないよりはいいけれどね。はぐれた時の為にも」
両替を済ませて傍へ来た康一に肩をすくめる。本来ここにいたであろうトムの養父であるアマネならば、もう少し優しい物言いをしたかも知れなかった。
本来康一とイタリアへ来る予定だったトムの養父斑鳩アマネは現在、フランスへ赴き所属しているスピードワゴン財団関係の調査を行なっている。行方不明となったスタンド使いを捜しているらしいが、最後に連絡を取った時には『連続殺人鬼にスタンド使いの疑いが出てそっちの捜査もすることになった』と言っていたので、トムの元へ帰ってくるのはまだ先だろう。
その連続殺人鬼の事がなければ、有給をとってアマネが康一へついてイタリアへ来るという話だった。だがその計画が狂い、しかし康一一人で慣れないイタリアへ行かせるのもという事でトムへ白羽の矢が立ったのである。
トムは長時間同じ姿勢をとり続けていた身体を動かしながら舌打ちをこぼす。後ろではまだ連れの広瀬康一が両替へ手間取っていた。
西暦二〇〇一年某日。南イタリアはよく晴れた日のことである。
弱冠十二歳であるトムが広瀬康一とはるばる日本からイタリアへとやってきたのは、養父の知人である空条承太郎の依頼が発端であった。
『汐華初流乃という少年の皮膚を採取してきて欲しい』というその依頼は、その少年が特殊な生い立ちを持っているが故のものである。
何でもその少年の父親は、十二年前に空条承太郎が殺した『DIO』という男である可能性があるらしい。その真偽を確かめる為、本人へ秘密裏に皮膚を採取して遺伝子を調べたいということだった。
正直な話、トムにとっては二割しか関係がなければ八割は無駄な骨折りだ。トムとその『DIO』という男はトムの養父の知人の仇という程度で、養父と血が繋がってすらいないトムとは殆ど関係がない。せいぜいがトムの生まれた年にその男が死んだという程度だ。
ましてやトムは日本であったならまだ親の庇護が必要な年齢とされてもいる。アメリカ在住なので日本の法律は関係無いが、そんなトムがわざわざ顔を知ってはいるもののそう親しくもない広瀬康一とイタリアへまで訪れたのは、一言で言うなれば『広瀬康一の護衛』の為だった。
「お待たせ。タクシー代も聞いてきたよ」
「市内まで四千円くらいですよ。その位知ってます。僕が何度イタリアへ来てると思ってるのさ」
「あ、うん……ごめん」
「まぁ知らないよりはいいけれどね。はぐれた時の為にも」
両替を済ませて傍へ来た康一に肩をすくめる。本来ここにいたであろうトムの養父であるアマネならば、もう少し優しい物言いをしたかも知れなかった。
本来康一とイタリアへ来る予定だったトムの養父斑鳩アマネは現在、フランスへ赴き所属しているスピードワゴン財団関係の調査を行なっている。行方不明となったスタンド使いを捜しているらしいが、最後に連絡を取った時には『連続殺人鬼にスタンド使いの疑いが出てそっちの捜査もすることになった』と言っていたので、トムの元へ帰ってくるのはまだ先だろう。
その連続殺人鬼の事がなければ、有給をとってアマネが康一へついてイタリアへ来るという話だった。だがその計画が狂い、しかし康一一人で慣れないイタリアへ行かせるのもという事でトムへ白羽の矢が立ったのである。