四部
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仗助視点
この人は自分が泣きそうな顔をしている事に気付いているのだろうかと思った。仗助のそれよりも細い肩は、きっと体格からして他の場所も細いのだろう。
こんな細腕で彼は仗助達を守った。それどころか結果的にはこの杜王町全体も守ったのだ。それはアマネだけではなく康一や承太郎もだけれど。
「一方的な感謝も止めましょ。オレらって別にそこまでスゲー事してねーっすよ、きっと」
一方的な感謝。仗助はそんな崇められる様な感謝をされたいから吉良吉影を捜していた訳じゃない。そんな一線を引かれたくて色々なモノを直していた訳でもなかった。
誉められたい訳でもない。直したいといつも思うから直すのだ。
ただそこにたまにでいいから、誰かが褒めてくれたらまあ最高だという程度。
アマネもそうなのだろう。もしかしたら彼と仗助は似ている。
だから仗助はアマネへ向けて笑った。
「オレらお揃いっすね。ははっ、仲間っすよ」
紫の、アメジストよりも濃い色をした瞳が瞬かれる。
確かアメジストは太陽の光を浴び続けていると、退色して色が薄くなってしまうらしい。
けれどもこの紫が色褪せることなんて無いのだろう。むしろ太陽の明かりを浴びて輝くのだ。その輝きがとろりとアマネの笑みと一緒に向けられたら。
「――……そっか。お揃いかぁ」
最高だ。
「……グレートだぜぇ」
「何がぁ?」
思わずの呟きにアマネが首を傾げる。慌てて肩を掴み続けていた手を離して何でもないと返した。
そもそも何で肩を掴んでいたのか。話をするだけなら振り返るだけで良かったはずだ。仗助が怪我の治療を受ける為に服を脱いでいたことも、アマネが女性的雰囲気であることも相まって、嫌に変な意識をしてしまう。
相手は仗助の甥である承太郎と同じ成人男性だ。年上なのに甥という承太郎もまあ憧れる相手ではあるけれど、アマネは憧れるのとは違う。
違うが上手く言葉に言い表せられなかった。
電話を終えたらしい承太郎が戻ってくる。
「まだ終わってなかったのか」
「話し込んじゃってなぁ。でももう殆ど終わったから、仗助君ももう服着ていいぜぇ」
そう言ってアマネがソファの背もたれへ掛けられていたシャツと学ランを差し出してきた。仗助が直してそこへ引っかけておいたものだ。
急いで袖を通せば無言で仗助を眺めていた承太郎がアマネへと視線を移す。
「斑鳩、トムから伝言だ。『青い蝶が飛んだ』らしい」
「……ふうん。そっか。じゃあ見送りに行こう」
「見送り?」
シャツを着ながら訪ねれば承太郎も分からないらしい。
血を拭いたタオルで手を拭っていたアマネが寂しげに微笑む。
「杉本さんが天国へ行くんだよ」
この人は自分が泣きそうな顔をしている事に気付いているのだろうかと思った。仗助のそれよりも細い肩は、きっと体格からして他の場所も細いのだろう。
こんな細腕で彼は仗助達を守った。それどころか結果的にはこの杜王町全体も守ったのだ。それはアマネだけではなく康一や承太郎もだけれど。
「一方的な感謝も止めましょ。オレらって別にそこまでスゲー事してねーっすよ、きっと」
一方的な感謝。仗助はそんな崇められる様な感謝をされたいから吉良吉影を捜していた訳じゃない。そんな一線を引かれたくて色々なモノを直していた訳でもなかった。
誉められたい訳でもない。直したいといつも思うから直すのだ。
ただそこにたまにでいいから、誰かが褒めてくれたらまあ最高だという程度。
アマネもそうなのだろう。もしかしたら彼と仗助は似ている。
だから仗助はアマネへ向けて笑った。
「オレらお揃いっすね。ははっ、仲間っすよ」
紫の、アメジストよりも濃い色をした瞳が瞬かれる。
確かアメジストは太陽の光を浴び続けていると、退色して色が薄くなってしまうらしい。
けれどもこの紫が色褪せることなんて無いのだろう。むしろ太陽の明かりを浴びて輝くのだ。その輝きがとろりとアマネの笑みと一緒に向けられたら。
「――……そっか。お揃いかぁ」
最高だ。
「……グレートだぜぇ」
「何がぁ?」
思わずの呟きにアマネが首を傾げる。慌てて肩を掴み続けていた手を離して何でもないと返した。
そもそも何で肩を掴んでいたのか。話をするだけなら振り返るだけで良かったはずだ。仗助が怪我の治療を受ける為に服を脱いでいたことも、アマネが女性的雰囲気であることも相まって、嫌に変な意識をしてしまう。
相手は仗助の甥である承太郎と同じ成人男性だ。年上なのに甥という承太郎もまあ憧れる相手ではあるけれど、アマネは憧れるのとは違う。
違うが上手く言葉に言い表せられなかった。
電話を終えたらしい承太郎が戻ってくる。
「まだ終わってなかったのか」
「話し込んじゃってなぁ。でももう殆ど終わったから、仗助君ももう服着ていいぜぇ」
そう言ってアマネがソファの背もたれへ掛けられていたシャツと学ランを差し出してきた。仗助が直してそこへ引っかけておいたものだ。
急いで袖を通せば無言で仗助を眺めていた承太郎がアマネへと視線を移す。
「斑鳩、トムから伝言だ。『青い蝶が飛んだ』らしい」
「……ふうん。そっか。じゃあ見送りに行こう」
「見送り?」
シャツを着ながら訪ねれば承太郎も分からないらしい。
血を拭いたタオルで手を拭っていたアマネが寂しげに微笑む。
「杉本さんが天国へ行くんだよ」